表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
陰キャ男子高校生と天真爛漫なアイドル  作者: 結城ナツメ
桐ヶ谷誠を好きになる女子なんていない
58/112

谷口歩2

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

「鹿野さん!」

「うん!」


 相手の女バレの子が鹿野さんにトスを上げて、谷口と藤堂さんのブロックのほぼ真上からボールが打ち落とされる。

 後ろにいた総司と女子二人は全く反応出来ず、手も足も動かすことが出来ないでいた。鹿野さんの強烈スパイクにビビってしまってるから、余計に。


 スパイク練習が終わった後、試合形式でバレーが行われることになった。チームは男女混合で、11点1マッチ先取のデュース無し。

 うちのチームは、総司と谷口と藤堂さんがいて、あとは顔と名前が一致しない女子二人。ポニテ女子とボブカット女子と心の中で呼んでおこう。

 俺と谷口と藤堂さんが前衛、他三人は後衛。後衛三人はネットから手が出ないので、ローテーションは固定で回さない。


 俺たちが戦うチームは鹿野さんがいるところになったのだが……


「なんで鹿野殿のスパイクはあんな人間離れしてるんでござるか!?」

「今更だろ?しかも俺と鹿野さんはレフトだから、俺は鹿野さんにブロック付けねぇし」

「頑張って三枚ブロック付けば良いじゃないでござるか」

「谷口と藤堂さんの真上から打たれて終わりだわ」


「ごめんね~。僕の身長が小さいばっかりに」

「そんなことないです!谷口さんのジャンプ力は高くて、私よりも飛んでるじゃないですか。さすがバレー部です!憧れちゃいます!」

「あはは。ありがとう。藤堂さんもアイドルやってるだけあるね。女バレ並みに飛べてて凄いよ」

「え、えへへ。そうですか…」


 谷口と藤堂さんのところだけぽわぽわとした空気が漂っているのは無視して、鹿野さんを一体どうするべきか…。

 あの化け物女子とタメを張れるのはジャンプ力的に俺だと思うけど、二人のブロックの上から撃ち落として来るんじゃポジション的に三枚ブロック付いても難しい。


 となると……


「僕と藤堂さんは、鹿野さんを無視しようか」

「?どういうことでござるか?」


 そうなるか……俺の負担が増えるなぁ…。


―――――――――――――――――――――――――――


 鹿野さんと俺は、スパイクが強すぎるのでワンプレイ中のラリー含め、三回に一回のペースでしか打っちゃいけないことになってる。そうじゃないと他の人にボール行かないし。

 俺がスパイクを打って点を取ったが、点数は7-9とこちらが不利の状態。


 そしてその時が来る。


 女バレの子が鹿野さんにトスを上げて、鹿野さんが打ちに来る。

 本来なら、鹿野さんと対面のライトの谷口とセンター、真ん中のポジションの藤堂さんがブロックに付くべきなのだが、今回は二人は下がって俺だけが鹿野さんのブロックに付いた。


 谷口と藤堂さんが鹿野さんを無視するというのは、二人では鹿野さんのボールに触れることすら出来ないから、ブロックに参加しないという意味。

 その代わり、俺が鹿野さんとタイマンを張る。


 鹿野さんは自分以上に飛んでブロックに付かれたことに驚いたが、至って冷静の様子だ。

 ブロック一枚なら鹿野さん程の身体能力であれば、ブロックの横に打って躱すことが出来るだろう。だが……


 ――――そんなの、一緒にあんな無茶苦茶なドラマを撮った俺はよくわかってるよ。


 鹿野さんがボールを打った瞬間、俺は腕を横にずらす。すると強烈なスパイク音と共に、壁から床に叩き付けられた音が体育館に響いた。

 ボールが落ちたのは……鹿野さん側のコートだった。


 先生を含め、それを見ていた皆は「おーーーッ!?」と声を上げた。

 俺も鹿野さんのスパイクをドシャット(物凄い勢いで、ブロックされたボールが床に叩き付かれること)することが出来て嬉しかったが、それどころではなかった。


「……腕痛い…」


 ブロックした左腕が真っ赤になっていた。なんつー馬鹿力……男子顔負け過ぎて引くわ…。


「すごーい!桐ヶ谷君が私のスパイク止めたー!」


 鹿野さんは自分のスパイクを止められたというのに、キラッキラした笑顔で凄ぇ上機嫌だった。こっちは痛過ぎて不機嫌だよ…。


「鹿野さんのスパイク痛過ぎ…。二度とブロックしたくない」

「なんで?ブロック付いてよ!次は本気で吹っ飛ばしてあげるから!」

「え?」


 本気じゃなかったの?あれ以上強くされたら、文字通り腕吹っ飛ぶんですけど…。


「ごめん谷口。ブロックやめて良い?」

「ダーメ。頑張って威力ぐらいは抑えてね♪」

「この合法鬼ショタ!?」


「?合法鬼ショタって何ですか?」

「藤堂殿は知らなくて良いでござるよ」


 結局、鹿野さんのギアが上がってしまい、10-11でこちらの負けで終わった。

 鹿野さんのスパイクを触りまくった結果、俺の腕の感覚が二時間目の授業まで無くなっていたことは秘密にしたい。

 相手が鹿野さんとはいえ、女子のスパイクにボロボロにされたとか地味に恥ずい…。


「大丈夫、桐ヶ谷君?」

「……大丈夫じゃない…」

「お詫びに、痛いの痛いの飛んでけーする?」

「俺は子どもか?」


 鹿野さんのお詫びが辱めに来ている件。

年末年始は仕事疲れで寝落ちしてました。

そしてしばらく見ないうちに、大量に総合ptが増えててビックリ…。

これからも頑張ります!


ブクマ登録や評価、感想をくださると作者のモチベが上がります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ