2025.3.21 「業火弾」と書いて「パニッシャー」と読む!
金曜の夜なので、なんとなく部屋の本棚を眺めていたら、懐かしい漫画本が目に入った。
『電人ファウスト』
1994年から1995年にかけて月刊コロコロコミックに掲載。
作者は上山徹郎先生。
あらすじをごくごく短く述べるならば――
舞台は現代(1994年当時)
正体不明の戦闘ロボットにその身を狙われた少女、留詩葉。
そんな彼女を危機一髪のところで救い出したのは、
「ファウスト」と名乗る人型ロボットであった。
もし興味が出てきたら、是非ネットで検索してみてほしい。
漫画の大まかな雰囲気を理解することができるだろう
(人はこれを丸投げと言う)。
さて、心の準備はよろしいか……?
この漫画の魅力を一言でいうならば「業火弾」であるッ!
「業火弾」と書いて「パニッシャー」と読む!
大事なことだからもう一度ッ!
「業火弾」と書いて「パニッシャー」と読む!
パニッシャー……
ああ、この音の響きだけでどんぶり飯三杯はいけてしまう。
主人公であるファウストは、銃を得物に留詩葉を攫わんと襲い来る戦闘ロボットと戦うのだが、そいつらは各々が特殊能力を備えているため――
「銃がきかねえ!?」
「やつのシールドには弾丸も通用しない」
「通常弾をいくら撃ってもST(注)を破壊することは不可能だ」
と、しょっちゅう火力不足による危機に陥る。
ああ、無惨なるかな通常弾。
もはやウィザードリィ6の弓矢並の扱いである。
しかし、心配はいらない。
ピンチの時こそ、業火弾の出番なわけである!(ふんすふんす)
「業火弾!」
「特殊な電磁波によって、弾丸を超高温のプラズマと化す最強兵器である」
「これは――、理論上、いかなる物質をも破壊できる」
ひゃっほう!
「理論上、いかなる物質をも破壊できる」と来たもんだ!
包丁がなかなか通らない冬場のカボチャだろうと、
あなたの足の小指をへし折ったタンスの角だろうと、
問答無用で破壊できてしまう。
文字通り「必殺技」なわけである!(ふんすふんす)
ところが、そんな無敵の業火弾にも「パワーの充填に3秒かかる」という明確な弱点がある。
敵のロボットは、基本的にファウストを凌駕する火力と運動性を備えている。
そんな奴らに、どうやって隙の大きい業火弾を叩き込むか……
その駆け引きがべらぼうに面白いのである。
ちなみにこの漫画、話の展開が魅力的で絵も綺麗だったから、個人的にすごく応援していたのだが、敵のボスの所に突入するぞーってところで、唐突に最終回を迎えてしまった。
上山先生の線は非常にシャープであったから、当時の月刊コロコロコミックの誌面においてはかなり浮いていた記憶がある(例えるならば、1960年代初頭に少年マガジンや少年クラブに連載されていた桑田次郎先生の作品のような存在感であった)。
作品の雰囲気的に「少年サンデー」あたりに連載していたら、もっと評判になったんじゃないかなあと、ファンとしては返す返す残念なのであった。
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(注)……戦闘ロボット「ビクスン」の武装。形状記憶合金の繊維で編まれ、磁気推進で自在に飛行する攻防一体の武器。悶絶するほどカッコいい。