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チラシの裏の裏には書けない  作者: 吉田 晶


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2025.4.17 炊飯器の底ぢから

 数日前、近所のスーパーマーケットで、こんなものを見つけてしまったのです。


「入れて炊くだけッ! カオマンガイの素ォォォッ!」 (CV.千●繁)


 1食分(2合分)で200円とは、ずいぶん強気な値段設定。

 普通だったら、絶対に手を出したりはしないでしょう。

 しかし、こちらには()()()()()()事情があります。

 ううん、どうしよう……どうしようか……


 ――そもそも、カオマンガイってなんじゃらほい?


 ひとことで言うならば、タイ風炊き込みご飯です。

 鶏肉の出汁で炊いた米飯に、茹でた鶏肉を添えただけのシンプルな料理。

 

 だが、これがメチャクチャ美味しいのです。

 パラパラとしたジャスミン米の食感に、しっとりとした茹で鶏が実にあう!

 生姜のほのかな辛みと香りが食欲を刺激し、際限なく食べられちゃいます。


 昔の職場の近くに、カオマンガイをメインとしたお店がありまして、お値段もファミレスの日替わりランチ並みだったので、足繁く通ったものでした。


              § § §


 さて――

 半年ほど前のこと、急にカオマンガイが食べたくなったことがありました。

 例のお店まで行ってみてもいいのですが、電車代が往復で1,000円以上かかるんですよね。

 それだけ出すなら、近所の回るお寿司屋さんに行った方がお得な気が……。


 いやいや、胃袋はあくまでカオマンガイを欲しているのです。

 それを曲げては、負けた気がするではありませんか!


(ならばしょうがねえ、自分で作ってみるとすっか)


 というわけで検索してみると、レシピはすぐ見つかりました。

 その中でも、一番簡単なものを参考に作って見たのですが……


 うーん、やっぱり何かが違う。


 ジャスミン米の食感を再現するため、固めに炊けるよう水加減を調整してみたものの、それでもやはり、「べしゃっ」とした感じになるんですよね。

 あと、ニンニクの香りが前に出すぎている気がして……


(やっぱりお店の料理ってのは、お金をとるだけのことはあるなあ)


 そんなことを実感させられたのでした。


              § § §


 さてさて――

 過去にそんな経緯いきさつもありましたゆえ、「カオマンガイの素」を衝動買いしてしまったワタクシ。さっそくリベンジマッチです!


 作り方に書かれていたとおり、米を研いで、そこに「カオマンガイの素」を入れて、鶏肉ごと一気に炊いてしまいますよ。


(おっといけねえ。炊飯モードを「かため」にするのを忘れないように……あっ)


 思わず声が出てしまいました。


「おまっ……お前っ! “炊き込みご飯”なんて機能がついていやがったのかよ!」

「うふふ、バレてしまいましたか」(CV.大●のぶ代)


 そうです。

 我が家の炊飯器くんには、「炊き込みご飯モード」なるものがあったのですね。


 クッ……ククク……

 このタイミングで「新能力覚醒」とはなぁ!


 JOJOに例えるなら「エコーズACT3に目覚めた康一くん」状態!!

 さあ、いけっ、「約束された勝利の剣」をかましてやれッ!!!


------------------------------------------------------------------------

 ここで、皆様に忠告申し上げます。

「家電の機能を使う際には、必ず取扱説明書を熟読すること」

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 こうして、いつものより長めの時間をかけて炊きあがったカオマンガイ。

 さっそく、しゃもじでほぐしてみましょう。


 よおし、ちゃんと固めに炊きあがって……んん?

 なんだか、釜の底のほうに違和感があります。


 ……アイエエエ!? オコゲ!? オコゲナンデ!?


 慌てて炊飯器くんを見やれば、彼はドヤ顔で微笑んでいます。


 賢明な読者諸子ならもうお察しでしょう。


 「炊き込みご飯モード」とは、これすなわち、

 「()()()を意図的に作るモード」だったんですね。


 率直な意見として、カオマンガイにおこげは邪魔なだけな気がするのですが……

 いやいや、問題は味です。

 とにかく、食べてみましょう。いただきます。


 あー、うん。


 なんと申しましょうか。

 ご飯の食感が「ぱらぱら」を通り越して「ぼそぼそ」しちゃってるんですよ。

 決して食べられなくはないんですがね。

 頑張れば、食べられなくはありませんとも!


 あー、うん。


 水加減、また失敗しちゃいましたね。

 これ、2合がっつり炊いちゃったんだよなあ。あっはっは。


 ほんと、どうしよう(涙)


              § § §


 結局その日の夕食は、

 「カオマンガイ」改め「タイ風の鶏雑炊」となりましたとさ。

 あ、こっちは大変おいしかったみたいですよ。



 どんどはれ。

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