変わり始めた誠
鶏肉食べた。
ハニーマスタードを付けて食べるのが好き。
鹿野さんに抱き付かれてる所を誰かに見られるのにひやひやしたが、無事に学校に着いた。
鹿野さんと教室に入ると、隆二と総司が心配そうな顔で話しかけてくる。
「誠!良かった~。大事は無さそうだな」
「理乃先ぱ……じゃなかった。理乃殿から誠殿が倒れたと聞いた時は、さすがに心配したでござるよ」
「大袈裟だ。別に死ぬ訳じゃあるまいし」
「それでもだ。お前が倒れた原因聞いた時は、マジ生きた心地しなかったんだぞ?」
「昨日は隆二殿は店の手伝い、拙者も隣町までアニメの限定グッズを買いに行く予定があったから、お見舞いに行けなくて申し訳なかったでござる…」
「おい。お前今、何気に薄情なこと言ったぞ?」
「~♪」
俺の指摘に総司は口笛で誤魔化す。まぁ良いけどさ。隆二と総司がお見舞いに来ても、ここまで体調が治ることは無かっただろうし。
それに……
「ん?どうしたの?」
「いや。なんでもない」
鹿野さんのおかげで、俺は心を救われた。想いを吐き出すというのは、精神を安定させる上でかなり重要だというのがわかった。
本当に、感謝してもしきれない。今まで吐露して来なかったことを聞いてもらって、慰めてもらって……うぅ。胸に抱かれたことは忘れろ俺…!
「何々。桐ヶ谷ってばそんなに体調悪かったの?大丈夫なの?」
話を聞いてたらしい大野が入って来る。彼女も心配してくれてたのだろう。
「ああ。もう体調は万全だ。これからまた、色々頑張れそうだ」
「そうなの?でもなんか少し顔赤くない?」
それはさっき、鹿野さんに抱きしめられたことをフラッシュバックしたせいだな。あれは黒歴史になりそうだ…。
「大丈夫だっての。心配してくれてありがとうな」
「え…。ど、どういたしまして…?」
笑みを浮かべながらお礼を言うと、大野は首を傾げる。俺なんか変なこと言ったか?
「ま、誠殿が……笑った…。誠殿が笑ったでござるー!?」
総司が急に大声を出すから、クラスにいる皆が一斉にこちらを見た。
「うるさっ…。急に大声出すなや。一体どうしたんだよ?」
「だって誠殿が穏やかに笑う姿は、中学の時以来でござるよ?どうしたはこっちのセリフでござる」
「ああ。確かにそうかもな。そういえば鹿野さん、昨日は誠のお見舞いに行ったんだよな?何かあったのか?」
総司がそう言うと、クラスの奴らから様々な視線が飛んでくる。男子からは嫉妬や殺気。女子からは好奇の視線が多かった。
「おい。面倒臭いことになるから、やめろそのことを言うの。しかも意味深に聞こえるだろ」
「て言ってもな~。実際、何かあったとしか思えねぇよ。大野でさえ違和感感じるくらい、穏やかで優しそうな顔で笑ってたぞ?」
「……え。そうなの?」
「うん。桐ヶ谷、別人みたいだったよ。クッキー渡した時に似てるけど、なんか全然雰囲気が違うっていうか…」
マジでか…。俺的にはいつも通りのつもりだったんだがな…。
そんなに変わったか?
「なぁ鹿野さん。俺ってそんなに……」
鹿野さんにも、俺が変わったのかどうか聞こうとした。
だが鹿野さんを見ると、いつの間にか顔を真っ赤にしていた。
「し、鹿野さん?どうした?」
「……ない…」
「は?」
「何も無かったですーーーッ!」
ビュンッとでも擬音が鳴りそうなスピードで、鹿野さんは教室から走り去ってしまった。
もうすぐ予鈴鳴るんだけど…。あとなぜに敬語?
「あー…。これは完全に何かあったな」
「エッチなことしたんでござるな?」
「えっ!したの!?」
「してねぇよ!?真に受けんな!昨日は何も無かったわ!本当だっ!」
だが鹿野さんのあの様子からして、何も無かったなんて信じてもらえるはずもなく、この後質問攻めにあったのは言うまでもない。
……………あ。胸に抱かれたことって、エッチなことなのでは…?いや、考えないようにしよう…。
実セ委員会が動きそうな話題ですこと。
実際、どこからがエッチなことになるんでしょうかね?
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