おもらしサクラちゃんの『わくわくどきどきダンジョン配信♪』
初投稿です(ほぼ)
ダンジョン配信に挑戦してみました
わたし、西行寺サクラ!!
実はね、最近街の近くに変な建物が出来たの!
誰が作ったのか分からないし、いつできたのかも不明だけど、驚くのはそこじゃなくてね!! なんと、その建物は異次元に繋がってて、RRGで出てくるようなモンスターが沢山出てくるんだよ!
で、テレビでそれが中継されててすっごい話題になっちゃって。
今は色んな人が面白半分で見に行っちゃうから危ないんだけど、とある今ではレジェンドって呼ばれてる人がその中で生中継したらネットで凄くバズって今では最新のトレンドになってるの!!
で、わたしもその流行に乗ってみようってわけ!!
乗るしかない、このビックウェーブに!!
―――そして、西行寺サクラの初の生配信が始まった!!
「さてさて、まずはこのドローン型の生中継カメラを飛ばしてーっと……」
サクラは言いながら持ってきたドローンのスイッチを入れる。すると、ドローンはプカプカ浮き始めて備え付けのライトが光り、周囲が明るく照らされる。
「えーっとカメラは……うん、ちゃんと回ってるね」
サクラは連動させてあるスマホでドローンから映し出される映像を確認する。更に、耳に無線イヤホンを装着。これは配信で流れてくるコメントを音声読み上げしてくれる機能がある。
「よしよし、準備できたかな……」
これでバッチリと重い、サクラは建物の入り口に入る。
「中は、あれ?意外と普通だ……?」
建物の中は、何かイベントを行うような場所ではない。多少暗いけど、周囲の壁は白くて清潔だ。イメージする所は病院みたいな感じ?
だけどこの奥にはRPGで出てくるようなモンスターとか魔法みたいな効果のあるアイテムが沢山ポップするんだって聞いてる。
「ま、いいか。それじゃあ配信スタート!」
サクラは元気よく事前に準備してあったスマホのアプリを起動させる。
これを起動させることで配信が始まるのだ。そして、配信が始まると、無線イヤホンから機械音声がぽつぽつと流れてくる。
<おいっすー>
<2げと?>
<人少ない?>
「お、コメントきちゃー!えーっと……」
サクラはイヤホンから流れてくるコメントを読み上げ始める。
「人少ないかな?それはしょうがないよ。今回初のダンジョン生配信だし」
ちなみに今回の配信はSNSで事前に告知してある。わたしは、普段は動画サイトで時々ゲーム実況とかしてるから知名度が全く無いわけじゃない。ただ、それでもチャンネル登録数は2千人くらいだし、動画再生数も伸びて1万越えるくらい。
<サクラちゃん、今日もかわいいー>
<その恰好何?>
「ありがとー♪ この格好はね、パパに借りた探検道具だよっ!!」
わたしが今装備してるのは、防弾チョッキとヘルメット。
それに上下に服は迷彩柄のつなぎで、手には軍手とスコップ。
<なんか本格的な装備だな>
<パパに借りるって……サクラちゃん、もしかしていい所のお嬢様?>
「え、良いとこ……? うーん、どうだろ?」
一般的に見れば裕福な家庭かもしれない。
借りたものはパパの会社の下請けの系列のお店に頼んで取り寄せてもらったものだ。わたしは知識が無かったからパパに相談したら色々と用意してくれた。
<こんちゃー>
<生配信と聞いて>
<美少女がモンスターにイタズラされると聞いてやってきました>
<美少女のイタズラ……ハァ、ハア、いいっすねえ!>
コメントを読み上げていると、早速視聴者が来てくれたのか沢山の人が訪れてきた。
「うわー、変態さんがいるー♪」
サクラはコメントに笑いながら何度も反応する。
ふと、スマホを確認すると、視聴者が100人を超えようとしているところだった。
「それじゃあ、人も集まったし、そろそろいくよー」
<期待>
<wktk>
<がんばりまーす>
「それじゃあ、今日も……サクラがんばります!!!」
これはいつも実況動画の冒頭で言ってる言葉。気合いを入れるためのサクラのルーティーンみたいなものだ。
そして、わたしはそのまま建物の奥へと入っていった――
「~~~♪」
サクラは最近のアニメの主題歌を歌いながらダンジョン内を進む。
今の所、モンスターに遭遇するような事は無い。
<サクラちゃんが○○の子の主題歌歌ってる>
<ダンジョンって言っても案外普通だなー>
<ところでステータス確認しないの>
コメントが次々と流れてくる中、気になるものがあった。
「え、ステータスってRPGのやつ? なんぞ、そんなのあるの?」
サクラは聞き慣れぬ言葉が出てきたので、思わず口に出してしまった。
<あ、これマジで初心者だ>
<ステータス知らんとかwwwww>
「え、なにそれ」
<ステータスオープンって叫ぶんだよ>
<あとサクラ脱ぎまーすって言えば脱衣可能>
<↑おい、嘘情報止めろ>
<サクラちゃんの全裸みてぇ……みてぇよ……( ;∀;)>
<泣くなよ。俺の裸見せてやるよ>
<↑黙れ、汚い変態が移る>
コメント欄に流れる文字が多すぎて目が回る。
「ええー……っと」
サクラは言われるがままにステータスオープンと叫ぶ。
すると、スマホ画面が切り替わった。
「おおっ!!なにこれ!?」
画面にはこう書いてある。
=====■□■□■□■□―――――
|Name:サクラ
|Age:15
|Level:1
|HP:100 / 100
|MP:0 / 0
|疲労度:89 / 100
========■□■□■□■□―――――
「って、ゲームみたいに説明が出るんだ!?」
<おい、マジで知らんかったのかよ>
<わざとじゃなかったんだ>
<無知な女の子がダンジョンの奥で……何も起こらないはずがなく……>
<おい、誰かこいつ止めろ>
「ふむふむ、これが私の能力って事なんだね」
ダンジョン配信は初めてだけど、ゲームっぽい要素があるとは聞いてた。
なるほど、これがそれなんだね。
「レベル1ってのは、私の今の強さって事かな」
レベルが上がるとどうなるんだろ?筋肉が付いたりするのかな?
強くなりたいけどムキムキにはなりたくないなぁ……。
<他の配信者見てたらレベル30とかになってたよ>
<見た目はそんな変わってなかった>
「そっかー、なら安心♪」
サクラは安心しつつもほんのり残念な気持ちを隠しつつ、先に進む。
そして、ダンジョン配信を初めて30分すぎた頃……。
――ガタッ!!
「ひえっ!?」
自分が進んでる廊下の突き当たりの右の通路から変な物音がする。
<どうしたー>
<なんかあった?>
「えっと、そこの右曲がった所から何か音がしたの」
<もしかしてモンスター?>
「んーと、分かんない……ちょっと覗いてくるね」
サクラはスマホを操作して、念のためドローンを壊されないようにドローンの自動追尾を待機モードに変更。そして右手のスコップ、左手にヘルメットを盾代わりにして慎重に歩いていく。
「……何も起こりませんように何も起こりませんように何も起こりませんように……」
<本音が漏れてて草>
<配信者的にそれはアウトでは>
「だって、怖いもん!!」
<だもんって……かわいいかよ>
<てか、音なんもしないじゃん>
「さっきはしたんだけどなぁ……」
サクラはコメントと会話しながら突き当たりまで進み、右の通路を覗き込む。
すると、そこには―――
『ぐ……ぐげげげ………』
「———!!!」
サクラは声も出せずに、そのまま摺り足で後ろに下がっていく。
<……?>
<どしたの?>
「い、……いたの……なんか、変なの!!」
<いたのって、何?>
サクラの声から異常さを感じ取ったのかコメントがざわつき始める。そして、その変なものについてサクラは、動揺しながら、たどたどしく説明を行う。
「え、えと……目が赤く光ってて、人型っぽい裸の奴。顔はお爺さんみたいなんだけど体の大きさは子供で、肌は茶色でガリガリなの、あとなんか木の棒みたいなのを持ってた!!」
<人型……>
<裸……>
<ナニ中の不審者では>
「ん な わ け な い じ ゃ ん !!!!!」
コメントは好き勝手に憶測を言っていく。
サクラの動画配信中のコメントはいつもこんな感じだ。
女の子なせいか男性視聴者の割合が多くて変態的なコメントが良く付く。お陰で高評価率は高いけど、たまに変な男の人から気持ち悪いDMが届くこともある。
サクラは、もう慣れたとばかりに呆れながらスマホを操作してドローンに指示を送り、追尾モードに変更する。
「とりあえず、これ以上ここにいるのは危ないし……撤退!撤収!!」
<えー、つまんない>
<おkおk>
「それじゃあ、今日はここま―――」
――その瞬間、サクラは感じたことのない震えを感じた。
「っ!!!」
サクラがすぐに後ろを振り返る。
さっき見た気味の悪い奴が曲がり角の向こうから顔を出していた。
<……え、何アレ>
<……やば>
<サクラちゃん、逃げて!!>
<やばい、やばすぎる>
コメント欄が一気に恐怖に埋め尽くされる。
サクラもドローンのカメラ越しに見てて、同じ気持ちだ。
『ぐ……げげげげげげげ………!!!!!!』
気味の悪い人型の化け物は、真っ赤な眼でこちらを見ながら愉快そうに笑う。
「……あ」
逃げなきゃ。
こいつは無理だ。
わたしに立ち向かえるはずがない。
体は小さい、だけど明らかに人間じゃない。
わたしに対して異様な敵意を向けている。
あの目は、わたしを殺そうとしている。
そう思い立ったサクラは、振り返り一目散に走り出す。
『げげげっげげげげげげええええっげげげげっげげげげげっげ!!!!』
だが、その化け物は追ってくる。
「いや、いやだあああああ!!」
<サクラちゃん!!>
『げっげげえええっげっげっ!!』
気持ち悪い、怖い……助けて、誰か助けてよ!!!
サクラはそう思いながら必死に駆けて行く。
だが、恐怖のせいか息が乱れる。ライトで照らされてるはずなのに、周囲の光景がぐにゃりと歪んで、自分も足で上手く走ることが出来ない。
「――あっ」
途中、サクラは自分の右足が左足にもつれて転んでしまう。だけど、すぐに立ち上がろうとする。しかし、恐怖に足がすくみ上手く立ち上がれない。
「あ……うぁ……」
『ぎっげぎゃああああ!!!』
すぐ背後で何かが近づく音がする。
もう駄目だ。自分はもう殺されてしまう。
サクラはそう思った、しかし……。
<左の手元にあるもの投げて!!>
<左手、左手!!!>
「……え?」
コメントに言われて気付いた。
サクラが転んで倒れた場所の手元に、球のような何かが転がっていた。
<はやく、早く!!>
<ああ、化け物が!!!!!>
<殺されちゃう!!!>
「――っ!!!」
サクラは、コメントに促されるままにそれを手で掴み―――
「こ、来ないでっ!!!!」
――化け物に向かって投げつけた。
次の瞬間、球が投げられた先に白い光が広がった。
「なに……これ?」
そして、光を放ったと思ったら、次の瞬間、その球ははじけ飛ぶ。
――どっごーん!!!
「きゃあああああっ!!!」
サクラは爆風で投げ出され、転がる。
「いたた……もう、何なの」
『げげっ!?ぎ、ぎゃああああああああああああっ!!』
サクラが痛みに耐えながら体を起こすと、背後からあの化け物の叫び声が聞こえた。慌てて振り返ると、そこには炎で燃える化け物の姿が映っていた。
「あ、あれ……何が起こったの……?」
<手投げ爆弾だよ>
<偶然落ちてたマジックアイテム>
「ま、まじっくあいてむ………今のが……!?」
突然の事にサクラがついていけず、呆然としていると。
『ぐ………ぐぎゃああああ………』
化け物は、そのまま崩れるように倒れた。
「た、倒した……?」
その瞬間にサクラは一気に力が抜けたのか、その場にへたり込む。
<おお、すげええええ!!!>
<サクラちゃんがモンスターを倒した!!!>
<可愛い上に強いとか最強じゃん>
「あ、あはははははは………」
コメントがわたしの健闘を称えてくれてる。
それは嬉しい。嬉しいのだが……。
「(……やっちゃった………)」
サクラは、顔だけ笑いながら汗だくになっていた。
それもそのはず。彼女の下半身のズボン……下腹部辺りがほんのり濡れていた。
「(……もっちゃった……)」
おしっこを漏らしたのだ。恐怖のあまり、失禁してしまったのだ。
「(ば、バレたら全国区で恥さらしに……!)」
サクラは自分が漏らした事のショックで落ち込んでしまう。
だが、すぐに気持ちを切り替えて配信モードに入る。
「と、とりあえずモンスター初撃破!! サクラ、がんばった!!」
空元気であっても言えば元気になれる。
サクラはいつもその信条で配信をやってきた。
<やったあああああ!!>
<うおおおおおっ!>
<よくやった、サクラちゃん!!>
コメント欄もそれにのっかって盛り上がる。
「みんなー、ありがとーーー!!!」
サクラは元気よく声をあげる。
「それじゃあ、今日の配信はここまでー!!
みんなー、次のダンジョン配信も遊びにきてねー!!」
<おつー>
<おつかれー!>
<またねー!! サクラちゃん!!>
サクラは最後に皆のコメントを読み上げながら、配信を切る。
「……ふぅ、終わった」
そう、配信はこれで終わり。
初めてのダンジョン配信だったけど、終わり際の視聴者数は3,000人を超えていた。1回目でこれなら大成功と言ってもいいだろう。いいねの数も95%以上と超好評で好意的な感想も沢山書かれている。
「……どうしよ……」
途中、ドローンのカメラを上に操作してたからおしっこを漏らしたことには視聴者さんには気付かれていないはずだ。
でも、替えの下着も持ってこなかったし、ズボンもビチャビチャで変な臭いもする。
「うう、最悪……だ、誰かたすけて……」
サクラは、ダンジョンの中で小さく呟いた。
――それから。
その後、サクラはダンジョン配信で知名度を上げていった。元々容姿が抜群に可愛いこともありその人気はあっという間に広まっていった。
ダンジョン配信の視聴者数も1回の放送で平均3万人から4万人が待機し、いいねの数も日に約50万を超えるようになった。
だけど、サクラには悩みがあった。
「(またおしっこしたくなった!!)」
そう、あれ以降、サクラはダンジョン配信でおしっこを我慢出来なくなってしまった。おもらし癖が付いてしまった彼女は、いつも配信終わりには顔だけ笑って心で泣き、下半身は大洪水だった。
そして、彼女はいつかバレないかと戦々恐々とした日々を過ごしている。
「(あー、今日ももっちゃったーーーーー!!!)」
おもらしサクラちゃんの『わくわくどきどきダンジョン配信♪』
―――完―――
読んでいただいてありがとうございます!!
今回の話は、ダンジョン配信が話題になっていたので興味があって少し書いてみました
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