2025.8.20 不幸
ポンポコポン☆ ポンポコポン☆
右も左もごきげんよう☆
宿主が「鼻毛霊」の祟りで人事不省に陥ってしまったので、今日はわらわ(※1)が代筆なのじゃ。
……って、こんなアホみたいな口上を、NHKのアナウンサーみたいな表情で読み上げねばならぬわらわの気持ちにもなってほしいのじゃ!
酒でも飲まねばやってられぬわ! ぽんぽこぽんのぽーん!!
【たぬき飲酒中……】
ふふん、ここだけの話。宿主は祟りなどと抜かしておるが、実際のところは、
宝くじが外れて(※2)呆然としておるだけじゃ。大事ない。
それにしてもタワケよの。
けっこう本気で、お盆明けから一切仕事をしないつもりでおったらしいぞ。
「ぼかぁ言霊の力を信じます! 信じるのです!」
とかほざいていた割に、見放されてしもうたならしょうがない。
実にアワレ。そっとしておいてやってほしいのじゃ。
そう言えば、宿主が今住んでいるところから自転車で一時間くらいのところの神社に、「厄割り石」なるものがあるのじゃ。
これに神社からいただいた土器の盃を叩きつけて割ると、厄祓いになるらしい。
以前、宿主が仕事を辞めるちょっと前に、たまたまここに来たことがあっての。
当時はとにかくトラブル続きで、精神的にも肉体的にもまいっておったから、いっちょ試してみるかということになった。
確か、初穂料もたかだか200円か300円じゃったしの。
それで気の迷いが晴れるなら安いもの。
さあ、盃を受け取って、藤川球児並みの火の玉すとれいとを「厄割り石」に叩き込んでやった――
なんとまあ、割れなかったのじゃ。
不吉じゃの。
どうしてよいかわからず、近くにあった看板を見てみると、「割れなかったら、もう一度試してもよい」みたいな注意書きがあったわけなのじゃ。
(なるほど、割れないってこともけっこうあるんだな)
そう気を取り直して、もう一度試してみた。
……やはり割れんかった。
こればっかりは嘘ではないぞ、本当の本当なのじゃ。
いっつもホラばかり吹いておると、こういうときの信用にかかわるのう……
それはさておき、な。
ツイていないことには自信がある宿主も、さすがにこれはドン引きじゃ。
いやもう、なんとも言えぬ気持ちになってのう。
もちろん、偶然であることは分っておる。
割れぬなら割れるまで叩きつけてやればよい。
……ただ、三度目の正直とも言う。
もし三度やって割れなかったら、これはシャレにならん。
結局ヘタレの宿主は、盃を割ることなく、神社を後にしたのじゃ。
それからのことは、語るまでもあるまい。
やることなすこと上手くいかなくなって、仕事は辞めてしまった。
で、いろいろあって現在の住所へと引っ越してきたわけじゃな。
この頃にはもう、心身ともにりふれっしゅしておった。
そして、ふとあの時のことを思い出した。
身も心も軽くなった今ならどうかと、また「厄割り石」に挑戦してみたのじゃ。
――はは、大して力も入れずに投げたのに、みごと盃は割れよった。
できれば最初に来た時に割れてほしかったが、まあ、気持ちの整理はついた。
で、その話を踏まえたうえでな……
今の凹んでいる状態で試してみたら、どうなると思う?
気になるのじゃ。興味深いのじゃあ。
ちょっと宿主の体を操縦して、もう一度ちゃれんじして来ようかしら。
もし割れれば、厄除けになったのでそれでよし。
割れなければ……鼻毛様の祟りは本物ということじゃな(笑)
ひっひっひ、「待て、続報!」というやつなのじゃ。
それではみなさま、ごきげんよう。
※1……わらわ
吉田晶の脳内に潜む人格の一つ。齢を経た雌狸。あざとい。
最近は月1ペースで現れる。気苦労が多い。
※2……「2025.6.4 たぬきのたからくじでぽんぽこぽんのぽん☆」参照




