気持ちは抑えられないし、女の子の扱いは難しいし……
ラブコメを読み漁っていたら、前回の投稿から五日も経過していた件。
ごめんなさい…。自分の気持ちに正直になった主人公の言動を勉強していました。
期末テストも終わり、終業式の日となった。
終業式が終われば、当然明日からは夏休みとなる。江月監督からはしばらく休んでいてくれと言われたし、まぁのんびり過ごそうと思う。
毎年夏休みは母さんの実家に行くし、丁度いい休暇だ。新人俳優には変わりないから、仕事の話も舞い込んでこないしな。
ちなみに期末テストは一位を取れた。
鹿野さんと藤堂さんの勉強を見ていたから、それが良い復習になってくれた。満足満足。
「桐ヶ谷君!約束通りカラオケ行こうよ、カラオケ!」
「いつ?」
「今日の放課後がいいかな?夏休みからはまた忙しくなっちゃうしね」
いつものように、クラスメイトらがいる前で恥じらいなく身体をくっつけて来る鹿野さん。耳元で騒ぐから耳が痛い。
彼女は宣言通り、見事期末テストで高得点を取った。順位は十四位だそうだ。
「そうか。じゃあ放課後にでも行くか」
「やったー!えへへ。やっと桐ヶ谷君とカラオケデートが出来るよ。私、今凄く嬉しいっ!」
眩しいくらいに輝く笑顔。もう鹿野さんがアイドルだから自重しろだなんて言う気は完全に失せてしまった。いや、一応人前では言うには言ってるが、俺の中では彼女の言葉がただただ嬉しく感じてしまっている。だから本気で言う気が失せたというのが正しいか。
相手の気持ちには真摯に向き合わないと失礼だなって、総司を見て思ったし。アイツはただ鈍感なだけだと思うけど。
それにアイドルなのにも関わらず、こうしてなりふり構わずアピールしてくるってことは、少なくとも本人はアイドルを辞めても問題ないということなんだと思う。
ファンが悲しむし、問題大ありだと思うけどな…。
「はいはい。そう言ってくれて嬉しいけど、人目のある所でそんなことを言うのはやめような?」
俺はそう言いながらも、髪が乱れないように鹿野さんの頭を優しく撫で始める。
努めて冷静に、面倒くさそうな顔を作ることを意識しながら。
「あ。えへへ~…」
撫でられてる鹿野さんは、甘くとろけた顔をしながら俺の手を受け入れる。
ここ一週間と少し、自分の気持ちを抑え込もうと努力してきたが、ついに限界が来て鹿野さんの頭を無意識に撫でてしまったことがあった。
そこからはもう抑えなんて効かず、こうして遠慮なく鹿野さんの頭を撫でてしまっている。
しかし周りにはそれを悟られないように、面倒くさそうな態度を見せているが、それがいつまでも通じる訳がないのは理解している。
現に今も……
「なぁ。最近の桐ヶ谷の様子っておかしくね?前より明るくなったのもあるけど、あそこまでナチュラルにオリオンちゃんの頭を撫でることなかったよな?」
「あ。やっぱお前もそう思う?今までは眉間に皺寄ったり、オリオンちゃんのことを突き放したりする態度が多かったのに、なんか今じゃそれが落ち着いてるよな」
「だよな?やっぱりそうだよな!?」
「もしかしてあの二人……そうなのか?」
「でも鹿野さんはアイドルなんだから、そういうことはしたらダメじゃない?」
「いやいや、わからんぞ~?アイドルがこっそり付き合ってたことなんて、いっぱいあるんだからな」
「はいはい!もうすぐチャイム鳴るし、無粋なこと話してないでさっさと席に着きなさい。野茂瀬先生が来たら、遅刻扱いにされわよ」
「「「はーい」」」
やっぱりクラスメイトにはほとんど勘付かれてるな。大野のおかげで誤魔化されたけど……というか大野は絶対に俺と鹿野さんの気持ちに気付いてるよな。
アイツは鹿野さんに叱られてからは、人の気持ちを上手く汲み取れるようになったからな。弁当も自分で作ってるらしいし、将来は良いお嫁さんになりそう。
「? 桐ヶ谷君、大野さんを見つめてどうしたの?」
「ん?別に。大野は将来、良いお嫁さんになるだろうなって思っただけ」
俺がそう言うと、大野は吹き出して机に突っ伏した。
何やってんだアイツ?
「へぇ~。桐ヶ谷君は大野さんみたいな人がタイプなんだぁ。ふ~ん。そ~なんだ~…」
そして何故か鹿野さんは顔をぷくーっと膨らませて拗ねてしまった。
……………俺。今なんか地雷踏んだ?
「いやいや、なんでそうなるんだ?別に大野がタイプだなんて言ってないだろ」
「ふーんだ!桐ヶ谷君なんて馬に蹴られちゃえばいいんだ!」
「えー……なんでそうなる…」
その後、野茂瀬先生が来るまで鹿野さんの頭を撫で続けたり、なんとか話題を逸らしてご機嫌を取った。
好きな相手が他の女の子を褒めた時って、こんな面倒くさい反応をするのか…。今後は気を付けよう。
なまじ鹿野さんの気持ちに気付いてる分、俺の心労は凄いことになりそうだし…。
明日もこちらを投稿します。
面白いと思ったらブクマ登録と高評価、いいねと感想をよろしくお願いいたします。




