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陰キャ男子高校生と天真爛漫なアイドル  作者: 結城ナツメ
恋に落ちる瞬間は不整脈
71/112

撮影現場で流血事件

リアルが仕事とゲームでマジで忙しい…。

 拝啓。お姉様。お元気ですか?

 私は元気です。ええ。元気です。例え鼻から派手に出血していようと、例え一瞬上下反転した世界が見えたとしても、私は元気です。


 だから鹿野さん……そんな青ざめた表情のまま泣かないでくれ。別に死ぬ訳じゃないから…。

 ちょっと今から気を失う程度だから。


―――――――――――――――――――――――――――


「鼻骨折したかもしれん…」


 放課後。俺は鹿野さんと一緒に『アイドル警察♪シリウス』の撮影をしていた。

 撮影用の体育館で撮影して、俺と鹿野さんによるアクションシーンだったのだが……


「ごめんね桐ヶ谷君!治療費はちゃんと支払うからっ!」

「いやごめん、冗談だよ…。流石にあれぐらいの蹴りで折れないよ。たぶん」


 涙目で謝る鹿野さんにそう言いながら、俺は鼻を新しいティッシュで押さえる。


 事の発端は数分前。

 鹿野さんの回し蹴りを、俺が諸に直撃した。それも鼻に。

 本当はしゃがんで避けるはずが、間違って俺が鹿野さんに突っ込んで行ったのが失敗の要因の為、鹿野さんに落ち度は無い。


 ただせめて、寸止め出来る程度には威力は抑えていて欲しかった…。まぁ江月さんの面白さを追求するなら、これくらいが丁度いいのかもしれないが。


「あっははははっ!いーっひひひひっ!ダメー!腹がよじれちゃうぅっ!」


 その江月さんはというと、俺のこの悲惨な状況にただ笑い飛ばしていた。


「君って奴は、どうしてこう面白いんだろうねぇ…。これは『ドラマNG大賞」に出せるよ…。くっふふふ…」

「これを見て笑えるアンタは本当に良い性格してるよな…」

「ありがとう♪褒められるのは素直に嬉しいよ」

「皮肉だよ!」


 この監督、マジで良い性格してやがる…。

 数秒とは言え、気を失った人間に対する反応では無いぞ。


「ごめんなさい桐ヶ谷君…。私が手加減無しで蹴っちゃったせいで…」

「だから大丈夫だって。ああもう泣くなっての!」


 俺は未だ泣き止まない鹿野さんの涙を、空いてる手でハンカチで拭く。鹿野さんはすんすんと鼻を啜りながら、それを受け入れた。

 鹿野さんって普段適当そうに見えて、意外と責任感があるんだもんなぁ。


「いつもみたいに笑ってくれよ。『ごめーん桐ヶ谷くーん☆大丈夫ぅー?(笑)』って」

「桐ヶ谷君から見た私ってそんなヤバい子なの!?」

「いやまぁ流石に嘘だけど。半分、いや三割は」

「七割そう見てるってこと!?」

「おっとつい本音が」

「よーし、立て!立ち上がれ桐ヶ谷誠っ!今度はその顔に竜巻旋○脚をお見舞いしてやるー!」


 しまった。元気づけるつもりが、殺意を抱かせてしまった…。

 まぁ何であれ、これくらい騒がしい方が鹿野さんらしくて良いだろう。その方が俺も嬉しい。

 ……“嬉しい”、ねぇ…。


「ちょっと待って。あと十分は休ませてくれ。まだ鼻血が止まってない」

「うおりゃーーー!」

「いやマジで竜巻旋○脚してんじゃねぇよ。ギャグドラマじゃないんだからそれ撮影で使えねぇよ?」


 グルグルグルグルと片足で回りながら左右に移動する鹿野さんに、現場スタッフは「おぉー!」と称賛の拍手を送っていた。


―――――――――――――――――――――――――――


「それで結局、止まってもしばらくしたらまた鼻血が出たりの繰り返しで、撮影は明日に持ち越しになったのね……ぷぷっ…」

「おいお姉貴様、笑うんじゃあないよ。人の鼻つっぺ姿を見て何が面白いと言うのかね?というかもう笑うならいっそ顔を背けるな。堂々と面と向かって笑ってくれた方が良いわ」

「そう……ごめんなさい。やっぱり男の勲章を笑うのは失礼よねぷぷ。ごめんなさいやっぱり無理だわ」

「傷が男の勲章とかいつの時代だよ…」


 家に帰って早々、お姉が俺の鼻つっぺした顔を見て「ぶふっ!」と吹き出した。

 そこから撮影現場で起きたことを話したら、もうずっと笑いを堪えようとして吹き出しての繰り返しだ。

 ……まぁ笑うことは良いことなんだけどさ。特にお姉は普段笑わないから、いっそ笑ってくれた方が安心する。


「ふぅ。久し振りにこんなに笑ったわ。明日は腹筋が筋肉痛ね」

「そうっすか。ついでにがん予防になって良いことだ」


 俺はお姉が作ったオムライスを口に運ぶ。半熟トロトロで甘いオムライスは最高だ。


「美味い」

「そう。それはよかったわ」


 お姉はスマホを弄りながら答える。もう既に真顔に戻っている。

 切り替えが早い。


「……総司とLITI?」

「それもするけれど、今は普通に友達と」

「ふーん。お姉にLITIする友達いたんだ」

「失礼ね」


 そう言いながら、お姉は友達への返信を終えたあと、スマホを置いて風呂に入りに行った。

 少しすると、お姉のスマホから『らいち♪』という声が聞こえ、待ち受け画面が開かれる。


 その画面の通知がうっかり目に入ってしまい、お姉の返信相手の名前が見えてしまった。


「……鹿野さん?」

笑うとがん予防になるというのは、『はたらく○胞』を参照。


リアルが色々な意味で忙しすぎてファンタジー小説の方にも手を付けられず、申し訳ないです。

ゲームを我慢することを覚えたい。というか覚えます。

投稿していなかった間も読まれ続け、しかも総合ptも増え続けていたので「ヤバい!?更新しなきゃ!?」となったので、無理せず毎秒投稿しろと言われる前に更新頻度を戻していきたいです。


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