表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

君がくれた命〜Parallel Story〜

作者: 陸斗



紅刃が死んでから、俺は人との関わりを捨てた。



失う事がこんなにも辛いなんて…



大切なモノなんて作らなければいい…



そうすれば失うモノ等何も無くて済む。



そうして部屋に鍵を掛けて閉じ篭り、外界から全てを遮断した。



引っ越そうが何しようが、俺は外に出る事はなかった。



「紅刃…」



誰に聞かせるでも無く、溜息の様に呟く。



涙は枯れてしまったのか、もう出ない。






カリカリカリ……



窓の方から何かを引っ掻く様な音がする。



何故か無性に気になり、引っ越して来てから数度しか開けた事の無いカーテンを開ける。



久々に見る自然の光



久々に見る蒼く澄んだ空



視線を窓の下側に向けると、そこには一匹の猫が居た。



俺は窓を開けて、猫を迎え入れた。



すると、そいつはづけづけと入ってきて、ベットの上で毛繕いを始めた。



「何だよ…お前…」



時折目線を俺に向けて来るが、気にも留めない。



一通り終わったのか、今度は俺に擦り寄って来る。



そして胡座をかいている俺の膝に乗っかってくる。



丸くなって俺を見上げてくる。



「みゃぁ〜」



何だよコイツ…



ってか寝やがった…






それから毎日そいつが来る様になった。



適当に相手をしてやって遊んでいると、必ず日没になると帰って行く。



不思議な気がした。



次第に慣れてくると、そいつは外で遊ぼうと誘ってくる。



仕方ないとばかりに重い腰を上げる。



何故かは解らないけど、外に出る事の抵抗感は消えていた。



外に出ると、まったく知らない光景が広がる。



考えてみれば、引っ越して来てから一度も外に出た事が無かった事に気付く。



そんな事を考えながら呆然としていると、あいつが俺の足元に擦り寄って来た。



そして先陣切って歩き出す。



辿り着いたのは小さな公園。その入口の脇にあるベンチにそいつは座った。



公園…か…



俺はそいつの横に座ると、昔を思い出す。



何故か変な時の記憶ばかり思い出す。



紅刃が思い切り蹴ったボールを止められなくて、ベンチに座ってた男の人にモロに喰らわせてたり、砂場で遊んでた子供達の作ってた山を崩して、作り直すのを手伝ったり…



失敗だけど振り返ると楽しい思い出。



思い出に浸っていると、すぐ脇をボールを追い掛けていく男の子が通り掛かる。



それが妙に懐かしく見えて微笑む。



だがふと思い出す。



その先は道路じゃなかったっけ?



慌てて振り返ると、ボールを追い掛けて周りを気にもせずに飛び出して行くと同時に、向かってくる車に気付く。



気が付いたら走り出していた。



そして飛び出した男の子の腕を掴むと、思い切り引っ張り、公園へと投げる様に腕を回す。



瞬間、けたたましいタイヤのスキール音が聞こえ、目を閉じる。




あぁ…そっか…こういう事だったんだ…



紅刃がどんな気持ちで、あの時俺を突き飛ばしたか解ったよ…



なのに…



駄目だな…俺…



紅刃…今までゴメン…折角紅刃が命掛けて守ってくれたんに…無駄にしてた…



でも…これでチャラだよな…



俺も…多分すぐそっち行けると思うから…




迎えに来てくれな…







読んで頂きありがとうございました。なんだか書いてる内に色々変わってしまいましたが、何とか終わらせられました。実を言うと、一番最初にこの話を思い付いた時の終わり方が、実はこんな感じの終わり方だったのですが、書いている内にどんどん変化していって、あっちの話になりました。んで、やっぱり大元のエンディングも書きたかったので、パラレルストーリーとして書かせていただきました。またまだ文才の無い自分で、読みずらい部分もあったかもしれませんが、精進しますので、意見やら感想やらを頂けたら嬉しく思います。では、此処まで読んで頂きありがとうございました。また執筆する機会がありましたら、是非読んでやってください。 でわでわ☆

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ