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チラシの裏の裏には書けない  作者: 吉田 晶


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2025.5.19 自転車に乗れるようになった時のこと

 「walking!」がまだ続きそうなので、ここでまた小休止を。


 2025年5月17日現在、100m走の世界記録は、「世界最速の男」と呼ばれるウサイン・ボルトによる9秒58とされております。

 ちょっと自慢をさせていただきますと、実はワタクシ、高校の時に(非公式ではありますが)10秒を切っているんですよ。

 正確に言えば9秒56、数字だけで言えばかのウサイン・ボルトの9秒58を上回っているわけで、ええ。

 いやあ、あのタイムが出た時には、周囲がざわついたことを憶えています。




 50m走ですから、そりゃあね。

 ……ちくしょう! だから体育の授業とか大っ嫌いだったんだよぉぉぉ!


 ヨシ!

 運動神経が相当に鈍いことは伝わったでしょうか。

 けれど、不思議と自転車に乗ることだけはできるんですよね。


 あれは、5歳の時でした。

 当時、地元では「小学生で補助輪を付けているヤツはダセえ」といった風潮がございまして、補助輪を外すか、自転車に乗るのを止めるかの2択を迫られたわけでございます。

 たかだか自転車に乗れる程度で、乗れない人間の人格までも否定する連中がどれだけ多かったことか。

 子供心ながら「社会ってのは汚いな」と感じたものでした。

 

 ……まあ、当時から長い物には巻かれる幼児だった吉田は、あれだけお世話になった補助輪をさっさと外す選択をしたんですけどね。

 ごめんな補助輪、汚かったのは社会じゃなくてオイラのほうだったよ。


 そう言えば、「傷だらけになりながら自転車に乗れるようになる」って話があるじゃないですか。例えば「ちびまる子ちゃん」の「まるちゃん自転車の練習をするの巻」なんて、傑作ですよねえ。

 けれど残念なことに、私、自転車の練習中に一度も転んだ記憶が無いのです。


 ――ああ、別に自慢できるようなことではありません。


 自転車に慣れてない人って、だいたいは「両足をペダルに乗せた状態」でバランスを崩して、転んじゃうと思うんですよね。

 ところが幼児吉田は、あまりにビビりだったため、「両足をペダルに乗せた状態」にすることを断固拒否したのであります。


 ――どういうことかって?


 最初は、ペダルに一切触れず、両足で地面を蹴って進むことにしました。

 これでも、歩くよりはずっと速い。

 けれど、子供のコミュニティというものは、ヤクザ社会と同じで「ナメれたらオシマイ」です。

 この乗り方では余りにダサく、嘲笑の的となってしまうことでしょう。

 

 そこで、幼児吉田はこんなやり方を考えました。

  

 ①右足でペダルを漕ぐ。

  →この時、左足はペダルから離していつでも地面につけるようにしておく。

 ②左足でペダルを漕ぐ。

  →この時、右足はペダルから離していつでも地面につけるようにしておく。


 あとは、この①と②を繰り返せばいいわけです。見た目はちょっとアレですが「この方がスピードが出る」とガキンチョ理論で言い張ることにより、その点はクリアできました。

 そうして、この珍妙なやり方で乗り回しているうちに、いつの間にか普通に自転車に乗れるようになっちゃったんですよねえ……


 いやあ、この練習方法、特許を取っておけばよかったと真面目に思います。

 そうしたら、今頃は毎日でも小諸そばの「上天丼セット」を食べられるようなブルジョアになっていただろうに、惜しいことをしました。


 あ、ちなみに、運動神経が良くなったわけでもなんでもないので、乗れるようになってからのほうが転びまくりの出血祭りだったことを申し添えておきます。


 住んでいたところがド田舎のため、、周囲は一面砂利道だらけ。砂利道の下り坂とか相当に難易度が高いですよ。迂闊にブレーキかけるとスリップしますから。 

 あとは、急カーブを曲がり切れずに田んぼにダイビングしたり、側溝にはまって道路さんに熱烈なキスをしたり、それなりに痛い思いはしております。


 ……差し引き、プラマイゼロってところでしょうかね。


 とまあ、今日はこんなところで。

 どんどはれ。

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