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陰キャ男子高校生と天真爛漫なアイドル  作者: 結城ナツメ
陰キャ男子高校生と天真爛漫な―――
92/112

処刑宣告?

 俺の予想を半分裏切る形でとんでもないことを言ってのけた鹿野さん。

 あのシーンが鹿野さんが言っていた、人生を左右するというものだったのは、今送られてきたLITIを見なくてもわかった。


「よかったわね?鹿野さんにアタック出来るチャンスが出来て」

「よくねぇよ。はぁ~……通りで露骨にアピールして来ると思ったよ。そういう滅茶苦茶な契約があったから、アイドルっていう縛りを気にしてなかったのか」

「本当に固執してる訳でもないみたいだしね。歌や演技が出来れば、たぶん本人は満足なのよ」


 鹿野さんがそれで良いのなら、俺も特に気にしないけどよ…。

 だけど今になってこんなことを公開するってことは、ファンから見れば鹿野さんには少なからず気になる人がいるという風にも見える。

 そしてその可能性が一番高いのは……


「ネットで調べてみたけど、『オリオンには親しい男性の影は見られない』って載ってるわ。ただ、ツブヤキだとオリオンの相手候補の憶測が飛び交ってるわね」

「だろうな。オリオンファンだったら、いくらでもそういう候補は想像付くだろうよ」

「桐ヶ谷誠、桐ヶ谷誠、桐ヶ谷誠、一つ飛ばして桐ヶ谷誠……誠が断然多いわよ?」

「わかってたよチクショウが!」


 鹿野さんと関わりだしてからは、彼女が出演したドラマやバラエティなどを見たりしたが、親しそうにしてる男性芸能人はいなかった。

 それに比べて、俺は鹿野さんの推薦で俳優デビューした人間だ。しかも『曇天☆夕立レストラン』で仲良さげなシーンが流れたんだ。ファンからしたら、俺に焦点が合うだろう。


 つうか今お姉のスマホから聞こえる声が、その時のシーンじゃねぇか。誰かツブヤキに載っけたな?


「こんなに男の子と仲良さそうにしてるオリオンちゃんは他に見ない、ですって。物騒なコメントも多いけど、オリオンちゃんが幸せならオッケーですって声の方が若干多いかしら?」

「お姉。夏休み終わったら、しばらく一緒に登下校してくんない?彼女の振りしてオリオンファンを騙してくれシュークリーム奢るから」


 物騒なコメント云々を聞いて、即座にそんな作戦を思い付く。

 今、俺は命の危機に立たされている!過去最大級に!


 焼け石に水な気もするけど、俺とお姉は一見すると姉弟には全く見えないくらい似ていない。一ヶ月くらいは騙せるだろう。


「特定厨にあっさり看破されて終わりね。ただの仲睦まじい姉弟にしか見られなくなるわよ」

「暇な奴らもいたもんだぜ!……週刊コミックスとか腹に仕込んでおけば良いかな?」

「刺される前提なのね」


 だから過去最大級に命の危機なんだよ!過激派が俺の背中を狙ってくるかもしれないじゃないか。

 ……あれ?てことは本二冊は必要?重そっ。


「まぁまぁ。そういう時はシャブでもキメときなさい?」

「問題発言やめい!普通に無限卵って言えよ!?」


 目のハイライトを消しながら問題発言するお姉は嫌いだよ!


――――――――――――――――――――――――


「結衣。大丈夫なの?たぶんしばらくマスコミがしつこく追って来ると思うのだけど」


 『行列を望まない法律事務所』を観ていると、お母さんがそう聞いてくる。

 お母さんの言う通り、しばらくマスコミがしつこくなると思う。


 でも大丈夫。そんなの無視するもん!

 ちゃんとアポ取って質問してくる分には真摯に答えるけど、そういう人たちってスキャンダルだとかに目が眩んで、人様の迷惑とか一切考えない人たちだからね。

 ……それを言ったら、私も割とそうなんだけど…。


 だってこのことが切っ掛けで、桐ヶ谷君にもマスコミが押し寄せちゃうだろうし。私が仲良くしてる男の子って、桐ヶ谷君くらいだもん。

 絶対矛先が向いて、桐ヶ谷君に迷惑を掛けちゃう。

 ……これは明日にでも桐ヶ谷君のお家に行って土下座コースだ~…。


「私よりも桐ヶ谷君が心配かなぁ?桐ヶ谷君も自分のところにマスコミが来ることは薄々気付いてるだろうけど…」

「あら?桐ヶ谷君だけなの?他に二人いなかったかしら」

「もうお母さん?そんなのマスコミが知る訳ないじゃん。桐ヶ谷君はともかく、冴木君と早乙女君がマスコミに追われることなんてないよ」

「うーん…。だと良いのだけれど」


 何がそんなに心配なのかわからないけど、とにかく桐ヶ谷君にも注意するようにって、謝罪とマスコミへの対処法を一緒にLITIは送ってるし、ある程度は対応出来ると思う。


 なんて考えていると、スマホから『らいち♪』という音が聞こえた。

 差出人は桐ヶ谷君で……と、文章を見た私は固まった。


『暇な時うちに来て欲しい』


 これだけだった。しかしたったそれだけの文章が、私に得も言われぬ恐怖心を煽った。

 何の前振りも無い呼び出しほど恐ろしいものはないって江月ちゃんのスタッフさんが言ってたけど、その気持ちがなんとなくわかった。


 この文章は桐ヶ谷君からの死刑宣告なのかな?定められたターンの内に体力がめちゃ多い敵を倒すか、控えと交代するかしないと死んじゃう的な?

 だとすると、今すぐ返事しないと私は殺される!?精神的に!(好きな人を怒らせたかもという焦りで、混乱状態)


『あ、明日でよろしいでしょうか?』

『おけ。何時に来る?』

『そちらの都合に合わせます』

『じゃあ十一時で』

『了解です』


 本来は凄くドキドキして楽しいはずの、好きな人とのやり取り。

 しかしそれが今では、受け答えをミスれば即死の処刑台のように感じる。

 お願い桐ヶ谷君……せめて優しく叱ってください…。


「あらあら、顔を青ざめちゃって。もしかして桐ヶ谷君を怒らせちゃった?」

「たぶん…」

「まぁマスコミの被害を受ける側の桐ヶ谷君に、なんの相談と報告も無しだったものね。謝りに行くなら、ちゃんと菓子折りも持っていくのよ?」

「了解です」


 私は明日の処刑台に怯えながら、就寝するのでした(丸)

この話が面白いと思ったらブクマ登録と高評価、いいねと感想をよろしくお願いいたします。


明日と明後日は「俺が銀髪美少女に幸せにされるまで」を投稿する予定です。

https://ncode.syosetu.com/n5786hn/

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