2.紅白饅頭
朝、目を覚ましてくしゃみをする。もそもそと布団から起き上がり、乾いた暖房の風にあたってむず痒くなる。寝室から出ると、ひんやりとした空気を浴びて、また、くしゃみをする。
リビングに行って、電気をつける。暖房をつけ、暖かくなるまでの間、飲み物を温めに行く。
キッチンに移動し、冷たい床をなんとか我慢しながら、コンビニペットボトルコーヒーに、牛乳を入れてレンジでチン。
取り出して一口飲むと、安っぽく酸化したコーヒーを、牛乳のまろやかな味でコーティングしている。
リビングに戻り、飲み物を机の上に置く。
朝食代わりに、紅白饅頭をいただくとしよう。
紙袋からガサガサと、シンプルなパッケージを取り出す。
パッケージには、英語で「Red & White Steamed Buns」と書かれていた。私は「Steamed Buns」の意味を知らなかったので、検索する。どうやら「蒸した丸いパン」もしくは「蒸した小さなパン」という意味だそうだ。
ワクワクしながら袋を開けると、饅頭の甘い香りが広がる。一つ。紅い饅頭を取り出し、透明なフィルムを丁寧に剥ぐ。
肌触りはしっとりとしている。下や側面には薄っすらとあんこが透けて見える。
耐えきれずに一口頬張ると、しっとりとした甘い皮と、甘さ控えめのあんこが出迎えてくれた。クセ一つなくたべやすい。もう一口。あんこが口の中に広がる。
「ああ幸せ」
ついつい口から言葉が漏れる。あっという間に1個完食してしまった。
実は、今年紅白饅頭を買ったのは2回目である。それも同じお店で買ってしまった。
はじめは、饅頭なんて美味いのか? どーせ皮がパッサパサしててお茶必須のあま~いあんこがつっめつめなんだろ? と、ものすごく舐めてかかっていた。
だが食べてみて、ものすごく好みだったため、買ってしまった。
今度は白にも手を出す。
こちらは色素がはいっていないからなのか、少し素朴な感じがした。こちらもあっという間に食べきる。
食べてて気づいたことがある。やはり饅頭はコーヒーではなく、緑茶だ。飲んでてあまりの合わなさ加減に辟易してしまった。
おまけに喉が痛い。今日は仕事だってのに、口内炎とダブルパンチだ。少し落ち込む。
甘いものを食べて朝からの仕事に取り組む。元気溌剌で家から出られると思ったのだが、なんだかだるい。体調が悪い。喉がおかしい。うわ、多分風邪だ。
しょうがない。ちょっと無理して行くことにしたのだった。