表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
チラシの裏の裏には書けない  作者: 吉田 晶


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

177/259

2025.9.11 『日本のきのこ』

 今、私の手元にあるこの本――『日本のきのこ』。

 先日、バカマツタケの記事を書いた際に参考にしたものです。


 発行は「山と渓谷社」で、日本に生息するきのこのうち、およそ950種を網羅した写真図鑑であります。

 初版は1988年(私が持っているのは1991年の第6刷)ですが、現在も増補改訂版が発売されており、まさにロングセラーと言えましょう。 

 



 さて、この本の特色。それは何と言っても、「毒」と「味」についての記述が充実していることです。

 本書において、各きのこの毒と味はそれぞれ3段階で分類されています。

 まずは、毒の方に目を向けてみると――


 毒レベル1……食べると中毒症状を起こす

 毒レベル2……死亡例はないが、楽観視できない

 毒レベル3……過去に死亡例がある


 例えば、毒レベル「3」の「コレラタケ」の解説はこんな具合です。

----------------------------------------------------------------------------------

きのこ約20本(傘の径2cm。柄の長さ6cmほど)を味噌汁にして食べ、約7時間後嘔吐、腹痛、下痢が始まる。

下痢はほぼ20分おき、脱水症状、1日後入院。入院時は独り歩きは困難、約30時間後、血圧が下がり軽いショック状態。

2~3日目は意識が不明瞭になり傾眠状態――

----------------------------------------------------------------------------------


 まあ、名前を聞いただけで、食べたらどうなるかは丸わかりのコレラタケ。

 このあとも症状の描写が続くわけですが、文章の最後に何気なく「左の写真のものも幼女2人を中毒させた(原文ママ)」とか書かれているわけですよ。

 

 ちょっと待って、落ち着いて。文体がロバート・K・レスラーの『FBI心理捜査官』みたいになっちゃっていますよ!?

 ちなみに、幼女たちは結局どうなったのか。そのことについては一切記載なし。

 下手なホラーより怖いのです……




 それはさておき……

 一方、食用きのこの「味」のランクについては、どう定義されているのでしょう。


 味覚レベル1……食用になる

 味覚レベル2……食用になり、おいしい。

 味覚レベル3……食用になり、きわめておいしい


 ちなみに、本書においては「マツタケ」がレベル3で「バカマツタケ」はレベル2と評価されています。

 どうにも納得いきませんでしたが、このグレード表示は「筆者が総合的に判断したもの」であり、レベル2と3は「差異がさほどない」とのこと。

 そういうことであれば、とりあえずは矛を収めることにいたしましょう。


 それにしても、この「筆者」の()()()()()に対するこだわりは大したものです。

 例えば「ツクリタケ」というきのこ――名前だけではピンと来ないかもしれませんが、一般的には「マッシュルーム」という名で親しまれる食用きのこですね。

 それを紹介したページに、こんなコメントが記されています。

----------------------------------------------------------------------------------

最近はサラダに生で使われるが、みてくれだけの食べ方で、きのこ本来の持味を生かした料理にはほど遠い。やはり炒める、煮るが基本。

----------------------------------------------------------------------------------


 くぅぅ……「みてくれだけの食べ方」と来たもんだ!

 厳しい、実に厳しい。

 我らが海●雄山先生を彷彿とさせるような辛口レビューです。他にも――


「姿形からは想像もできないような、こっくりとした独特のうま味を持っている」

                            (ハエトリシメジ)

「なすと油味噌にして味わえば、なかなか捨てがたい風味が楽しめる」

                            (ムジナタケ)


 さらには巻末で、「きのこ料理の用語とつくり方」や「どのきのこがどの料理に合うか」といったことまで紹介されているのです。

 

 ね、なんだかすごい本でしょう?

 資料としてだけではなく、読み物としても非常におもしろいので、おススメです。


 ……と無責任に言いたいところなのですが、最新版は税込みで8,800円もするんですよね。

 自分の手元にあるものは定価4,630円。当時は消費税が3%だったとは言え、ずいぶんとインフレが進んだものです。


 まあ、図書館にはほぼ確実に置いてあると思いますので、興味があれば目を通してみてください。


 脳内にきのこが生えること、間違いなしですよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ