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チラシの裏の裏には書けない  作者: 吉田 晶


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2025.8.18 へー、君って「わがままコーデ」なんだ。オシャンティじゃん ③

 みなさま、こんにちは。

 前回に引き続き、ニンテンドーDSの名作

「わがままファッション GIRLS MODE」のヨタ話、いきますよ~!



               § § §



 かくしてセレクトショップ「センスゼロ」の店長となった主人公こと“AKIRA”。

 しかし、目の前には暗雲が立ち込めているのでありました――


「ちょっと……当初の運転資金が50万円って、少なすぎでしょ!?」


 イケメンオーナーの美也さん、経営方針は行き当たりばったりなくせして、財布のひもだけは固いのです。


「アタイのバカッ! いきなり店長になれるなんて、そんなうまい話がホイホイ転がっているわけないじゃない! (ハッ!)……まさかこのお店は、追い出し部屋ならぬ追い出し店ってやつ!? バイト初日でいきなり追い出される理由は知らんけど、そうに違いないわッ!」


 過酷な現実に思わず膝をつくAKIRA。


「何より、自分の墓碑銘が『センスゼロ』とか、嫌すぎ……嫌すぎるのよ~ッ!」


 とまあ、妄想はさておき……。

 店の評価を上げるためには、できるだけ多くのお客さまに満足していただく必要があります。

 そのためには、前回にも申し上げましたとおり、幅広いアイテムを揃えておくことが不可欠なのですね。

 けれど、高級ブランド品は1点で10万円超えもザラ。必然、しばらくは若者向けのカジュアルな品を扱って資金を貯めることになります。


「くっ、やって来るのは財布の軽いコムスメばっかりじゃない……」


 ちなみにこのゲーム、お客さまは300人以上いて、それぞれに

「名前」「好きな色」「好きなブランド」「休日」などのデータが存在します。 

 ですので――


(このお客さん、また靴下を買いに来てくれたんだ……)


 なんてことがあったりするわけです。

 さらには、お客さまに遊びに誘われるイベントも起きたりするので、情が移るのも当然のことと言えましょう。


「ふふ……貧乏だけど夢だけはいっぱい。そんな若い子たちの隠れ家的セレクトショップも、いいかもしれないわね」


 AKIRAが、そんなことを思うようになってからしばらく――


「え、どうしてこの日だけ売上がすごい事になっているの!?」


 確認してみると、遊びで1点だけ入荷した高級ブランドのスカートが、たまたまその日に売れていたことが判明しました。

 普段は、300~500円で仕入れたTシャツだの靴下だのを1,000円ちょいで販売しているわけですが、そのスカートは3万円で仕入れて5万円で売れた――


 時間当たり、およそ20倍の儲け。

 AKIRAの目が、じっとりと欲望に侵食されていきます。



               § § §



 それからしばらくして……。


 『センスゼロ』は、その姿をすっかり変えていました。

 シンプルでカジュアルだった内装は、コンクリート打ちっ放しのクールなものに。

 メインの商品は、もちろんセレブ向けの超高級ブランドです。


 ほら、そんなことを言っている間にも、有閑マダムが総額ン十万円の買い物をしていきましたよ。


「まいどありがとうございました~♪」とご満悦のAKIRA。

 しかし、その表情にふと翳りを見せます。


(最初の頃のお客さん、誰も来なくなっちゃったなあ。

きっと、「センスゼロは、変わっちまったよ」とか言われているんだろうなあ……)


 それを思うと、ちょっとだけ心苦しい。けれど……


「しょうがない、しょうがないのさ! 山吹色の輝きは、簡単に人を狂わせる……

ふふ、アタイを笑えるやつなんて、この世にいやしないよ!」


 彼女の慟哭が、裏原宿に谺するのでありました。



                § § §



 さて――

 このゲームの大まかな雰囲気は伝わりましたでしょうか。


 AKIRAは銭ゲバになってしまいましたが、もちろん、お金を稼ぐ以外にも楽しみ方はあります。


 例えば、一度仕入れた商品は、アバターに着せることができるようになります。

 ビジュアルも反映されますので、ちょっとした着せ替えを楽しんだりすることもできるのです。

 ……大きな声じゃ言えませんが、これが結構楽しいのですよ。

(ちなみにAKIRAは、コテコテのブリティッシュスタイルです。さあ、笑えよ)


 アイテム数が1万種類以上、その中には時期限定品(DSの時計と連動)もありますので、コンプするにはかなりの労力が必要となります。

 やり込み系のゲームが好きな人にも、おすすめできますね。


 ただ、あえて苦言を呈するとしたら、セーブデータが一つしか作れないこと。

 これだけ大量のデータを処理する以上、しょうがないとも言えるのですが、


「久しぶりに初心に帰ってプレーしたい。けれど、ここまで積み上げたデータを消すのは忍びない」


 そんなジレンマに陥ってしまうのです。

 ……まあ、今なら中古でお安く買えますので、ソフトをもう一本買えばそれで解決しちゃうんですけどね。


 いずれにせよ、非常によくできた作品です。もしこのタイトルをプレイできる手段をお持ちであるようならば、ちょっと遊んでみてはいかがでしょう。いい暇つぶしになると思いますよ。


 ――おっと、ついつい話が長くなってしまいました。

 三回に渡ったこのゲームのお話も、そろそろお開きといたしましょう。


 ではではみなさま、ごきげんよう。

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