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チラシの裏の裏には書けない  作者: 吉田 晶


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175/260

2025.9.9 アルバトロス

 突然ですが――

 みなさまは「アルバトロス」と聞いて、何を思い浮かべますでしょうか。


 ゴルフ用語の「アルバトロス」がいちばんメジャーでしょうかね。

 B級映画がお好きならば、「アルバトロス・フィルム」って映画会社が思い浮かぶかもしれません。


 私が初めてアルバトロスに遭遇したのは、ゲームボーイのソフト『魔界塔士SAGA』でした。

 1989年発売、開発はスクウェア。ゲームボーイ初のRPGにして、かの『ポケットモンスター』にも多大な影響を与えた偉大な作品です。


 さて、この「魔界塔士SAGA」におけるアルバトロス。一番最初のフィールドに出てくるモンスターで、鳥の姿をしているのですが、コイツが結構な強敵なのです。

 ゲームを始めたばかりのとき、味方のHPはだいたい20~60。

 ところがこのアルバトロスの「くちばし」攻撃は、一撃で20近いダメージを与えてくるのですね。

 さらには、一度に複数出現することもありまして、気付けばパーティーが半壊していたりする……実に恐ろしいヤツなのでした。


 この時点で、私の中では「アルバトロス」=「手強い鳥の怪物」と鮮明に刷り込まれることになったのです。

 鋭いくちばしで、駆け出し戦士たちを次々と串刺しにしていく魔鳥……

 怖いですねえ……恐ろしいですねえ……


 その次にアルバトロスと出会ったのは、スーパーファミコンのソフト『フロントミッション』でした。(ゲームばっかりだな……)


 これもやはりスクウェア社製で、近未来を舞台にしたシミュレーションRPG。

 主人公たちは「ヴァンツァー」と呼ばれる人型機動兵器を乗りこなし、戦場を生き抜いていくわけなのですが、そのヴァンツァー用の武装の一つに「アルバトロス」があるのです。

 悪名高きサカタインダストリィ製の三連装ロケットランチャーで、コイツを一点集中(guide)して打ち込めば、ほぼ確実に相手のパーツを破壊できる。


 間違いなくゲーム中の最強武装の一つ。

 もうね、アルバトロスさんの株、爆上がりですよ!




 ただ、この時点でちょっと気になったのです。


(そもそも「アルバトロス」ってなんじゃらほい?)


 『フロントミッション』では、英語のスペルも標記されていましたので、英和辞典で調べてみたのです。そうしたら――


「ALBATROSS」=「アホウドリ」


 いやいやいや、嘘だろ……orz


 「アホウドリ」と聞いて、真っ先に思い浮かべたのは、

 『11ぴきのねことあほうどり』でした。


 もしご存知ない方は、ぜひ画像検索してみてください。

 あの暢気なビジュアルで、冒険者を血祭りにあげていくとか……

 ホント、ファンタジー世界は地獄だぜ!




 それにしても、同一の存在なのに、「アルバトロス」と「アホウドリ」では、随分とイメージが異なりますね。

 海外における「アルバトロス」は――

-----------------------------------------------------------------------------------

・優雅さ、力強さ、孤高の象徴

 →広大な大海原を、何年も陸に上がらずに一人で飛び続けることから

・罪、呪いの象徴

 →サミュエル・テイラー・コウルリッジの『老水夫の歌』による

-----------------------------------------------------------------------------------


 対して、日本における「アホウドリ」は――

-----------------------------------------------------------------------------------

・アホ

 →人間が近づいても怖がらないため、捕まえるのが簡単だったから

・コロッケが好き

 →馬場のぼる作、『11ぴきのねことあほうどり』による

-----------------------------------------------------------------------------------


 海外と日本で、どうしてこんなに差がついてしまったのでしょう……


 いやね、前々から思っていたのですよ。

 名前の由来が()()()だの()()であるなら、まだ理解がおっつくのです。

 でもさ、「アホウドリ」とか「バカマツタケ」って命名は、あまりに理不尽じゃなありませんかね。そんなの、子どもの悪口レベルですよ。


 この「チラシの裏の裏には書けない」では、そんな謂れのない迫害に遭うアホウドリさんやバカマツタケさんを、全力で応援していく所存であります。




 ――おっと、字数もだいぶ増えてしまいましたので、今日はここまで。

 ではでは、ごきげんよう。

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