1.カレーとコーヒー
まだまだ新年ムードが収まらない1月の初め。
腹が減った。尋常じゃなく腹が減った。
初めての食レポ練習は、縁起良く紅白饅頭にしたかった。だがお昼の3時頃、私は余りにも空腹で気分が悪かった。胃がからっぽのまま饅頭を食らうと、買った物すべてがなくなりそうな恐怖感におそわれる。
水分不足なのか、空腹なのか全くわからない私は、ふらふらと車を走らせ、某喫茶店に向かった。
意識が曖昧なまま、食べた事のないカレーと、金箔の乗った特別仕様のコーヒーを頼む。
やっぱり空腹には勝てない。だから太るのだと嘆きながらも、シックで落ち着いた店内で、こうしてゆっくりしていると心が落ち着く。
先程まで紅白饅頭を買うために、大きなショッピングモールにいたのだが、人が多すぎて人酔いしてしまった。メンタル第一の私は足早に駐車場に行くも、自分の車が見つからず軽い迷子になった。
歩くのがつかれた。そんなんだから体重が最高新記録をたたき出すのだ。文章は未来の自分が後できれいに直してくれるだろう。多分。
そうこう考えている間に、カレーとコーヒーがやってきた。スパイシーな香りを嗅ぐと、頭がぼーっとしてしまった。メニューをひろげたままの机を、私は慌てて片付ける。なんだか店員さんに申し訳なかった。
白い楕円形の皿にシンプルなカレーの盛り付け。ルーは濃いめの茶色で、照明の光が当たってキラキラしている。御飯の上にはフライドガーリックがかかっている。皿に収まりきらなかった赤い福神漬。コーヒーの上には生クリームと、金箔が乗っていた。
早速カレーを一口。スプーン丸々いただきたかったが、あまりにも熱かったので、スプーン半分だけ、口に含んだ。
スパイシーだが、ものすごく辛いわけではない。味が濃ゆい。ルーも少し固めで、コーヒーと相性がいいように作っているのだと思われる。
肉もふるふるしてて美味しそうだ。一口頬張ると、案の定口の中でとろけて美味しい。フライドガーリックとも相性良し。なおさら強くクセがいい。
福神漬はとっても普通なので、そこが何だか落ち着くし安心する。
空腹がなくなり、心が少しだけ安定してきた。
コーヒーもいただく。
上の生クリームはとっても甘い。コーヒーと一緒に口に含むと、クリーミーで優しい甘さに変わり、ホッとする味になる。コーヒー自体も比較的甘め。ゆっくりするのにちょうどいい。
カレーをガツガツと食べ進め、無意識にでた言葉が「辛っ……」だった。やはり、濃ゆいイコール辛いの可能性は高いのかもしれない。
実は、口元に口内炎がある。だが美味しいので気にしない。ヒリヒリした口内に、最後の一口を名残惜しく入れ、皿を空にする。ガバっと一気に食べきってしまった。
後はコーヒーをチビチビ飲む。金箔がちょこんと乗っているだけなのに、何とぜいたくな気分になるのか。
上を見上げると、天窓越しに青空が見える。黒色の1人用ソファに持たれながら、おしゃれなガラス製の明かりを眺める。
鞄から文庫本を取り出し、ペラペラとのんびり黙読する。気がついたら外が暗くなっていた。
私は慌ててお会計を済ませて、家に帰った。
家に着いてリビングに行くと、お菓子が増えている……。
また太る可能性が増えたと嘆くべきか、少しはネタに困らないのかもしれないと、ポジティブに考えるべきか。私は頭を抱えたのだった。