2025.7.29 743days(前編)
今日の話は、前回(2025.7.28)の記事の続きとなっております。
ご覧になっていない方がいらっしゃいましたら、先にそちらをご覧ください。
また今回は、J・ベルヌの『十五少年漂流記』に係るネタバレがありますので、その点どうかお含みおきください。
§ § §
昨日、「J・ベルヌの『十五少年漂流記』には、時代ごとにいくつかの邦題が存在するが、その中でどれが一番センスがいいか」というエッセイを公開したのですね。
そうしたら、こんなコメントをいただきました。
「何なら、今時のラノベ風のタイトルとか付けたらいいかもですね」
……ふははは、そんな振りをされれば、やらぬわけにはいかぬのよなあ!!
(↑カーズ様ふうに)
そうして1時間ほど悩んで考えたタイトルがこちらです。じゃーん。
「743days ――少年は流れ着いた無人島で大統領になるようです」
『十五少年漂流記』の本文によれば、少年たちが遭難したのが1860年2月14日、それから「グラフトン号」に救助され、オークランド帰還したのが1862年の2月25日なのですね。日数を計算すると「743日」になりますので、それをメインタイトルに置いてみました。
ベルヌ御大の原題をリスペクトしつつ、それを日数に置き換えることでオサレ感を演出。あまりの出来のよさに我ながらうっとりします。(←安上がりだね)
それより、サブタイトルの方が難産でした。
最初に思いついたのは「少年たちが無人島から脱出するようです」というもの。
けれど話の序盤で「今いる場所は四方を海に囲まれた島である」ってことが判明してから、「脱出」は物語のメインではなくなってしまうのです。
ならば「少年たちは流れ着いた無人島で生き残るようです」ではどうだろう?
うーん、ありきたりすぎませんか? さらにいえば、少年たちは初期装備に恵まれていますし、作中で生命の危機におちいることだって数回しかないんですよ。
結末だって全員生存のハッピーエンドなので、これもなんだかしっくりこない。
そうすると、ちょっと奇を衒った感じになってしまいますが、
「少年は流れ着いた無人島で大統領になるようです」――こいつでどうだッ!
作中における二回の選挙は、物語の流れを決める大きなイベントですからね。
非日常感も出ますし……よし、こいつにしよう。
そんなこんなで「今時のラノベ風」のつもりでひねり出したこのタイトル。
落ち着いて見直してみると、あれ?
どちらかと言うと「一昔前のや●夫スレ」のノリにしか見えない。やべえ。
おまけにぱっと見だと、『十五少年漂流記』だってわからないんじゃないか?
急に不安になってきたので、ChatGTPさんに聞いてみたのです。
【以下は、ある小説のタイトルをラノベ風にしたものです。元の小説はなんでしょうか?】
そうしたら、帰ってきた答えがですね……
【このラノベ風タイトルの元となった小説は、おそらく ウィリアム・ゴールディングの『蠅の王(Lord of the Flies)』 です】
おお……
おおぅ……
その作品はアウトだろうがーッ!?
『蠅の王』――
有名な作品なので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
『十五少年漂流記』と同じように無人島に漂流した子供たちが、権力争いをきっかけに獣性に目覚め、リンチ殺人を起こす。
そんな救いの無い物語です。
もちろん『蠅の王』は『十五少年漂流記』のオマージュですから、似ている部分も多々あるのですが、どうして『蠅の王』の方を上位の選択に持ってきたのか……。
納得いかないので、Geminiさんにも同じ質問をしてみました。
すると――
(続く!)




