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「転生したら◯◯だった」←どうやら死ぬことでどうやら異世界転生ができるみたいなので私も異世界行ってきます

作者: 黒豆100%パン



服もヒゲも白いその仙人は生と死の狭間にいた。なぜそんな所に居るのかというと、 そこで仕事をしているから。

それは、「死んだ者に生き返るチャンスを与える」というものだ。

私は生前とても良い行いをしたりしたものに、生き返らせるチャンスを与えている。生前の行動を見ることができるためそれを見て生き返らせるか否かを決めていた。



「あ、あの」



ひょろひょろの男が来た。年は35ぐらいか、そこまで痩せているというわけではなく標準的な会社員というような風貌をしている。



「ここは生と死の狭間。お前に生き返るチャンスをやろう」



「もしかして、ここでチートアイテムが貰えて異世界に行けるとか?」



その言葉に少し戸惑った。チートアイテム?イセカイ?こいつは一体何を言っているのか。仙人は「おほん」と言いもう一度くりかえす。



「お前にもう一度生き返るチャンスをやろう」



「そういうのいいんで異世界とかないんすか?」



また来た。その「イセカイ」とかいう奴は一体何なのか?こやつの生前の生活を見れば何かわかるかもしれない。

平凡な価値に生まれ。特に苦労なく生活をしている。趣味は小説投稿サイトの小説を見ることか。そして会社員になり何の変哲のない生活をし、信号無視をしたトラックにはねられ死んだ。

なるほど!こいつの言うイセカイはさっぱり分からん。仙人は頭を抱えた。



だがその死ぬまでの過程にすごくいいことを繰り返しているではないか。おばあさんを助ける。ボランティアをする....とても良いことばかりしているのでこれはもう一度チャンスを与えてもいいかもしれない。



「ふむ、良いことばかりしているようだな。お前にはもう一度チャンスを与えてもいいぞ」



「そーいうのいいから早く異世界に連れて行ってください」



「ところでその『イセカイ』というのはなんじゃ?」



「え?」



男も驚いている。異世界を知らないのはそんな驚くことなのか。

その異世界というものとどういう関係があるのか...。




「異世界転生と言えば死でしょ!!『殺されて転生したらスライムだった』とか『死んだら女神がスキルをくれるからその女神を持っていく』とか、なろうのテンプレでしょ!!」



「なろ...え?」



仙人はまた「ナロウ」という新しい謎ワードに頭を抱えた。本当にこいつは何を言っているのちんぷんかんだった。



「とりあえずお前は生前いいことをしてきた。もう一度チャンスをやろう」



「いや、そういうのはいいので...」



「行くぞ!!」



もうめんどくさくなったのか、男の話も聞かずに両腕を上げ呪文を唱えた。すると男の周りに光が溢れ出し男を包み込む。これでイセカイだとかわけのわからないことを言うやつを元の世界に戻せた。ふーと一息つき仙人は座り込んだ。








「今度こそ、異世界にいけるんですよね?」



「はぁ...」



仙人は落胆した。先ほどの男が再びここに現れまたもや「イセカイ」と言っているのだから。



「はぁ、だからイセカイとかいうわけの分からん事を言うでない」




「事故などで死んで異世界に行くのがテンプレでしょうよ」



「イセカイに...行く?」



その男は再びここを訪れてもなお、「イセカイ」とかいう奇々怪界なワードを発している。はあ、とため息をつき仙人はまた腕を上げた。

こいつはいいことをしすぎているぐらいだから2回目の生き返るチャンスを与えても文句は言われないだろう。そうでもしないとこちらがおかしくなりそうだ。



「ちょっと話を聞いてくださいよ!」



「もう一度人生をやり直してくるがいい」



男は光に包まれて消えた。



「もう2回もここに来くればもう来ることはないだろう」



と思っていたが、また現れた。その顔を見るだけで仙人からはため息が出る。




「わざと死んでるのか???」



「異世界に行けるのを楽しみにしています」



生前の行動を見ると明らかにわざとらしくトラックに突っ込んでいる。故意としか言いようがないぐらいだ。



「もういい。お前そのまま進め」



「え?でも異世界が...」



「うるさい。後がつっかえてるからいいから進め」



もう生き返らせるのはやめた。そのまま死んだことにして、次はミジンコにでも生まれ変わらせてやる。

フーッと一息をついた。やっと「イセカイ」などというわけのわかららないことを言う輩が消えスーッと肩の荷が下りたような気がした。こうしてはいられない。次の奴だ。今は気分がいいので4人ほどまとめてやってしまうか。



「あの...」



4人の男がやってきた。年齢や見た目もみんなバラバラだ。さて、こいつらはどんな人生を...



「異世界はここですか?」



「異世界に行けるんですよね?」



「異世界?本当ですか?」



「俺も異世界でハーレムできるのかあ」



「.....はあ?」




やる気が一気に失せた。はあーとため息をつきテレビをつける。そこでは自殺のニュースを取り上げていた。



「ここ、N市では自殺が社会問題となっていなす。情報によりますと、死ぬ人には共通点があり、『死ぬと異世界に転生できる』という意味不明な事を言っているそうで...」


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