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チラシの裏の裏には書けない  作者: 吉田 晶


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2025.5.18 walking! ⑥

★ここまでのあらすじ

ついに念願の「小諸そば」に辿り着いたアキラ。

「山手線を歩いて一周」という壮大な計画も、なんてこたぁない、

結局はこれが目的だったのだ。


「え? どういうこと? 

ここまでの旅は、悪魔からTOKYOを開放するためじゃなかったの!?」


「そういうのは、真・女神●生Ⅰの主人公にでもまかせておけばいいのでは?

あ、“鳥から丼セット”が待っているんで、遊んでいる暇ないっす。んじゃ ノシ」


「嘘だと言ってよ、アキラァァァァッ!!」


少年の叫びが、ビルの谷間に虚しくこだまする。

ここは東京、八重洲口。

悲しい風の、吹くところ――


                 § § §


 ▲「小諸そば 八重洲店」

 さあさ、やってまいりましたよ、念願の小諸そばッ! いやっほう!


 そういえば、入口の券売機がタッチパネル方式にグレードアップしていたのですが、前のアナログ券売機に慣れきっていたせいで、どこに何があるかわからねえ。


(ここかな……ここかな……?)


 まるで生まれたての小鹿バンビのようなおぼつかない手つきで「鳥から丼セット」(690円)の食券を購入。それと、「二枚もり」(70円)をさらに追加します。

こいつは、もりそば一人前を二人前にするという魔法のチケットなのであります。


 ぺーっ、ぺーっ(食券が発行される音)


 そうそう――

 食券を渡すときには、聞かれる前に「冷たいお蕎麦で」と言っておきます。

 また、お蕎麦が出てくるまでの間に、お冷を汲んでおきましょう!(ドヤ顔)


 ……こういう玄人ムーブって、どうしてこんなに楽しいんでしょう?

 嫌がられると分かっていてもついついやっちゃう。

 これが、人の業というやつか。


 ――それはさておき、

 さすが日曜日、椅子付きの席が空いていました。

 平日のお昼だと、だいたい埋まっちゃっているんですよね。


 腰を下ろしてほっと一息。

 考えてみたら、新宿駅を出てからここまでほぼノンストップだったのです。

 しばらく()()()()()()()()したかったのですが、ここは立ち食い蕎麦屋。さっさと食ってさっさと出て行けという無言の圧を感じてしまう。

 ……まあ、お腹もペコペコだから、いいんですけどね。


 ではでは、満を持して、いただきます。


(食べ方などのこだわりについては、「2025.5.8 KOMORO」参照)


 ――いやあ、おいしかった。じつにまんぞく。

 たくさん汗をかいたせいか、最後の蕎麦湯がとにかく体に沁みました。 

 暑かったのだから、途中で適当に塩分補給をしておくべきだったなあと反省。


(おや……)


 ふと隣を見れば、10代と言っても通じるくらいの若者が、この暑い中、ネクタイとスーツをびしっと決めて蕎麦を手繰っています。


 休日出勤でしょうかね。

 若いうちは、辛いこともいろいろあるだろうけど、頑張れよ。


 ……ん? 


 んんん!?


 こいつ、上天丼セットだ!

 海老の天ぷらが3本ものった上天丼セット(830円)なんか頼んでやがるッ!!

 急に、着ているジャケットもスカした高級ブランドに見えてきましたよ!!!


 前言撤回です。


 このブルジョア小僧がッ!

 いくら高給取りだろうと、真っ昼間から上天丼セットなんておこがましいわッ!

 そ、その海老天を一本分けてくれるんだったら許してやらないこともないけどな!


 そんなテレパシーを若造の脳内に叩き込んでやったのですが、歩き疲れていたせいか、まったく効果がありません。

 このままでは、ひょいと手をのばして海老天をつまみ食いしてしまいそうだったので、あわてて店から飛び出しましたとさ。


 ――区切りがいいので今日はこれまで。

 ではでは皆様、ごきげんよう。

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