クイズ!家族王決定戦!2
三回も書き直してて遅れました。
徹夜キッツ…。
「さぁ!メンバー紹介も終わりましたので、さっそく最初のお題に参りましょう!ではオリオンちゃん、お願いします」
「はーい!最初のお題はぁ……『家族で早押しクイズー!』」
鹿野さんのコールで発表されたのは、クイズ番組の王道である早押しクイズ。
参加者の一人一人にボタンが配られており、一人が押すとチームの前に設置されている机のバーが光る仕組みだ。
「こちらのお題では、家族全員に回答権があります。問題の答えがわかったらジャンジャン押していきましょー。ただし!間違えた場合は連帯責任となり、他のチームが一回答えるまではチーム全員が回答権を得られませんので、慎重な判断も必要です!」
「せっかちな人には優しくないゲームね。そして家族とはいえ、チームの足を引っ張りたくない奥手の人にも、また優しくない」
「焦らず慎重に、ですが早くしないと間に合わないかもしれない……まるで爆弾処理みたいです!」
「例えが物騒ね…」
シリウスの三人がこのお題について説明&解説する。
藤堂さんの例えは物騒だが、割とその通りかもしれない。
爆弾に備え付けられた、色とりどりの線。どれが正解かわからず、切る線を一本でも間違えれば即爆発。ゲームとかだとそんな緊迫した状況下では、冷静に周りにあるヒントから正解を導き出す必要がある。
でも現実だとそんな生易しい爆弾処理がある訳がない。完全に爆弾処理班の知識だけが頼りとなる……らしい。
問題という名の爆弾から、正解の線を一つだけ切らなければならない。失敗すれば、他のメンバーまで巻き添えをくらってしまう。
だからといって尻込みしていれば、時間切れ(他のチームが正解)で爆発。相手チームの得点。
大袈裟な例えだが、慎重に対処しつつ急いで正解を導かなければならない状況は爆弾処理に似ているかもしれない。
そんな例えを思い付く藤堂さんが少し怖いけど。
チームそれぞれが軽く意気込みを言ったあと、宮海さんが問題を発表する。
「こちらの早押しクイズは、五問ごとにジャンルが変わります。自分の得意ジャンルでジャンジャン、ポイントを稼いで行きましょう!それでは第一問……最初の五問は『漢字の読み』です!こちら!」
そう言って、スタジオの画面に映し出された漢字は『胡坐』。
その問題が出た瞬間、ピンポン!と音が出た。押したのはなんと、アンリさんだった。
流石は日本語ペラペラの外国人。漢字に関しても自信ありか……これは強敵かもしれな……
「ねんざ!」
ブーッ!
「ちゃいます!えらいドヤ顔で言うてはりますけど全然違いますね」
……うん。自信満々に言われたら何故かそれっぽく見えるけども、ねんざは捻挫だ。全く字面が違う。
次に押したのはお姉だった。
「あぐら」
ピンポーン!
「正解!桐ヶ谷家チームに十ポイント入りまーす!」
俺もわかっていたけど、全員に活躍の場があった方が番組が盛り上がるし、敢えて押さなかった。
まぁ負ける気は無いから、追い抜かれそうになったら率先して動く。
一応、この中で一番頭が良いの俺かお姉だし。実は母さんは一夜漬けタイプだったらしいから、あまり期待していない。
この日のためにいくらか勉強してきたらしいけど。
次に出された問題は『剰え』。これもわかるが敢えて押さずにいると、なんと母さんがボタンを押した!
……まぁ間違えても、後の問題で取り返せば問題はない。だから遠慮なく間違えてくれてオーケーだ。
「あまつさえ」
そうそう、あまつさえ。この漢字はあまつさえって読む……は?
ピンポーン!
「はぁ!?母さんどうした!?」
「勉強できる母さんとか、母さんじゃないみたい」
「失礼ね、貴方たち…」
母親に向かってお姉と一緒に失礼千万な物言いをすると、観客たちが笑い出す。あ、父さんも堪え切れず爆笑してる…。
あれは後でお仕置きされる奴だ。
「今の話からしますとぉ、静香さんはあまり勉強は得意ではないのですか?」
「はい。正直に言って大嫌いです。この世からなくなればいいのにと、何度も思いました」
「怖っ!無表情で言うからめっちゃ怖っ」
「ですが……」
宮海さんの質問に対して、どこか圧を感じるオーラを纏いながら淡々と答える母さん。
しかし次の発言で、スタジオが暖かい空気に包まれた。
「誠の為に、精一杯勉強してきました。大事な息子の顔に、泥を塗る訳にはいきませんから」
「「「……おー!」」」
恥ずっ。背中が痒くなるわ!
なんてこっぱずかしいこと言ってんだ、うちの母親は!?あー耳が熱い…。
「あはははははっ!桐ヶ谷君の耳が真っ赤っか!」
「本当です。凄く可愛いです!」
「あらあら。普段無愛想な人のこの反応は、ギャップ萌えで確かに可愛い……ふふっ…」
「おいシリウス。差し入れのSUGOIDEKAIシュークリームの一つに、わさびを大量に入れてやるから覚悟しておけ?」
「「「ゴメンナサイユルシテクダサイ、アイドル人生に支障をきたします…」」」
「あははははは!桐ヶ谷君はマジでやりそうですねぇ。でもどうですか?お母さんがこんなに頑張ってくれはって嬉しいでしょ?」
「俺たった今反抗期なったんで、嬉しくないです!」
「照れ隠しが思春期!」
こうしてスタジオ全体が盛り上がり、桐ヶ谷チームは五問中三問を正解して、他のチームから一歩リードした形で次のジャンルに移った。
なんか俺の黒歴史が生まれた気がするけど…。
この話が面白いと思ったらブクマ登録と高評価、いいねと感想をよろしくお願いいたします。
おやすみなさい…。




