男子バレー部員たち
やっと投稿できた。
「おはようございます!」
「おはようございまーすっ!」
俺は鹿野さんと一緒にバレー部の練習場所である第二体育館に来て、元気よく挨拶する。
鹿野さんの顔が撫でられた影響で未だに赤みを帯びているが、暑さにやられたということにすれば問い詰められることは無いだろう。
「おはよう桐ヶ谷君。あれ?鹿野さんも一緒なんだ」
バレー部の谷口が返事を返してくれる。
「ああ。鹿野さんが見学したいって」
「そうなんだ。全然良いよ。むしろ皆のやる気が出て良いかもしれない」
体育館を見渡すと、今いるのは谷口だけのようだ。
「他の部員は?」
「部室で着替え中。いつも僕が一番乗りなんだ」
「わぁ!男子のネットってやっぱり高いねー」
隣にいた鹿野さんが、いつの間にかまだネットの張られていないポールの横でジャンプして遊んでいた。
そんな鹿野さんを見て、谷口は感嘆の声を上げる。
「肘まで出るなんて、鹿野さんってやっぱり凄いね。うちの部長と同じくらい飛んでるよ」
「もう見慣れた。ていうかあれは序の口だぞ?たぶん本気を出したら、おでこくらいまで行く」
「あっははは。男子バレー部の面子が丸潰れだね」
「なぁ!?あ、あああああ、あの絶世の美少女は!?」
いきなり体育館に響き渡った大きな声が聞こえ、振り返ると俺と同じくらいの身長の男子がいた。
天然パーマかな?もじゃっけのある髪が特徴的だ。
「歩!あの絶世の美少女はもしや、シリウスのオリオンちゃんではないかッ!?」
「うん。そうだよ」
「なぜオリオンちゃんがここにいるんだ!まさか、バレー部のマネージャーを……」
「桐ヶ谷君の練習している姿を見たいだけだそうだよ。桐ヶ谷君は初めて会うよね?彼は部長の尼崎徹。バレーは中学からやってるんだ」
「む。そうか…」
尼崎と呼ばれた男子は、俺を興味深そうに見てくる。
ていうか谷口、俺は一言も鹿野さんの見学理由は言ってないぞ。合ってるけど。
「ふむふむ……お前が噂の桐ヶ谷誠か…。歩から話は聞いている。俺より高く飛べるらしいな」
「胸まで出る」
「そうか!短い間だが、よろしく頼む!歓迎しよう。同じ二年だし、呼び捨てでかまわん」
尼崎が握手を求めてきて、それに応じる。
かなり熱い人間っぽいな。
「「「おはようございます!」」」
握手を終えて、新しく三人の男子が入ってくる。一人は片腕を包帯で固定していた。
「この子たちは一年生だよ。左の女の子みたいな顔をしている子が、リベロ(レシーブ専門の選手)の八木龍生君。なんだけど、今は部員が六人だけだからリベロにはなれないんだよね」
「顔は気にしてるので、あまりそういう紹介は勘弁してください…」
身長は160センチ半ばくらいで、谷口が言った通りの女顔でさらにアニメ声だ。確かに女子っぽい。
実際、体格も華奢だから女子マネージャーかと思った。普通に男子部員だったことに驚きを隠せない。
というか谷口も童顔で、パッと見は男子か女子かなんてわかりにくい顔してるんだから、人のこと言えなくね?
「真ん中の背の高い子が、ミドルブロッカー(背が大きい選手がよく入るポジション。稀に背が低い選手がやることもある)の孝雄道長君。この間190センチになった化け物だよ身長分けて?」
「谷口さん。後半私怨が入ってます」
堅物そうな見た目の孝雄君は少し老け顔で、三年生と間違われそうな見た目をしていた。
俺も分けて欲しいな。気にしてないけど、お姉の身長は一度でもいいから越えてみたい。
「右の子がウイングスパイカー(スパイクが強い選手やオールラウンダーな選手が入るポジション)の山口康生君。前に話したと思うけど、彼が桐ヶ谷君と変わってもらう子だよ」
「俳優業で忙しいのに、ご迷惑をお掛けします!先輩!」
「良いよ、別に。割と自分の都合も入ってるから」
俺より少し身長が高くて、元気のある子だ。
俺が助っ人に入ることになったのは、この山口君が肩を怪我して、七月の地区大会に出られなくなったからだ。怪我の原因は他校との練習試合で、汗で滑りやすくなってしまった床で思いっ切り転んだからだそうだ。
受け身を取る暇もなく盛大に肩から落ちたらしいが、幸い脱臼まではしていないとのこと。
「ちなみに尼崎のポジションは?」
「ウイングスパイカーで、エースだ!どうだ?カッコイイだろ!」
「あ。そうっすね」
尼崎は少しおバカな節があると理解した。
……あと、そろそろ飽きもせずジャンプばっかして遊んでる人を呼び戻すか。一年たちも気になってるみたいだし。
「おはようございまーす」
ぴょんぴょん跳ねてる鹿野さんに戻ってくるよう声をかけようとした所で、山口君と顔が似ている仏頂面な男が入ってくる。
「遅いぞ美月?康生と一緒に来てるのに、なんでお前だけ遅いんだ」
「朝に弱いんだから仕方ねぇだろ。頑張って来てるだけでも褒めてくれ。そんで、康生の代わりってのは?」
美月と呼ばれた男は俺と視線が合うと、仏頂面のまま声を話しかけてきた。
「おお。本当に桐ヶ谷誠が助っ人してくれるのねぇ。悪いね、俳優の仕事で忙しいだろうに」
「いや、問題ない。よろしく……えっと?」
「ああ。名前で呼んでくれていいよ。康生とは兄弟なんだ。弟の代わりに出てくれて、本当にありがとうな」
そう言いながら、美月が無遠慮に俺の手を握ってくる。コミュ力の塊で、人のパーソナルスペースを余裕で踏み越えていく感じのようだ。仏頂面なので少し威圧感がある。
それで言ったら尼崎も割とパーソナルスペースを踏み越えてくるタイプかもしれない。多少の礼儀はあったけど。コミュ力高い奴って怖ぇ。
「よーし!全員揃ったな?歩から聞いてた通り、なんでも体育のバレーでとんでもない実力を発揮したらしい桐ヶ谷誠が助っ人に来てくれた。地区大会まで残り3週間も無いが、ある程度の連携は出来るように練習していくぞ」
「「「はい!」」」
これで全員か。谷口曰く、一年の孝雄君は高校に入ってからバレーを始めた初心者らしい。
身長が高いので、余裕で肘までネットから手が出るとのこと。これにジャンプ力付いたらかなり脅威だな。
「ところで、なんでオリオンまでいんの?マネージャーでもやってくれんのか?」
美月が鹿野さんを指しながら言う。
しまった。呼び戻すのをすっかり忘れてしまっていたって、まだ飛んでるし…。
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軽くランニングから始まり、パス練習を終えたあとスパイク練習となった。
谷口が上げたボールを思い切り床に打ち付ける様にスパイクすると、感嘆の声が上がった。
「「「おーっ!」」」
「え、エースの俺より強いスパイク……だと?」
やっぱり俺はバレー部に比べると、スパイク以外が結構粗末だな。
初心者にしては上手いと言われたが、ボールを上手いこと相手に運べない。
多少のズレは許容範囲と谷口は言うが、生憎と『やるからには全力でやる』タイプの俺は妥協点を作りたくない。
家でも練習しておくか。バレーボールっていくらだ?7、8千円もあれば買えるか?
「桐ヶ谷君カッコイイー!」
「はいはい。どうも」
ちなみに鹿野さんにはセッターにボールを上げる役をやってもらってる。やってることがマネージャーのそれだ。
「おらー!負けてられっかー!?」
尼崎が俺に負けじとスパイクを打つ。エースと言うだけあって、結構エグい音がした。
「どうだい鹿野ちゃん!俺もカッコイイだろ?」
「うん!」
鹿野さんが頷いて、それに尼崎は「ふふん」と胸を張る。
でも鹿野さんは思ったことをオブラートに包まずに答えるタイプなので……
「でも、桐ヶ谷君のスパイクの方が強くてカッコイイね」
「グハッ!」
「僕も桐ヶ谷君の方がフォームが綺麗だし、カッコイイ思う」
「「「同じく」」」
「ザーコ(笑)」
「今さらっと悪口言いやがったな、美月!?俺が雑魚なんじゃねぇ!桐ヶ谷が強いだけだちくしょー!」
うちのバレー部は、愉快でアットホームな部活のようです。
新しい小説は、王道ファンタジー小説にしようと思っています。
RPG風で、ゲームでよくあるお使いイベントなどをこなして、報酬をゲットするような物にしようと思っております。
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