デート1
明日、いえもう今日ですね…。
仕事が少し早いので、短いです。次回のやつとその内くっつけたいと思います。
内容次第ではくっつけないかもですが。
鹿野さんに手を引かれる形で映画館に着いた。
俺と鹿野さんは、ちゃんと道中でサングラスとメガネをかけ直しているので、中に入っても然程騒がれないだろう。ちなみにメガネは伊達だそうだ。
「なんかやっと着いたって感じするな…。鹿野さんの追っかけとかいないだろうな?」
「大丈夫だと思うよ?なるべく人混みに紛れるようにして来たから」
「ああ。どおりで歩き辛い所を通ってると思った」
それならば追っかけに追い回されて、せっかくの休日が台無しということも無いだろう。
安心してデートを楽しめる。
映画館の中に入り、受付を済ませて飲み物とポップコーンを買って上映されるシアタールームに向かう。
席は丁度真ん中辺りで、見やすい位置だ。
「ふんふんふーん♪楽しみだなー」
「そんなにこの映画が楽しみだったのか?」
「それもあるけど……どっちかって言うと、桐ヶ谷君と一緒に映画を見るのが楽しみだった、かな」
「……ああ…。さい、ですか」
やめろ。勘違いするようなことを言うな。心臓がうるさいったらない。
この様子だと、本人はほぼ無意識なのだろう。鹿野さんは依然として変わらない笑みを浮かべている。
全く、人がドギマギしている横で吞気な……あ。そういえば、ナンパ事件のせいで忘れていた。
デートの基礎中の基礎。相手の服装を褒める。
これが出来ない男は三流以下だってお姉だけでなく、色々なテレビ番組でも言ってた。
上映までまだ少しだけかかるし、今のうちに褒めておこう。
「鹿野さん」
「ん。なぁに?」
「さっきは言いそびれて今更で申し訳ないんだけど、その格好凄く似合ってる。可愛いよ」
「んなっ!?」
女の子の服装を褒めた後、可愛いや綺麗といった言葉も入れると尚良いらしい。
「それに可愛いだけじゃなくて、綺麗さもあって凄く魅力的に見える」
「ちょ、ちょっと待って!それ以上は嬉しすぎて、私のハッピーの許容量がキャパオーバーしちゃうから勘弁して!?」
「? そう?」
顔を真っ赤に染めて言う鹿野さん。
ハッピーの許容量って何?まぁ幸せってことなんだろう。
「き、桐ヶ谷君も、その~……」
鹿野さんは両手で口元を抑えながら、上目遣いで言う。
「桐ヶ谷君も、その服と髪……似合ってる、よ…。実はちょっとだけ、見惚れちゃった…」
「……………ああ。そう?」
「うん」
未だ顔が赤い鹿野さんに褒められて少しフリーズしてしまったが、なんとか平静を装う。
美少女の上目遣いというのは、やはり凶器だ。自分がここまでドキドキしてしまうとは思わなかった。
さらに照れながらこちらを褒める仕草も卑怯だ…。男なんて基本これでイチコロなのでは?
「ふふふっ。可愛い」
「は?」
「なんでもなーい」
その後は映画の広告を観て、「これ面白そうだから、見に来よう!」という話をしながら上映を待った。
さりげなく次のデートの約束をされた気がしたが、気にしないでおこう。
人は無意識に、顔のどこかを赤くするらしいです。
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