夢の異世界転生
僕は天使の不手際で死んだ。
そして真っ白な世界で白いひげを蓄えた神に転生先を選ばせてやると言われた。
それ以外も色々言われたような気がするが、とにかく何で神が翼の生えた幼女じゃないんだ!
天使は肌の露出がない年増だったし最悪だ。
こうなったら転生先に期待するしかない。
死んだのにあっさりしすぎてると言われるかもしれないが、コンクリートジャングルで干からびて死ぬより夢の異世界に転生するほうが良いに決まってるじゃないか。
よし!
僕は神に転生先を伝える。
「僕にケモ耳とビキニアーマーがあふれる世界を!」
「そなたの望みは聞き届けた」
神の言葉とともに僕の視界は白く染まった。
僕はこの世界に誕生した。
体は東京タワーから落下して死んだにもかかわらず傷一つない。
それに小川に映る姿は生前と寸分違わぬ容姿になぜかケモ耳が付いている。
なので誰かの体に憑依したわけではないようだ。
神が無からこの体を作ったのだろう。
まてよ・・・
容姿の変更が出来るのなら自分をバインバインのお姉さんかケモ耳幼女にして貰えば良かったのではないか。
「チクショー!!」
僕は膝から崩れ落ちむせび泣いた。
それからしばらくして僕は立ち上がった。
ここはビキニアーマーとケモ耳があふれる世界のはずだ。
後ろより前に向かって突き進むべきである。
早くビキニアーマーの背徳感や、ケモ耳幼女に癒やされたい。
周囲には草原と小川があり、遠くには森と山が見える。
街は何処にも見当たらない。
ちなみにさっき跳んだりはねたり走ったりしてみたが、この体にチート能力は無いようだ。
チート能力が無いので異世界小説定番の、襲われている貴族の馬車を助けてお嬢様とお近づきになるイベントは起きないだろう。
なので能力の低い僕を無償で助けてくれるサポートキャラ的な女の子が現れるはずだ。
そしてソレは現れた。
異世界物の定番が・・・モンスターである。
「ぎゃーっ!!」
僕は走った。
確かにビキニアーマー、防具(笑)があふれているならモンスターがいるのは当然なのだろう。
走った、走って走って走り続けた・・・一分くらい。
そして転んだ。
目の前に迫るモンスター
そして・・・
「ランスショット!」
女性の中二病ぽいかけ声が聞こえると同時に光がモンスターを消し飛ばした。
「大丈夫かい?」
そう言って手を差し伸べてくる女性の頭にはケモ耳があった。
ここ重要!
僕を助けてくれたのは行商人の家族だった。
ひげとケモ耳が生えた男性と僕を助けてくれた弓を持ったケモ耳の女性、そして二人の子であるかわいい幼女なのだが・・・
なぜケモ耳が付いてない!
どうやらこの世界では前世の世界で初潮が始まると大人の仲間入り、みたいな感覚で、獣人はケモ耳が生えたら大人の仲間入りらしい。
つまりケモ耳は成人する頃から生え始める。
僕はケモ耳と天使は幼女、ビキニアーマーはバインバインのお姉さんが好みだ。
よって僕を助けてくれたケモ耳のお母さんは守備範囲外である。
ちなみに僕の素性は異世界人であると理解された。
異世界人は他にも結構いるらしい。
僕の転生は天使が犯したミスのお詫びだった。
他にもいっぱいいるなんて、天使どもはどれだけミスを犯してやがるんだ。
そしてビキニアーマー好きはどれだけいるんだ!
僕は街の中に立っている。
助けてくれた行商人の人たちがこの町に連れてきてくれた。
その道中、短い時間だったけど色々な話を聞けた。
一番重要な話は獣人族はビキニアーマーに使用されている金属で皮膚がかぶれるから付けていないが、人族はビキニアーマーを付けている人が多いということだ。
ビバ、パラダイス!
さらにビキニアーマーの秘密についても知ることが出来た。
ビキニアーマーは防御されている部分が極めて少ない。
なのにゲームでは全身鎧より防御力が高い装備だ。
これはビキニアーマーに使われている希少金属が特殊で、肌に直接触れていると特殊なオーラが発生し身体を守ってくれるそうだ。
そして生命に関係する場所に装着すると効果が何倍にもなるらしい。
希少金属はお高いので授乳するところと子供が生まれるところにだけ防具としてまとっているそうだ。
ちなみに後ろの穴は滅びを意味するのでガードされておらずTバックになっているらしい。
神か・・・
それと行く当てがないなら教会に行くことを勧められた。
そこでは異世界人の知識と交換だが、ある程度生活の面倒を見てくれるらしい。
教会に向かい進んでいくとこぎれいな商業地域らしい場所に出た。
そしてビキニアーマーに遭遇した。
女性用衣服店が立ち並ぶ一角のショーウインドにビキニアーマーが展示されていた。
素晴らしい!
この世に神は存在した!!
いや半日ほど前に会ったばっかだけどね。
僕はその店の入口がよく見える場所でじっと待った。
周囲の怪訝な目線に耐えながら数時間、ビキニアーマーを装着して出てくるアダルトな美女を待ち続けた。
そして日が暮れる頃、僕は気付いてしまった。
「くそっ!なんでビキニアーマーの上に普通の服着てんだよ。これじゃ見えないじゃないか!」
僕は天下の往来で膝をつきむせび泣いた。
そして衛兵さんに連れて行かれた。