誰かを本当に好きになった時
謝罪。
昨日は時間を忘れてA○EXを楽しんでました誠に申し訳ございませんでした!
あと鹿野さん視点はやめて、普通に誠視点にしました。
「ただいまぁ…」
家に帰ってきて早々、俺はお姉が座ってるソファにダイブしてうつ伏せになった。
「おかえり誠。服が皺になるから、せめて上着くらい脱ぎなさい」
「うぃ~」
上着を脱ぎながらソファに座り直して、俺がソファにダイブすると同時に素早く避難したお姉を見る。
……色々な意味で大きい姉は嫌いじゃない。
「なんかいやらしいこと考えてるでしょ?」
「俺が?……ああ、確かにちょっとだけ考えたな」
「はぁ……男の子としては正常だし、別に良いけれど。でも実の姉に対してその視線はやめて頂戴」
言いながらやや見下すような視線を送ってくるお姉。人によってはその目はご褒美ですありがとうございます。
などと変態的なことを考えてみるが、うん。気持ち悪い。我ながら吐きそうなくらいキモい。
「ごめん。冗談が過ぎた」
「誠の冗談は冗談に見えないし、聞こえないわ」
「あんたに言われたくないわっ」
俺は別にお姉に欲情した訳ではない。本当にただの冗談だ。
「ところでさ、お姉。ちょっと聞きたいことがあるんだけど?」
俺の隣に座り直したお姉に聞く。
「なに?」
「お姉は、いつ総司を好きになったんだ?」
お姉が総司のことが好きだと知った時は、まぁそんなこともあるんだろうな程度にしか考えてなくて、そこまで大きく興味を持っていなかった。
ただ今日の鹿野さんとのデートで鹿野さんに対して、そして自分に対しても少し思う所があった。
もしかして鹿野さんは、俺のことを異性として見ているのではないか?
反対に、俺も鹿野さんのことを異性として見ているのではないか?
そんな考えが俺の中にあった。最初はそこまで意識していなかったけど、今日の別れ際で俺は鹿野さんを直視することが出来なかった。
夕陽に照らされたあの眩しい笑顔を見た時、今までにないくらいドキドキさせられたから。
なぜあんなにもドキドキしたのか。俺は鹿野さんを好きになってしまたのか。
それを絶賛恋する乙女中のお姉に聞いて、この感情が恋なのか知りたかった。
こんなにもドキドキすることなんて俺に噓告してきた女子にもしたことなかったから、余計に知りたかった。
「急にどうしたの?そんなこと聞いて」
「いや……鹿野さんがなんかやたらとアピールしてくるから、もしかしてと思ってさ…」
自分が鹿野さんのことが好きかもしれないなんて気恥ずかしくて言えず、鹿野さんのことしか言えなかった。
俺のチキン野郎…。
「何を今更……いや、そこまで気付けたんなら誠にしては上出来ね」
「さいですか…。で、実際の所どうなの?」
お姉は目を閉じながら顎に手を当てて考える素振りをする。
「そうね。あれは私が中学三年生の頃だったかしら」
「急に語り口調になった」
「ずっと前から色々な男の子に告白されていい加減辟易してきた時に、ふと総ちゃんの顔が思い浮かんだの」
「それって、お姉の身長が褒められた時より後の話?」
お姉は頷いた後、更に続けた。
「総ちゃんなら私のこと嫌な視線を送ったりしない。それに私のこと苦手なんて言いつつ、いつも優しく接してくれる。私って、案外チョロイのかもしれないけど……それだけで胸が高鳴るのを感じたわ」
頬を染めながら言うお姉は、弟の俺でも思わず見惚れるほど綺麗に見えた。
「……なんか、たったそれだけのことなのにめっちゃ甘く感じる」
「ふふっ。ありがとう」
「かぁー……美人って得だねぇ。ちょっと笑うだけで魅力的に映るんだから」
しかも普段、表情が乏しいお姉が笑うと余計に。
「なるほどねー。総司のことが好きだと自覚したのは、そういうトキメキがあった訳だ」
「そうね。でも、本当に好きなんだって気付いた時は、ストンって憑き物が落ちるような感覚が強かったわね。あの時は自分でも驚くくらい心が落ち着いていって……それからまた心臓の動きが早くなったわね」
「不整脈みたいだな」
「ふふっ。そうね。だから恋を不整脈だなんて勘違いする描写が恋愛小説や漫画に多いんじゃないかしら?」
なるほど。確かにその通りかもしれないな。
……じゃあ俺のこの気持ちは、恋とは違うのか?鹿野さんに対して、憑き物が落ちた云々の感覚を覚えたことはないし。
「あ。そうそう。これはあくまでも私が恋に落ちた瞬間であって、誠まで同じような気持ちを鹿野さんに抱くかはわからないからね?」
「そう……ん?ちょっと待て、今なんつった!?」
「ふふっ。何年貴方の姉をやってきたと思っているの?冗談でもいやらしい目をしていたり、気になる女の子がいることくらいお見通しよ」
「前者は余計だ!てかなんでそこで鹿野さんが出てくるんだよ!?」
「鹿野さんとのデートから帰ってきて早々にこんな話を持ち出されれば、誰だって勘づくわよ。まぁ、鹿野さんが誠にアピールしているのも本当でしょうけどね。ほぼ無自覚っぽいけど」
くっ!予想以上に頭がキレる姉なんか嫌いだよっ!
「褒め言葉として受け取っておくわ」
「心まで読むんじゃねー!」
「顔に出てるだけよ。ふふふふっ」
今日はなんだか上機嫌なお姉に少し不気味に感じつつ、不利を悟った俺はスマホに入れてる音ゲーに逃げた。
鹿野さんとの仲良し度70%→80%
はよ付き合えと思わせるような距離感。
そろそろ誠が鹿野さんを溺愛し始めるかもしれない?
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