鹿野さんはヲタク系アイドル
なんのアニメキャラかわかりやす…。
鹿野さんにスポドリを買ってあげてからしばらく。
ようやく目的の店に着いた。
店の外にいても中の騒がしさが伝わってくる。人もたくさんいるみたいだし、相変わらず繫盛しているようだ。
「着いたよ、鹿野さん」
「ここって……ゲームセンター?」
そう。鹿野さんを連れて来たのはゲーセンだ。しかもかなり大きい店だ。
俺がゲーム好きなのは彼女も知っていることだが、俺の好きなジャンルから知ってもらおうと思ってここに来た。
ゲームはやってるって言っても、具体的にどんなジャンルが好きなのかまでは知らないだろうから。
バトロワやってる話はした気はするけど。今回はその他のことだ。
「俺が好きなゲームを知ってもらおうと思ってさ。鹿野さんもゲームやってるみたいだけど、ゲーセンに来たことは?」
「うーん。実はあんまり無いんだ。中学生の時にクレーンゲームで結構使っちゃったから、それ以来ゲーセンには来ないようにしてたんだ。凄い散財しちゃうと思って」
「あー。気持ちはわかるよ。俺も好きなグッズのクレーンゲームがあったら、つい使っちまうわ」
「でしょー?……でも!今回は大丈夫!なぜなら私、アイドルになってからも結構貧乏性を拗らせてたから、いっぱい使っても問題なし!」
鹿野さんはそう言って、ゲーセンの中へと入っていった。
俺もそれに続いて中に入る。だが鹿野さんは特に店内を見て回らず、カウンター近くのクレーンゲームに目を奪われて、一直線にそこに向かっていった。
「おー!可愛い~!」
可愛いゆるキャラのぬいぐるみや、アニメキャラのフィギュアに釘付けだ。
……なるほど。ぬいぐるみはともかくフィギュア、特に今鹿野さんが見ている桃色髪の鬼っ子メイドのフィギュアはそれなりに大きいサイズだ。
そりゃ散財もするわな…。もう財布取り出してるし。
「前から思ってたけど、鹿野さんって結構ヲタクだよな?」
「うん!だって可愛いじゃん。この子の心の底から主人を慕う姿とか、凄く健気で泣けて来ちゃったもん」
そんな気はしてたけど、やっぱりそうだったか。
時々何かを漫画アニメに例えるような言動はあったし、何より生粋のヲタクである総司とすぐに打ち解けたからな。
思えばシリウス全員がそうなのかもしれない。レッスンの休憩時間の終わりに『ハレ晴レユ○イ』踊ってたし。
クレーンゲームに五百円入れて六回プレイにする鹿野さんに、よくある質問をしてみる。
「鬼の双子どっち派?みたいなのあるけど、鹿野さんは姉様派なのか?」
「う~ん。私はどっちも派。桐ヶ谷君は?」
「俺もどっちも派かなぁ。姉様のふかし芋を、妹お手製のマヨネーズを付けて食ってみたい」
「あー、わかるわかる~。ドヤ顔でふかし芋を口に突っ込まれてね」
「ある種の拷問だな……ところで、さっきから一ミリも動いてないけど、取れそうか?」
こうやって喋ってる間にも、鹿野さんはクレーンを動かしていたが、毒舌鬼っ子メイドフィギュアは取れる気配がなかった。
たぶんこれ、アームの片っぽだけを上手く引っ掛けて、少しずつ動かさないといけないタイプだ。鹿野さんはずっとフィギュアが入った箱のど真ん中に下ろしてるから、フィギュアが動く気配がない。
「うん。ダメそう…」
「そうか…。一回だけ変わろうか?」
「桐ヶ谷君だったら取れる?」
「取りはしないよ。こういうのは自分で取った方が嬉しいだろ。だから一回だけお手本」
鹿野さんは俺の言葉に頷いて、場所を交代してくれる。
宣言通り一回だけプレイして、フィギュアを少しだけ動かすことに成功。すると鹿野さんは「なるほど!わかった!」と、早くもコツを掴んで、そこから千円使ってドヤ顔で熱々ふかし芋を口に突っ込んでくる鬼っ子メイドをゲットすることが出来た。
「やったー!取れたよ桐ヶ谷君!」
「ん。おめでとう。カウンターで袋貰おうか」
「うん!」
店員さんから袋を貰って、キラキラした笑顔で大事そうにフィギュアをしまう鹿野さん。
俺の好きな物を知ってもらうはずが、鹿野さんの好きなキャラと新たな一面を知ることになってしまったな。
まぁいいか。鹿野さんが楽しいなら。
「あ!ごめん桐ヶ谷君!桐ヶ谷君の好きなゲームを教えてもらうはずだったのに、クレーンゲームに夢中なっちゃった…」
「あっははは。気にすんな。君が楽しめれば文句はないよ」
「う~、ごめんねぇ…。気を取り直して、桐ヶ谷君の好きなゲームを教えてほしいな」
「本当に気にしなくていいのに…。まぁそこまで言うなら、そうさせてもらおうかな。二階に行こうか」
「うん!行く行く!」
そうして鹿野さんを連れて二階に行くと、一階よりも騒がしさが増した。
ここは音ゲーやカードゲームを中心にゲーム機が配置されているコーナーで、色々な音楽が耳を刺激してくる。
ここ二ヶ月くらい、鹿野さんに色々と巻き込まれてたから、来るのは本当に久しぶりだな。ゲームの配置とかは特に変わってなさそうだ。
……よくよく考えたら、あまりゲーセンに来たことがないと言う鹿野さんには刺激が強すぎるかもしれない。そう思って鹿野さんを横目で確認するが……
「わぁー!すっごいねー!太鼓の名人とかなら知ってるけど、あの円形にボタンが配置されてる音ゲーとか初めて見るよー!」
「……………」
「えっ!?なにあれ?虫を戦わせるゲーム?その横には恐竜を戦わせるゲームとかあるよ!アーケードゲームって、色々なのがあるんだね~」
……どうやら要らない心配だったようだ。
まるで子どものようにはしゃいでいる。
「ねぇねぇ桐ヶ谷君っ!どれどれ?桐ヶ谷君が好きなゲームって!私も早くやってみたい!」
「わかったわかった。腕を引っ張るな。冗談抜きで引きちぎれそうなくらい痛いから…」
痛む腕を抑えながら、まずは俺がよくやっていた音ゲーを紹介することにした。
もうムシキ○グも恐竜キ○グも幻想○りするくらいには忘れられてそう。
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明日は『俺が銀髪美少女に幸せされるまで』を投稿する予定です。
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