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ぼくはカロリーを取った
ヨゼフ邸玄関破壊事案について、行政処分が決定した。ぼくの家の玄関である。
通知文書を確認すると、事案前後についても間違いなく記載があったし、破壊の経緯についてもなにも間違いはなかったけれど、市民としての危険査定が跳ね上がっていることが憤慨だ。医者へのカウンセリング勧奨通知も同封されている。余計なお世話だってんだ。
ぼくはいきものなので、ものを食べないといけない。
かといって、文無しであるのでどうしようもない。
進退窮まるところで、市から入金があった。基礎所得補償とは別件の入金だった。中身がなんであろうと構わない。
入金されたお金を元にぼくは腹をいくらか満たした。
近所でやってた流しの屋台からスープを買った。
家で食べた。
ベッドのふくらみから、あの子が見ていた。おなかでも空くはずがないだろうけど、それは物欲しげな様子にも見えた。
「食べたい?」
と聞くけど、返事はない。もちろんだ。
ぼくはあの子と話したい。欲が出てきてしまった。
独り言には飽きた。
独りで彼女を温めるのがさみしくなった。




