2025.9.12 始末に困る話
他人にされて困る話って、あるじゃないですか。
例えば、夢の話。
あ、キング牧師が言う所の「夢」じゃなくて、寝てるときに見る夢の話です。
「その時、三途の川の向こうでおばあちゃんが言ったわけよ。
『タクアンはよく噛んで食べなさい』って。どう思う?」
……もう、返事はスタンプだけでいいですよね?
で、今朝、妙な夢を見たんです。
ちょっとその話をさせていただきたく――
§ § §
自分は、夢の中で団地暮らしをしているわけです。
ただ、その間取りは、いままで見たこともない。
夢に出てくる自室って、だいたいは実際に住んだことがある部屋なんですけどね。
その点で、今回の夢は異質なのです。
その部屋には、私の他に、少年と少女が一人ずついるわけです。
おもしろいのは、彼らの顔に全く見覚えがないこと。
夢に出てくる人物って、だいたいは実際に会ったことがある人なんですけどね。
その点で、今回の夢はやっぱり異質なのです。
天丼はさておき……。
その少年少女、名前がわからないのは不便なので、
仮に少年をサトシ、少女をピカチュウとします。
サトシは、どうやら私の友達らしい。すごく人柄がいいイケメンです。
ピカチュウは、そんなサトシにべた惚れで、四六時中くっついている。
なのにサトシは、まったくその好意に気づいていないのです。
やれやれ、サトシのやつ、とんだ主人公系鈍感ボーイですね。
しかし、話はそんな微笑ましいものではないのです。
ピカチュウは、「サトシと仲が良い」というだけで、私に憎悪を向けてくるヤンデレ系ガールだったのです。
サトシが私に親し気に話しかけるたび、彼女、舌打ちをするんですよ。
チッ……チッ……ピカァ……
こうして、夢の中だというのに、私は多大なストレスを受けているわけです。
内心(こいつら早く帰れ)って思っているのに、サトシは寝っ転がって漫画を読みながら、
「やっべ~! この話どう畳むんだろ! やっべ~!」
とか言っているわけです。
これは、当分帰ってくれそうにありません。
もう、いっそのこと、
「師匠が核爆弾で自爆して、ラスボスそのほか全滅させるんだよ!」
って最悪のネタバレをかまして追い出してやろうか……
そんなことを思い悩んでいると、突然、窓から真っ白い子猫が乱入してきたではありませんか。
「助けてください。僕は本当はえなりかずきなんですよ。助けてください」
なんでも、隣の部屋では悪の組織による人体実験が行われていて、このえなり猫はその被害者なのだとか。
好機到来!
この地獄から逃げ出すのは、今しかありません。
「な、なあ、私、今からこのえなり猫を連れて警察に行ってくるから、二人はここでちょっと待っていてよ」
するとサトシは、曇りのない眼差しで言うわけです。
「そんな危険なこと、吉田君だけに任せられるか! 死ぬときは一緒だ!」
ぎゃああ痛い痛い!
ピカチュウの殺意を孕んだ百万ボルトの瞳が突き刺さります。
こうして、苦難の旅路は幕をあけたのでした――
§ § §
おかしい。
この夢から覚めた時、死ぬほど感動していたのですよ。
だからこそ、わざわざそのあらすじをメモっておいたのに……
こうして文章に起こしてみたら、グデグデもいいところじゃないですか!
この後、サトシから「ピカチュウがなんか怖い」って相談を受けたり、えなり猫が人化に失敗して人面猫になったりするシーンが山場として用意されていたのですが、とても書き続ける気力がありません。
中途半端で恐縮ですが、今日はもう飯食って寝ます。
ではでは、また次回。




