2025.9.10 バカマツタケ
【お知らせ】
この「チラシの裏の裏には書けない」では、
謂れのない迫害に遭うバカマツタケさんやアホウドリさんを、
全力で応援していく所存であります。
キノコ好きって、結構いるんですよ。
けれど、趣味として確立しているわけではないので、自己紹介の時とかに
「趣味はキノコです!」とは言わない。いや、言えない。
変な目で見られたくはないですからね。
しかし、たまたまキノコの話題になると、目を輝かせてしまう。
「アミガサタケのフォルム、たまらないですよね」
「私は、オオゴムタケに黒蜜かけたのが好きです」
「裏山でとれたキノコがカキシメジだったんですよ。
死にかけました。あっはっは」
そんな彼らの前で、バカマツタケの名を出してごらんなさい。
「たまらないですね!」
「バカマツタケですか!」
「ほう、バカマツタケ!」
キノコスキーたちのボルテージは、もうMAXなのでありますよ。
それほどのビッグネーム、バカマツタケ。
名著『日本のきのこ』(1988年 山と渓谷社)によれば――
「マツタケに酷似するが、やや小型で、マツタケより少し早く広葉樹林に生える」
「香りはマツタケに似るがさらに強い」
「時季外れの、しかも雑木林に生えるマツタケだからバカマツタケとはうがった名前。風味は本物に一歩も譲らず、珍重される」
なんともまあ、ロマンの塊のような存在であります。
けどね、だからこそ……
「バカはないんじゃないの、バカは!」
そう思ってしまうのであります。
ちょっと、これを見ていただきたい。
「バカマツタケ事業化についてのお知らせ」(令和6年7月31日付け)
(https://www.nikkei.com/nkd/disclosure/tdnr/20240730558278/)
多木化学株式会社が出した、しごく真面目なリリースなのですけどね、「バカ」の字面のせいで、どうにも緊張感がないのです。
これは、ちょっとまずいのではないでしょうか。
「バカ」の持つ言霊は、相当なものですよ。
ちなみに、ウィキペディアによれば――
「和名バカマツタケは模式標本の採取地となった青森県での呼び名をそのまま採用したという~【中略】~学名にも和名のローマ字綴りが採用されている」
なんということでしょう!
見れば確かに、バカマツタケの学名は「Tricholoma bakamatsutake」
世界レベルで「baka」が広まってしまいました!
例えば、私がキノコ仲間のアメリカ人マイクと話すとしますよね。
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Akira: Hey, Mike.
Mike: Hey, Akira. By the way, I wanted to ask you—this mushroom…
What does the baka in Tricholoma bakamatsutake mean?
Akira: …It means “fool.”
Mike: Whoa, really? Baka baka, fufuu~
【以下和訳】
アキラ:やあ、マイク
マイク:やあ、アキラ。ところで教えて欲しいんだけど、このキノコ……
「Tricholoma bakamatsutake」の「baka」ってどういう意味?
アキラ:……foolって意味だよ
マイク:ひゃああ、ほんとかい。バカ バカ ふっふー
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もうね、この後、私がいかにバカマツタケさんの素晴らしさを説明しても、マイクは「バカ」にしか目がいかないわけです。
軽はずみにバカマツタケなんて呼んでしまった津軽の民は、ホント深く反省したほうがいい。
――おっと、また字数オーバーしてしまった。
バカマツタケについての想いはまだまだ尽きぬのですが、今日はここまで。
ではではみなさま、ごきげんよう。




