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チラシの裏の裏には書けない  作者: 吉田 晶


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2025.8.4 四体合体マン・オ・ウォー

 もうね、わけがわからんのですよ。


 洋物のRPGを遊んでいると、たまに「マン・オ・ウォー(Man o' War)」ってモンスターに襲われることがあります。

 だいたいは海とか川といった水辺に生息していて、見た目はまんまクラゲですね。

 しかし、そんなのんきな外見にもかかわらず、毒を持った強敵として描写されることが多いのです。


「ああっ、拙者のエルフのニンジャがマン・オ・ウォーの大群に襲われて中毒死したでござる!」



                § § §



 このクラゲの化物「マン・オ・ウォー」、その名前がもともと意味するところは「軍艦」なのだそうです。


 まず「man-of-war ship」という言葉がありました。

 日本語に訳すと、「戦闘員が乗り込む船」といった意味になります。

 それが、時代を下ると「ship」が省略され「man-of-war」だけで、「軍艦」を意味するようになったのだとか。

 そして、当時の軍艦は帆船でした。帆を張ったその姿が、強力な毒を持つこのクラゲにそっくりだったため、「マン・オ・ウォー」と呼ばれるようになったと言われています。


 ちなみにこのクラゲ、日本では「カツオノエボシ」と呼ばれています。

 それなら、聞き覚えのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 「電気クラゲ」ともよばれるヤベえ毒クラゲです。

 こいつのタチの悪いところは、たとえ死骸でも毒は生きているため、うっかり触れると強烈な電撃を受けたかのような痛みに襲われるのだとか。ヒェッ、おっかねえ……。


 最近では、宮城県の海岸に次々と漂着して大変なことになっているそうですね。



               § § §



 で、ここからが本題。

 ボーッとニュースを見ていたら、こんな記事を見つけたんですね。


「宮城県内の海水浴場に、強い毒を持つクラゲに似た生物『カツオノエボシ』が相次いで漂着している」


 んん?

 「クラゲに似た生物」って……アイツ、どこからどうみてもクラゲじゃん。


 誤植かと思って、ウィキペディアさんに聞いてみたのですよ。

 そうしたら――


【ヒドロ虫の仲間に属し、英語で Jellyfish (ジェリーフィッシュ)と呼ばれるミズクラゲやエチゼンクラゲなど、鉢虫綱に属するいわゆるクラゲとは異なる】


 とのことでした。

 つまり、クラゲのようでクラゲじゃない。

 ふんふん、それで?


【1個体に見えるのは、実は多くのヒドロ虫が集まって形成された群体である】


 なんと、あのどう見てもクラゲっぽい姿は、複数の生き物が集まってできているのだそうです。


 昭和のウルトラマンにはけっこういますね、そういうやつ。

 ジャンボキングとかタイラントとか。

 じゃあ、恐竜戦車はどうでしょう? 悩むところです……


 閑話休題。


【ただし、これは、独立したヒドロ虫の個体が数千数万集まっているという意味ではない。1つの幼体が、成長の過程で複数の生物に分化し、群れをなすと言う意味である】

 

 ……ええと、急に難解な話になってきました。

 ゲーマルクのチルドファンネルの話でもしているのでしょうか?

 みなさま、ついてこれていますか。

 自分はすでに二周遅れくらいです。


 どんどはれ。







 しかし、それではあまりに投げやりなので、カツオノエボシの成長過程を吉田さんなりに噛み砕いてみましょう。

(あくまで私なりですから、信じてはいけません。話半分に聞き流してください)



               § § §



 まず、カツオノエボシの成熟した本体から、生殖枝ってのが切り離されます。

 直径1cmくらいの、ふやけたウニみたいな姿をしています。


 それが、成長するにしたがって、複数の生物に分化します。


 ①気胞体:浮き袋の部分

 ②栄養個虫: 食物を消化する部分

 ③触手:獲物を捕らえる触手の部分。毒がある!

 ④生殖樹状体:生殖機能(幼体を作り出す)の部分


 しかし、分化といっても、ゲッターロボみたいにいったんバラバラになってから合体するようなことはありません。

 あくまで各パーツは繋がったまま発達していくのです。

 だから、近くのカツオノエボシとパーツを交換したりとか、そういったことも一切ありません。


 自分で書いておいてなんですが、普通に一つの生物として成長するのと、何が違うのでしょうね?

 いわゆる「グループ企業」のように、何らかのメリットがあるのでしょうか?


 そういったことを突き詰めていくと、キリがありません。

 実際、研究者レベルでも、カツオノエボシの成長過程については、わからない点が多いようなのです。

 なので、今日はとりあえずカツオノエボシについて


 ・とにかくさわるな危険

 ・クラゲのようでクラゲじゃない

 ・まだまだわかっていないところも多い


 これだけ理解していただいて、ひと夏のアバンチュールの小粋なトークにでもご利用いただければ幸いです。


 長々と駄文失礼しました。

 ではではみなさま、ごきげんよう。

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