きみのことがすきだよ
Tへ
…
これを読んでいるって言う事は、私はもうこの世にいないって事だね。
君にだけは、伝えておきたいことがあるんだ。
かしこまって、なんだか恥ずかしいなぁ。えへへ。
私ね。ほんとは、君が好きだったんだ。
こんなこと言ったら、また嘘だって笑うんでしょ。
だから、君が信じるまで、何度だって言うよ。
私は君が好きなんだよって。
笑った顔の目尻のシワも、誰かを想って泣く優しさも、私の「名前」を呼ぶ声も。ぜんぶぜんぶ、愛してる。
ごめん。字が震えてるね。
君に初めて会った日、病気が治らないなら、いっそ魔物に襲われて死にたいって思って、森に入ったんだ。でも、へんてこな格好をした君が、フラフラしてたから、思わず声をかけちゃった。君のお腹の音があんまりにも大きいから、2人して笑ったね。
あれから、いろんなことがあった。
私にだけ枕元でしてくれたお伽話が、「本」として国中に広まった時は、ちょっぴり嫉妬しちゃったな…。ふふ。目が見えなっていく私の、世界を広げてくれたのは君です。ううん。私だけじゃ無い。この国のみんなが、君のおかげで夢を持てたんだ。
ありがとう。
もっと一緒にいたかったなぁ。
元の世界でも元気でね。
…
K