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チラシの裏の裏には書けない  作者: 吉田 晶


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2025.8.10 バステ「石化」体験アリ(前編)

 いまはむかし――

 『デジタル・デビル物語 女神転生』なるコンピューターゲームこれあり。


 ハードは初代ファミコン。

 1987年発売。当時の発売元はナムコでした。


 そのストーリーをごくごく単純に申し上げますと、


 198X年、大魔王ルシファーが奈良の飛鳥に大魔宮を作りよったんじゃあ!

 イザナギの化身である中島朱実と、イザナミの化身である白鷺弓子は、

 ルシファーを倒すために、この迷宮にカチコミをかけるんじゃあ!


 そんなお話でございます。



                § § §



 さて、この「飛鳥大魔宮」は6つのエリアに分かれています。


 最初のエリアは「ダイダロスの塔」。

 ギリシア神話の怪物ミノタウロスが支配する領域です。

 まあ、スタート地点ということもありまして、中島と弓子はここをサクサクっとクリアするわけですよ。


 で、次のエリアは「天空の町ビエン」です。

 そこに足を踏み入れたとたん、違和感が押し寄せてきます。


 ……あれ? なんだか画面がモノクロじゃあございませんか?


 もちろん、バグなどではありません。

 なんとこの町は、かの高名な「メデューサ」によって、丸ごと石化させられていたのです。町の人もみな石像になってしまっているため、話を聞くこともできません。


 こいつは困った。

 彼らを救う手がかりを求め、廃墟と化したビエンの探索を進める中島と弓子。

 そんな二人の前に、とうとう「メデューサ」が現れました。


「ヒヒヒヒ・・・

 おまえたちも たのものたちと どうように

 いしに してくれようぞ!」


 さあ、戦闘開始です!





「アクマは、コンクリートをまいた」

「コンクリートは かたまらなかった」


 ……は?

 ……いまなんと?


 バトルメッセージを改めて確認します。


「アクマは、コンクリートをまいた」

「コンクリートは かたまらなかった」


 見間違いではありませんでした。コンクリートです。

 もうね、ヤング吉田はのけぞってしまいましたよ。


 ちょっとちょっとメデューサさん!?

 アンタ結局、町も人も全部、コンクリートをぶっかけて石にしていたってワケ!?

 お疲れ様にも程があるよ!!


 もちろん神話のメデューサは、その恐ろしい姿を目にしただけで石になるとされる怪物です。

 けれど、その特徴をゲーム上で再現するのは難しかったのでしょう。

 あるいはこのゲームにおいて、麻痺攻撃は「アクマに、にらまれた」なので、それとはっきりとした区別をつけたかったのかもしれません。


 ……でもさあ、どちらにしろコンクリートはないだろうがコンクリートは!!


(続く)

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