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チラシの裏の裏には書けない  作者: 吉田 晶


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2025.5.15 山中で不審者が団扇を振り回すという事案発生

 みなさん、こんにちは。

 「walking!」がわりと長引きそうなので、ちょっとだけ箸休めをば。


                 § § §


 私、実は散歩が趣味なのです。

 「歩いて山手線一周」なんてことを言い出す時点でバレバレだったでしょうか?

  

 喘息持ちなので、ランニングともなると難しいのですが、歩く分には問題ない。体にもいいし、なによりタダだし(いやしいね)。


 現在の住処が海に近いので、海岸沿いをひたすら歩くのは実に楽しい。

 

 けれどこの時期は、山だの森だのを散歩するのも、また良し。

 暑くもなく寒くもなく、木々の間を吹き抜ける風は爽やかで、いや快適快適。

 

 ……と言いたいところだったのですが、5月ともなりますと、緑の多いところには厄介なヤツが出没しやがるのであります。


 その名は「メマトイ」。


 蠅の一種で、体長は2mm程度。アブやブヨのように刺したりはしないのですが、動物の涙を舐めて蛋白質を摂取するという性質をもっています。


 それにしてもこのメマトイ氏……

 いやあ、その、ずいぶんとマニアックな生き方を御選択なされましたなあ。


 もし、自分の子供のベッドの下から『月刊なみだグルメ』とか『季刊なみだの友』なんて雑誌が出てきたら、どう説教したらいいかわからない。


 「悔い改めよ! おまえのお母さんは泣いているぞ!」


 あれ? お母さんが泣いていたらかえって興奮するんだろうか?

 んんんんん、それは業が深すぎやしませんかね!?


 ――閑話休題(それはさておき)

 こいつらの生息する地域に足を踏み入れますと、あっという間に顔の近くまで寄ってきます。

 ぷう~ん、ぷう~んというか細い羽音とともに、目の前をちらちら、ちらちら。

 手で払った程度では、ひるみもしません。コンクリートで舗装された道まで出ればいつの間にか姿を消すのですが、とにかくしつこい。

 

 生息期間は春から秋まで。

 つまり、冬以外はずっとこいつらに悩まされます。


 そして、さらにタチが悪いのがですね、「メマトイに効く」とはっきり書かれている虫よけスプレーが、市場にまったく出回っていないということです。

 対策として確実なのは、農作業の時に使うような防虫ネットくらい。


 さて、どうしよう……

 防虫ネットだと、やっぱり視界がイマイチなんだよなあ……

 散歩のときは、やはり風景も楽しみたいものです。


 そこで、他に手段がないか検索してみますと、

「ハッカ油を帽子や肩のあたりに吹き付けると近寄ってこない」

「天敵であるオニヤンマの模型を帽子につけると近寄ってこない」

 といった情報が見つかりました。

 ただし、そのどちらについても、「効果がなかった」とする説があったりして、なんともすっきりしません。


 で、自分なりに思考錯誤してみたのですが、とりあえずは団扇うちわでいいかなあと。

 メマトイの気配を感じたら、手首のスナップを効かせて、音のした辺りを素早く一撃。完璧ではありませんが、手で払うよりはずっと効果があります。


 ただ、人気(ひとけ)のない山の中を、むやみやたらに団扇を振り乱しながら進むその姿は、ぱっと見で不審者、悪くすると妖怪の類なんですよね……


 ですので皆様、もしハイキング中にそんな怪しい人影を見かけましたら、それは十中八九、吉田さんちの晶さんです。


 警察に通報などはしないようお願い申し上げます。

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