道中にて4
「木のかわりになるもの」
なんだそれは?
この木を再生させるか?
いや、あの本には具体的なイメージと書いてあった。
俺は木の構造なんてわからない。
こう、スライムみたいな単純なやつならできると思うのだが...
うん?
スライム?
木のようなスライム!
これだ。
これしかない。
俺は想像する。
「木のようなスライム」
いや。
「スライムのような木」を
俺はイメージをそのまま、魔法として木に放つ。
もにゅ
うん。失敗した。
魔法を使った俺が言うのだから間違いない。
俺の目の前にあるもの。
それは砕けた木を補修して幹となり、枝となった緑色の物体。
葉っぱまで想像できなかった俺が悪いのか、枝までしか作れなかった。
しかも切り株部分以外全てが緑色の木、それにプラスしてスライムみたいに半透明の緑。
触るとなぜか心地よい反発感、最高だ。
まあこれでもいいだろうと他に砕けた木を再生させようとすると、クラルテからストップがはいった。
「魔王様!このモニュモニュ君はなんですか!後で私用の枕として作ってください!」
「ああ」
「俺っちの分も欲しいのだ!」
「いいぞ」
ストップではなかった。
やはりこのモニュモニュ、触り心地がいい、製品化できそうなぐらいだ。
俺は他の木ももにゅらせる。
モニュ
モニュ
できた。
一見すると「なんだこれは!」と言われかねないが、長時間見ていると芸術のような気がしないでもない。
つまりちゃんと補えた、そうみていいと、俺は思う。
俺たちは木とモニュモニュに囲まれた道を少し歩く。
鳥の声と木々のざわめき、何故か心地よい。
また少しすると水音がしている気がした。
その水音の方角、前方に近付くにつれて、それが川のせせらぎだとわかる。
「この川はですね。あの山、ピスカ山っていうんですけど、そこから流れる川の下流よりの中流といった部分です。」
川のこともそうだが。
俺が下ってきた山はピスカ山と言うことを初めて聞いた。
「山には名前があるんですけど、この川には名前がないんですよねえ」
ほう。
ピスカ山から流るる川、名前はないらしい。
「魔王様早速この川を渡りましょう!」
「ああ」
クラルテが次の街に行くにはこの川を渡らなければと言う。
この川は浅く最深でも俺の足の膝くらいしかないだろう。
だが、水の中をじゃぶじゃぶしながら渡るのか?
普通は橋とかがあるのでは?
俺がクラルテについて行くと、クラルテも気がついたようだ。
「ああっ! 橋がないです!」
「うむ」
やはり橋があったようだ。
今その橋は海までたどり着き、永遠の旅に出かけてしまったのだろう。
自由を取り戻して。
俺が真剣に考えているとカプも言い出した。
「この水深だと俺っちは流されちゃうのだ...川の流れは緩いとはいえ濡れるのも嫌なのだ...」
なるほど、カプの場合はそうだ。
でもカプ。
お前は俺の肩に乗っているだろう?
クラルテが何もつっこまないので、俺も何も言わない。
「本当にどうしましょう...私が渡ると結構濡れちゃいますし...」
「創造は使えないのか?」
クラルテは小さいから確かにかなり濡れるであろう。
それはともかく俺は提案する。
「創造」それは物を作り出す属性の魔法。
これならいけそうだ。
だがクラルテは言う。
「いえ、前も言いましたけど私の魔力だとこの橋を創るのに何日もかかっちゃいます...」
なるほど、また魔力か。
ならやはり今回も俺ならできるのでは?
そんな思いがこみ上げてくる。
モニュモニュ。
ん?なんだ?
モニュモニュがいいのか?
モニュモニュ君が俺に、ここは任せとけといっている気がした。
モニュモニュ。
絶対俺ならできるぜ、そう言っている気がする。
それほど自信があるなら任せよう。
それならばと、頭の中で橋とモニュモニュ君を合成するイメージをして俺は魔法を放つ。
すると魔法が意思を持ったように蠢き、橋を組み立てる。




