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チラシの裏の裏には書けない  作者: 吉田 晶


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2025.9.13 たぶん荒れる話題

――もしも人生で、たった一つの調味料しか使えないとしたら、何を選ぶべきか。


 多くの人は、塩と答えるのではないでしょうか?

 生きていくうえで、塩分は必須ですからね。


 しかし、必ずこう反論をする人がいる。


「いいや、ぜったい醤油だッ! ぼかぁ塩分は醤油で取るから、問題ない!」


 そう、彼らは、ショウユニスト――

 コロッケ、目玉焼き、野菜サラダ……およそありとあらゆる食べ物に醤油をかけて食べる人々です。

 「味音痴」「腎臓悪くするぞ」等々、いかなる罵詈雑言にも耐えてきたその心臓は、こういう時もブレません。


 議論の場は、まさに一触即発の様相を呈するわけですよ。


 こんな時、「一つだけ選べ」とするのは、決して良策とは言えません。

 仮に酒でも入っていたら、取っ組み合いのケンカが起きること間違いなしです。


 そこで、太っ腹な吉田サンは提案するわけですよ。


「一つだけと言わず、二つ……いや、三つとしましょう。これでどうですか?」


 その瞬間、場の張りつめた雰囲気が、一気に和らぎました。

 ふう、これで建設的な議論ができますね。


 さて……

 中国では、古来「五味」なんて考え方があります。

 そこに含まれるのは酸味・苦味・甘味・辛味・塩味。

 別の文化圏では、渋味とか旨味などが味の基本に含まれることもありますね。


 個人的には、渋味や苦味については、わざわざ調味料で補わなくてもいいかなと思ってしまいます。

 同じく旨味も、昆布や鰹節といった素材で補えば十分ではないでしょうか。


 あ、ここでルールの補足をひとつ。

 「どこからどこまでが調味料か」という基準については、

 「各々自分の倫理や道徳が許すかどうか」とさせてください。

 たとえば、「昆布や鰹節でとった出汁は調味料だ」と思う方がいらっしゃったら、それで構いません。

 そのマイルールを踏まえた上で、三つの調味料を選べばよいと思います。


 閑話休題……。

 そうすると自分の場合は、酸味・甘味・辛味・塩味を補う調味料を三つ選ぶことになりそうです。


 まずは、酸味について考えてみましょうか。

 対応する代表的な調味料は、酢ということで異論はないでしょう。

 

 我が家の冷蔵庫にも、酢そのものは入っていませんが、ポン酢が入っています。

 とすると、三つの調味料のうち、一つはポン酢ということになるのでしょうか?


 これが難しいところです。

 ポン酢って、他の調味料と比べて、使用頻度がそれほど高いというわけではないんですよね。


 それに、()()()()その日の食卓に柑橘類が並ぶかもしれないじゃないですか。

 ()()()()そいつが柚子とかレモンといった柑橘類だったりしたら、酢の代わりになっちゃったりすることもあるかもしれない。


 ほら、サラダだって、トマトがあれば酸味は十分って方もいますしね。

 よって、酸味を補う調味料については、今回御縁がなかったということで……


 苦しい言い訳であることは重々承知しております。

 しかし、そういうことにさせてください(平伏)。


 続いて、甘味に目を向けた場合、代表的な調味料は砂糖でしょう。

 もちろん、甘いものは大好物ですから、こいつが使えたほうがいいのは確かなことです。

 けれど、調味料が三つしか選べないとしたとき、そこに砂糖が入るか否か。

 ちょっと、いや、大いに悩むところです。


 むむむ……こうやってひとつひとつ挙げていくとキリがないですね。

 このエッセイ、1,000字程度にまとめると言っておきながら、いつもオーバーしちゃって心苦しいのですよ。


 よって、結論から申し上げましょう。

 今回、自分が選んだ調味料三つは――


 ・めんつゆ

 ・一味唐辛子

 ・塩


 となりました。どんどんぱふぱふ~


 選定基準は、使用頻度とバランスです。

 ……いやね、「めんつゆ」を単独の調味料として扱うのは、我ながら卑怯かなあとも思ったのですよ。

 けれど、これ一つで醤油と味醂の両方をカバーできちゃうんですよね。

 今回のような縛りがある場合には、なおさら便利なのです。


 一味唐辛子は、最後まで胡椒と悩んだあげく、僅差でこちらに決まりました。

 フライドチキン、ステーキ、ラーメン……

 二十年前であれば間違いなく胡椒だったんですが、味覚って変わるものだなあ。


 塩については、もはや説明するまでもないでしょう。




 それにしても、ひとつだけ心残りなのは、自分の一番の好物である「寿司」に

かかせない「酢」も「わさび」も選べなかったことです。

 どうせ年に一度も食べる機会がないですから、しょうがないんですけれど……

なぜだろう、涙が止まりません。


 ふふ、彼らとは、また来世にでも会えるといいですね!!

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