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チラシの裏の裏には書けない  作者: 吉田 晶


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2025.9.22 この無駄はラグナロクのために(2)

 さて、前回は長々と「ヴィーザルの靴」にまつわる話をしてしまいましたが、

ここからが本題です


「お風呂でシャワーを使う時、お湯が出てくるまでの水をどうすべきか?」


 ちょっと想像してみてください。


 あなたは鼻歌まじりに風呂場に向かうわけですよ。

 体を洗うためにシャワーを使おうと、レバーを捻りますよね。


 すると最初に、まだ温まっていない水が出てくるじゃないですか。


  もちろん、しばらくすればお湯が出てくるのですが、寒い時期なんかは、けっこう待たされてしまう(この現象を、業界では「冷水サンドイッチ現象」と呼ぶみたいです)。


 団地に住んでいた頃は、毎日湯船にお湯を張っていたので、「お湯が出る前の水」はそこにシャワワ~っと注いでいました。

 湯船の温度は若干ぬるくなるかもしれませんが、それより「水を無駄にはしていない」というエコな満足感のほうがはるかに大きかったのです。


 けれども、今のアパートの風呂釜には追い焚き機能がついていないため、どうしてもシャワーだけで済ませることが多くなります。

 よって、先の手段は使えません。

 

 夏場はまだいいんです。「まあ、足でも洗っとくか」で済みますから。

 しかし冬は、たとえ足だけでも滝行レベルです。

 心臓がびっくりして止まっちゃいますよ。

 だから、やむなく垂れ流しに……ああ、もったいねえ、もったいねえ。

 

 大切な水を無駄にしたという罪悪感が、繊細な心をさいなみます。


 なんでも世の中には、「Q機能」なるカラクリを備えた高性能な給湯器があって、「冷水サンドイッチ現象」を防止できるらしいのですが……


 そんなの、ビンボーな賃貸生活じゃ見たこともねえよ!?

 貧しき者は、ただひたすらに己の罪に怯え続けるしかないのでしょうか。


【恐れるな! ヴィーザルの靴を思い出せ!】


 突如、私の脳内に力強い声が響き渡りました。

 声の主こそは、北欧の山奥で修行を積んだという聖者ヨシダ。


 そう、「革靴の端切れのポイ捨て」は、現代のエコ精神には反しますが、ラグナロクでの勝利に欠かせぬものでした。


 ならば、一見無駄に見える「お湯が出る前の水の流しっぱなし」という行為も、あなたが信じる神仏が有効利用したと信じれば許されるのではないでしょうか。


 例えば、あなたがスパモン教徒(※)だったとしましょう。

 さすれば、流しっぱなしになった水は、ラグナロクの際にスパモン様を茹でるための水として供されるに違いありません。


 おお、聖なるかな! 聖なるかな!








 ……とまあ、妄言はさておき。


 早く「Q機能」を備えた給湯器が安くなって、自分の住んでいるアパートにも取り付けられないかなあ。

 

 そんなことを思った、秋の日なのでした。


 どんどはれ。


※スパモン教

「空飛ぶスパゲッティ・モンスター教」の略称。

全てが全て、私の妄想というわけではないのだ。

(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A9%BA%E9%A3%9B%E3%81%B6%E3%82%B9%E3%83%91%E3%82%B2%E3%83%83%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BB%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E6%95%99)

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