ケツダイナマイト露出狂、一国の王女を救う。
春はいい。あたたかな陽気は露出を歓迎するかのように優しく私を包み、ミンクのコートの肌滑りも悪くない気持ちだ。
「キャー!!」
おっと、まだ脱いでないぞ? 誰だフライング悲鳴で通報補助をするせっかちさんは……。
「お待ち下さいませ!! お待ち下さいませ!!」
見れば聡明で麗しい女性を数人のジェントルマンらしき男達が追い掛けているではないか。ははぁん、さては今流行りの『ジェントル露出』だな? 見るからに驚かし甲斐のある女性にその様な不埒な真似をするなんて露出狂の風上にも置けない奴等だ。
「お助け下さいませ!! お助け下さいませ!!」
おやおや? 近くで見ると何とも美しくビューティフルなお嬢さん。私のような露出狂の傍へと近寄ってはいけませんよ?
「お嬢様! そのような見るからに変態の側から離れて下さいませ!!」
おいおい、これでもれっきとした変態なんだがな……全く失礼極まりないジェントル露出狂共め。
「人を見かけで判断してはなりません!」
……なんとも良く出来たお嬢さんだ。これは一つ手助けをしないとな。
「お嬢さん。何かお困りですか?」
「コイツらを何とかして!!」
「承知致しました」
「お嬢様!?」
ミンクのコートの下から滑り出すようにダイナマイトを一つ。
「―――!?」
たじろぐジェントルマン共。そりゃそうだ。本物だからな。ケツにダイナマイトを差し込んで行う伝統ある露出。そんじょそこらの生半可な露出狂共と一緒にされては困るんだよねぇ。
「止めろ!! お嬢様に危害を加えるつもりか!?」
ジェントルマン共が鉄砲を取り出した。おいおい、どうしてそんな物騒な物を…………ははぁん、さては今流行りの『ジェントルアウトレイジ露出』だな? 時代を先取りしやがって……。
「その鉛玉より俺の着火の方が速い。試してみるか?」
指を一つ鳴らすと忽ちにダイナマイトに火が着いた。何てことはない、指先に擦ると火花が出る紙を貼り付けてあるだけさ。
「うわぁぁぁぁ!!!!」
慌てて逃げ出すジェントルアイトレイジ露出狂共。全くもって情けない話だ。導火線を引き抜き地面に落とし足で踏む。裸足だから当然熱い。火が消えたらもう一度ダイナマイトに差し込んで再利用だ。
「ありがとうございました。お陰で助かりました」
「いえいえ、朝飯前でございます」
「何かお礼を……」
「いえいえそんなそんな」
「私と結婚して頂けませんか?」
「!?」
何を血迷ったのか、この育ちの良さそうなお嬢さんは私のような生粋で純粋の生まれながらにして露出狂な私と結婚したいと申し立てたのだ。
「いけません。貴女様は住む世界の違う人間でございます。私のような露出狂の相手をしてはいけません」
「居たぞ! 囲め囲めー!!」
逃げたジェントルアウトレイジ露出狂共が仲間を連れて戻ってきた。姑息な奴等め。しかも警察まで居るじゃ無いか。卑怯なり。
「ならば……」
「なんでしょう?」
「ならば追っ手の来ないところまで御一緒に…………」
「ふっ……」と一瞬笑い、それも悪くはないとケツから再びダイナマイトを取り出す。どうやら今日は今までで一番熱い露出になりそうだ。
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(*´д`*)