野外演習(2)
2作目の作品になります。前作[異世界の事情]に比べて、シリアスな内容となっております。
拙い作品ですが、楽しんで頂けると幸いです。
前作[異世界の事情]共々、宜しくお願い致します。
あれから、ローズも文句を言わず、ゴブリンを討伐していた。
すると、初のE級の魔物、ホーンラビットが現れた。
ホーンラビットは、素早い動きで、こちらを翻弄するが、向かってくる時、直接的な動きに変わるので、そこを狙えば、倒せない相手ではない。
「ウインドカッターっ!!」
と、中級魔法で、ホーンラビットを倒したユーリ。
別に、低級魔法でも倒せるのだが、ウインドカッターを使った意味は、ほかにある。
血抜きの為だ。
ホーンラビットの肉は、食べられる。と言うか、干し肉にも使われている。
その為、食料として使おうと、あえてウインドカッターで倒した。
その後も、もう1匹のホーンラビットを倒すと、日が暮れてきたので、此処で野営をする事になった。
テントを張り終えると、ユーリが、
「僕が、ホーンラビットを解体するから、薪拾いと火おこしをお願い。」
と、指示を出した。
ローズは、渋々、従った。
(本当に、面倒臭い子だなぁ。)
と、ユーリは、思っていた。
ユーリは、ホーンラビットを解体すると、もも肉を、フライパンで焼き、残りの肉は、ぶつ切りにして、野菜と一緒に煮込んだスープを作った。
「美味い、美味いっ!」
と、食べるマルクとは違って、ローズとエミナの食が進んでいない。
初めてのの魔物との戦闘で、気力を失っていたからだ。
でも、野外演習は、これからが本番。
野営の為に、見張りを立てなければならないからだ。
一応、女子達の体調を考慮して、ローズ、マルク、ユーリ、エミナの順番になった。
ローズを最後にしなかったのは、起こしても起きない可能性があったからだ。
野営中は、特に問題は起こらなかったが、ユーリが、エミナを起こしに行った時、エミナから、話があると言われた。
正直、早く寝たいユーリだったが、エミナの剣幕に負けて、話を聞く事にした。
「ごめんね。実は相談と言うか、ローズの事なんだけど・・・。」
「ローズがどうかした?」
「あの子の実家、3大貴族のガーネット公爵家なのよ。」
「知ってるよ、それがどうかしたの?」
「家の方針が厳しいのよ。だから、焦っているの。決して、我儘な訳じゃないって、知って欲しかったんだ。」
「だから、あんな面倒な性格なのか。」
「やっぱり、ユーリ君も、そう思ってたんだね。」
「まぁね。僕だけじゃないと思うけど・・・。」
「そっか、ありがとう。話を聞いてくれて。」
「うん、じゃあ、お休み。」
と、ローズの性格の一端が分かったユーリは、本人次第だろうと思いながら、眠りにつくのだった。
明けて、翌日。
昨日の疲れが取れてないのだろう、女子達の元気がない。
仕方なく、魔物の退治は、ユーリとマルクで行っていたが、此処であり得ない魔物と、遭遇してしまう。
遭遇したのは、C級の魔物、ミノタウルスだった。
すぐに撤退の指示を出すユーリだったが、女子2人が、固まってしまった。
ユーリは、マルクに、
「2人を連れて、此処から離れてっ!!」
「ゆ、ユーリ、お前はどうするんだっ!?」
「皆んなが、離れるまで、時間を稼ぐよっ!」
「わ、分かったっ!死ぬなよ。」
「了解っ!!」
と、言って、ミノタウルスの注意を惹きつけるユーリ。
中級魔法のライジングランスを放つも、ダメージは与えられているが、倒せる威力ではない。どちらかと言うと、身体が痺れて、動けないようだった。
そこでユーリは、上級魔法の使用を、解禁する。
指先に、魔力を集め、雷魔法を収束して打ち出す魔法。
「レールガンっ!!」
と、叫ぶと、バチバチと弾けていた魔力の塊が、発射された。
「ブモォっ!!」
と、叫び声をあげて、胸に風穴を空けるミノタウルス。
「ズシ〜〜ンっ!!」
と、音を立てて、倒れ伏した。
なんとか、倒す事は出来たが、何故、こんな森に、上位種のミノタウルスがいたのか、不思議でならない。
たまたま、ユーリがいたから、なんとかなったが、一歩間違えれば、生徒に多大な被害が出ていただろう。
グスタフなら、何か知っているかもしれないと思い、ユーリは、ミノタウルスの死骸をアイテムボックスに収納すると、
他にも、上位種が紛れ込んでいないか、確かめる為に、森を探索する事にした。
一方、マルク達は、ミノタウルスから、だいぶ離れて、スタート地点に向かっていた。
すると、ローズが、
「あ、あいつ、平気かしら?」
と、ユーリの事を気にしているようだ。
すると、マルクが、
「ユーリなら、平気だっ!あいつは、凄え奴だからなっ!!」
「そうだよ。きっと、ユーリ君は、無事だよ。」
と、エミナも同意した。
しかし、ローズは、
「相手は、C級の魔物なのよっ!普通、死んじゃうわっ!?」
と、気が気でないようだ。
それを聞いたマルクは、
「だからこそ、早く先生に報告しないとなっ!!そうすれば、きっと、大丈夫だ。」
と、自分に言い聞かせるように、応えた。
「そ、そうねっ!早く、先生に伝えないとっ!!」
と、ローズも急いで、教師陣に伝えなければと、思った。
しかし、実際は、もうミノタウルスは、倒されており、心配の必要ない事を、3人は、知らなかった。
誤字等あると思いますが、楽しんで頂けたけたら幸いです。なるべく間隔を開けずに投稿しますので、続編も宜しくお願いします。
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