野外演習(1)
2作目の作品になります。前作[異世界の事情]に比べて、シリアスな内容となっております。
拙い作品ですが、楽しんで頂けると幸いです。
前作[異世界の事情]共々、宜しくお願い致します。
あれからと言うもの、マルクは週末になると、ユーリを誘った。
その成果が出て、今日、二人は、FランクからEランクへと、昇格した。
「やったぜっ!!遂に、Eランクだっ!!」
「そうだね。マルク、おめでとうっ!」
「何、言ってんだっ?ユーリも昇格だろ?」
「うん、そうだね。」
と、かえすが、元々、付き合いで、冒険者登録をしただけなので、ユーリはそこまで、ランクに執着していなかった。
マルクみたいに、冒険者を目指している訳でない。
ただ、暗殺者以外にも、自分に出来る事が、見つかったのは嬉しい。
そんな日々を過ごしていたら、担任フランダより、報告があった。
「え〜、皆んな〜。いよいよ、来週は、野外演習が始まるよ〜。演習って言っても、魔物のランクは、F〜Eと低級だから、安心してね〜。
ただ、1日、野営を行うから、各自、必要な物を準備してね。
あとは、班分けだけど、4人〜5人になるように、相談して決めてね〜。」
「野営に必要なものは、何ですか?」
と、金髪、青い瞳のメガネっ子、トーイ・ネチルが、質問した。
「野営に必要なものは、各自で、考えて欲しいんだけど、一応、最低限、食料と水、テントや寝袋なんかが、必要になるよ〜。
ただし、あんまり持ち込むと、動きづらくなるから、そこら辺も考えてね〜。」
と、あくまで、自主性を養う授業のようだ。
早速、マルクが、
「ユーリ、一緒に組もうぜっ!!」
「うん、良いよ。」
「あとは、最低2人か〜、ユーリ、あてがあるか?」
「う〜ん、残念ながらないね。」
すると、隣の席のローズが、
「し、仕方ないわね。一緒に組んであげても、良いわよ!?」
「もう、ローズったら、素直じゃないんだから。
私も一緒に、良いかな?」
と、ローズとエミナに、話しかけられる、ユーリとマルク。
マルクは、
「俺は良いぜっ!宜しくなっ!!」
と、了承してしまう。
対するユーリは、いきなりライバル宣言して来た、ローズが苦手だった。
でも、マルクが決めてしまったし、パーティーのあてもないので、
「う、うん、宜しくね。」
と、応えてしまう。
すると、ローズが、
「それじゃあ、今日の放課後、買い出しに行きましょうっ!!」
と、仕切り出した。
ユーリは、自重して、アイテムボックスは、使わない事にした。皆んなが、荷物を持っているのに、自分だけが、手ぶらだと、ズルしてるみたいだからだ。
そんな訳で、放課後、買い出しに出たユーリ達。
まずは、雑貨屋で、バックやテント、鍋、水筒、寝袋などを買う。
これだけでも、かなりの量だ。早速、女子達は、へばり出した。
でも、まだ食料と水の確保が、必要だ。
渋る女子を引き連れて中央市場に、足を運んだユーリ達。
お貴族様のローズにとっては、全てが、珍しく思えるようで、あっちこっちの出店を覗いていた。
挙句、野外演習に必要もない、装飾品を扱う店の前で、物色を始めるローズ。
流石に、それは関係ないと、ユーリは、
「ローズ、それは、無駄な荷物になるよ。さっさと、食料を買いに行こう。」
「わ、分かってるわよっ!ただ、珍しい物があるな〜って、思っただけよっ!!」
と、言いつつ、赤い宝石が埋め込まれたネックレスを、持っているローズ。
それを見たユーリは、
「関係ないけど、欲しいなら買えば?」
「いいのっ!おじさん、これをちょーだいっ!!」
と、結構、購入してしまうローズ。
用が済んだローズは、
「さあ、食料を買いに行くわよっ!」
と、再び、仕切り出した。
ユーリは、やれやれと思いながら、食料買い出しに向かった。」
今度は、ローズの邪魔もなく、食料を買えたユーリ達。
干し肉、黒パン、保存の効く野菜、ジャムなどを買い、長かった買い出しも、やっと終わった。案の定、荷物の重さで、女子2人は、フラフラだ。果たして、これで、演習になるのだろうか、心配になる。
そして迎えた、野外演習当日。
場所は、マルクと一緒に、ゴブリンを狩っていた森。
折り返し地点まで行き、戻って来ると言う単純なものだった。
F級は、ゴブリンとスライム。
E級は、ホブゴブリンとホーンラビット。
普通に戦えば、まず、負ける事はないが、大量の荷物を抱えての戦闘の為、油断は禁物だ。
森に入ると、早速、ゴブリンのお出ましだ。
ユーリとマルクが、アイスアローとウインドアローで、ゴブリンを討伐。慣れたものだ。
しかし、魔物との戦闘が初めての、ローズとエミナは、顔色が悪い。
エミナが、
「どうして、そんなに手慣れているの?」
と、質問してきたので、
「僕らは、冒険者登録をしていて、何度もゴブリンを討伐してるんだ。」
と、答えた。
すると、ローズが、
「次は、私がやるから、引っ込んでなさいっ!」
と、対抗意識を燃やしていた。
それならば、任してみようと、次のゴブリンが現れた。
ローズは、ファイアボールの魔法を使ったが、ファイアボールでは、一撃で、ゴブリンは仕留められない。慌てたローズは、
「ファイアボールっ!ファイアボールっ!!」
と、立て続けに魔法を放ち、なんとかゴブリンを討伐した。
ゴブリン1匹に、手こずるローズを見て、エミナが、
「なんで倒すのに、時間がかかったのかな?」
と、不思議そうに質問してきたので、
「ゴブリンは、身体がそれなりに大きいから、ファイアボールじゃ駄目なんだ。アイスアローやウインドアロー、ストーンバレットで、急所を狙うと良いよ。」
と、アドバイスすると、
ローズが、文句を言った。
「先に言いなさいよっ!」
「これは、演習なんだぜっ!自分で考えて、行動しないと、意味がないぜっ!!」
と、マルクが正論を述べた。
流石のローズも、これは、効いたようで、大人しくなった。
演習は、始まったばかり。まだまだ、苦労しそうだ。
誤字等あると思いますが、楽しんで頂けたけたら幸いです。なるべく間隔を開けずに投稿しますので、続編も宜しくお願いします。
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