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チラシの裏の裏には書けない  作者: 吉田 晶


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2025.7.1 『人くいお母さん』 その②

 みなさま、こんにちは。

 昨日に引き続き、カフェルン族の民話『人くいお母さん』の続きを見ていくといたしましょう。



                § § §

 


 カモシカと【にんげん】をぺろりと平らげ、食後の昼寝をはじめた“人くいお母さん”。するとお父さんが、


【おじいさんの ところに かえらなくては いけない。目をさましたら さいご、こんどは たべられて しまうぞ】


 と子どもたちを逃がします。


 このとき子どもたちは、自分たちの村への近道を教えてもらうのですが、目を覚ましたお母さんは、そんな設定に関係なく子どもたちに追いつきます。


「これ、近道を教えた意味ないじゃん!」


 子供心ながら、そうツッコんだのを憶えています。


 さて……。

 激おこぷんぷん丸のカニバルマザーに向かって、子どもたちは命乞いします。

すると、なんだかんだ言ってもそこは母親、情にほだされて二人を見逃すのですね。ここまでは、すごくハートフルな展開です。


 ――しかし帰り道、だんだんと惜しくなってくるのです。


【せっかくの ごちそうを、ああ もったいないことを してしまった。しかたがない。かわりに、お父さんを たべると しよう】


 えええっ! お父さんは非常食扱いですかあッ!?


 もうね、もうね、シビれちゃいますよ、この展開!

 満天の星空のもと、カフェルン族の語り部は、このセリフをノリノリで語ったに違いありません。

 それを聞いていた子供たちの「そりゃねえよ!?」というツッコミまで目に浮かぶようです。




 で、家に帰ったお母さん、お父さんに向けて宣言します。


【子どもたちを たべそこなったから、お父さんを たべることに したよ】


 するとお父さん、【おちついた こえで いいました】


【それは いいが おまえ、わたしを たべたら だれが おまえの しゅじんに なるんだい。こまんないかな】


 ――これ、原文そのままですからね。

 なんだかお父さんも怖いよ! 

 雰囲気が『逃げ上手の若君』に登場するサイコさんにそっくりなんだよ!!


 それはさておき……。

 鬼嫁はダンナのその言葉に【それも そうだ】と納得して、また子どもたちを食べに戻るんですね。

 この人、2ページ前で、子どもたちに向けて


【まあ ゆるしてやろう】

【おじいさん のところで なかよく くらすんだよ】


 なんて言ったばっかりなのに……思考がかなり短絡的です。

 しかし頭が残念な一方で、お母さん、身体能力だけはバツグンです。

 子どもたちが村に到着する一歩前で追いつくと、二人を捕え、そのまま丸のみにしてしまいます。それから……


【むらの なかに はいると、むらの けものや、鳥や、にんげんを、かたっぱしから つかまえて、たべて しまいました。そして さいごに、大きな おのを ひとつ ひろうと、それを かついで、うちの ほうに かえっていきました】


 うわあ……大惨事。

 もうほとんど東映の怪獣映画です。

 このまま、人くいお母さんの暴走は止まらないのかッ!


 ――次回、完結であります。

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