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チラシの裏の裏には書けない  作者: 吉田 晶


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2025.8.23 下世話草子(下ネタ注意!)②

【お題:昭和時代の変態はユニークだったのか】

【注意:文中に出た単語の検索は、自己責任でお願いします】


 ――ではでは田晶=サン、さっそくお願いします!

 

 私の声に、 “のじゃロリババア狸っ娘” は、「ごほん」と咳ばらいを一つ。


「どのような下らぬ仕事であっても、引き受けた以上手抜きはなるまい」


 そして背筋をピンと伸ばすと、言った。


「まず断っておきたい。

昭和の変質者が、飛びぬけてアホだったというわけではないのじゃ。

神代の時代から、こういう残念な話はあった。例えば『古事記』の丹塗矢伝説。

それより時代は下るが、『今昔物語』の蕪の話……挙げていったらキリがないわ」


               【吉田検索中】


 ――うっわ、随分とマニアックですね。(ドン引き)


「なんじゃおぬし、知らんかったのか? 学舎で何を学んできたのじゃ?」


 ――こんな話、教科書に載っているわけないじゃないですか。


「これで授業をしたら、さぞかし受けると思うがの。地味な古典の先生も一気に人気者じゃ」

 

 ――あだ名はHS(変態先生)で確定ですね。

 まじめな話、今はセンシティブな話題にうるさいですから、難しいのでは?  


「ふむ、今回の話の本質は、そういったところにあるやもしれぬのじゃ。

昭和の時代、()()()()()()()()は今よりずっと緩かったからの。メディアも、今よりずっと下世話じゃった。新聞の地方紙の三面記事なぞ、いろいろぶっ飛んでおったぞ。例えばの……」


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【若い男、女生徒に検便を強要】

○○市内の中学校トイレで若い男が女子生徒に検便を強要する事件が相次ぎ、

○○市教委は三日までに市内十六の小、中学校に通達を出し、注意を呼び掛けた。

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「変態さんが、衛生研究所の職員を偽って学校に侵入したというこの事件。

このあと紙面では、事件の詳細が解説されるわけじゃが、それは省略するのじゃ。

まあ、あの頃の学校なんて、誰でも簡単に立ち入ることができたからの」


 ――検便ってのが、時代を感じますねぇ。

 

「当時はまだ、サナダ虫が頑張っておったのじゃ。アレに効くマクリ(虫下し)のまずいことまずいこと、もう二度と飲みたくないのじゃ」


 ――ご愁傷様です。 


「それはさておき……三面記事といえばじゃ。おぬし、『ウィークエンダー』を知っておるか?」


 ――なんすか、ソレ?


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『テレビ三面記事 ウィークエンダー』

1975年(昭和50年)から1984年(昭和59年)まで、日本テレビで毎週土曜日の夜10時から放送されていたドキュメンタリー番組(ワイドショー?)。その名のとおり、全国ニュースで伝えられることがない三面記事をレポーター(泉ピン子や桂ざこば等々)がフリップボードや再現フィルムを使って解説する。

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「で、まあ、先ほどの新聞記事と同じようにの、取り上げられる事件の多くが下世話だったのじゃ。痴情のもつれによる殺人、痴漢、下着ドロ、覗き魔、トルコ風呂でのトラブル……。だがのぅ、この番組、悔しいが気になってしまう。ついつい見ちゃうというやつなのじゃ」


 ――私の脳内に巣食うような狸ですからね、しょうがないですよ。


「ぐ……反論できぬのが口惜しや……。ところでこの番組、放送が終了した昭和59年の時点でさえ、視聴率は約20%だったというから、人口に膾炙しとったことは間違いない。さて、今回の話はそもそも、【変態が女性のすぐ後ろでしゃがみこんで尻の匂いを吸引していた】という事件に対して、【やってることが昭和の変質者】というコメントがついたことにあったよな。思うに、このコメントを残した人物は、念頭に『ウィークエンダー』があったのではないかのう?」


 ――ああー、なるほど、話をそこに着地させたかったんですね。


「うむ。今も昔もアホな変態はいた。しかし、昭和の時代は、その情報が世に出る機会が多かった。そんなところだとわらわは思うのじゃ」


 ――昭和の時代は、変態天国ではなかったと。

 残念! それはそれで面白かったのですが!!









(あきれた……こんなやつ、放置しておくと世のためにならぬのじゃ!

けどのう、主人格は絶対に引き受けたくないしのう……ぽんぽこぽ~ん)


 脳内下剋上をするか、本気で悩む田晶=サンなのでしたとさ。

 どんどはれ。

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