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チラシの裏の裏には書けない  作者: 吉田 晶


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2025.8.27 読み方は「きょうりゅう・たんく」らしい

 みなさん、こんにちは。

 先日、「スケボーに乗って高速移動する亀」という動画を見つけたのですね。

 その速度が想像以上で笑ってしまったのですが、同時に既視感を覚えたのです。


(あれ、これと似たようなものをどこかで……)


 答えはすぐに思い出せました。

 そう、「恐竜戦車」であります。


 恐竜戦車――

 円谷プロダクション制作「ウルトラセブン」の第28話「700キロを突っ走れ!」に登場した怪獣です。


 その姿は、キャタピラのついた台座の上に、ゴジラっぽい恐竜が「伏せ」をした格好でくっついているというもの。

 なんでも「キル星人」なる宇宙人が、その優れたサイボーグ技術で、キル星に住む原始恐竜と巨大な戦車をつなげたものなのだとか。


 名は体を表す……というか、一歩間違えば手抜き感すら漂う危険なデザイン。


 いや、それまでにもぶっ飛んだデザインの怪獣はいたんですよ。

 「ウルトラマン」のブルトンとかペスターとか。

 でも、ぶっ飛びのベクトルがちょっとばかり違うんじゃねえかなあ!?


 それに、名前のインパクトもすごい。

 漢字四文字で「恐竜戦車」ですからね。

 ちなみにこいつの()()()は「戦車怪獣」。手元にある『ウルトラ怪獣大事典』を確認すると、「戦車怪獣 恐竜戦車」と記載されており、軽くゲシュタルト崩壊を起こしました。

 

 余談ですが、昭和ウルトラシリーズに、漢字だけの怪獣ってのはそうそういません。あとはウルトラQの「怪竜」くらいじゃないでしょうか?

 そういう点でも、異質な存在であるといえましょう。


 さて、この恐竜戦車。当時、番組の制作予算が逼迫していたため、別作品で使った戦車の模型を流用して着ぐるみ代を安く抑えたなんて伝説があります。

 また、「戦車の上に恐竜が乗っかっている」という安易な発想に、美術担当の

成田亨氏(ウルトラマンをデザインした御方!)は随分と不満だったそうで、これがウルトラシリーズの制作から離脱するきっかけとなった――なんて話もあるくらい。


 制作側としては、どうやら不本意な出来の怪獣であったようです。


 では、実際にTVを見ていた子供たちの反応はどうだったのでしょう?

 それはそれで、この奇妙な存在を許容していた気がします。


(ダサい……いや、カッコイイ……のかな?)


 強いて言えば、タックアウト(いわゆる「シャツ出し」)のスタイルを初めて目にしたときと似たような感情とでも申しましょうか。

 ついついマネしたくなる愛嬌がありましたからね。




 いやあ、そんな話をしていたら、なんだか無性に懐かしくなってしまいました。

 ウルトラセブン対恐竜戦車のバトルシーンを改めて見直してみますか――


            \セブンセブンセブン!/

               【鑑賞中】


 ええと……、恐竜戦車のメインウェポンは、おそらく胸部にある大砲。

 けれど、セブンにひらりひらりとかわされちゃって、一発も当たっていません。


 それより、尻尾攻撃のほうがよっぽどセブンにダメージ与えているのですが……


 せっかく宇宙の彼方から来てくれたキル星人には悪いんだけどさ、

 戦車と原始恐竜を合成させる意味、あんまりなかったんじゃないかなあ。

 



 どんどはれ。

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