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辺境の街6

俺は本を読み、クラルテたちが起きるのを待つ。

いや、待ってはいない。俺がただ本を楽しんでいる、それだけだ。

まだ外は暗い、もう少しばかり本を読む時間があるだろう。


少しするとクラルテが上半身を起こした。

寝起きだというのに目がぱっちり開いている。

カプもするりとベッドから出ると、定位置の俺の左肩に登って座る。


「おはようございまーす!」

「おはよう」

「おはようなのだー!」


若干左右がうるさいが挨拶は大切らしい。

さっき読んだ本にも挨拶は基本、と書いてあった。

朝早くから出発すると昨日クラルテが言っていたので時間は早い。

今は日が出始め、夜の虫の音が止んだくらいの時間だ。

荷物は昨日のうちにまとめておいた。

あとは朝ごはんを食べてここを出るだけだ。


「さあ!やっと旅らしくなりますよ〜!レッツゴーです!」


荷物を背負いながらも右手を上げ、満面の笑みでクラルテが言う。

それを見ると俺も旅立ちだ、という気持ちが湧いてくる。

カプは俺の左肩で器用に二度寝をかましている。

カプはなぜか落ちないので、安心して体を動かせる。


そうしてカウンター席に行こうと歩き始めると、早朝というのにその場へ一歩近づくたびにいい匂いが強まる。

カウンター奥の老人は俺たち、客よりも早く起き遅く寝る。

体調が気にかかるが、身体がもう慣れているのだろう。


カウンター席に座り少しこれからのことを話していると、ご飯が運ばれる。

毎日違うご飯が運ばれてくるため飽きがこない。

そして、ご飯の説明はクラルテがしてくれるようになった。


「今日はなんだ?」

「ああこのご飯はですね。」


こういう風にいつも教えてくれて、助かっている。

今日のご飯も絶品でフォークの勢いが止まらない。

カプも勢いよく食べ過ぎてマカロニというものが鼻に詰まっている。

楽しそうだ。

朝ごはんを食べ終えると、早速とばかりにクラルテが期待に満ちた目でこちらを見る。


「魔王様、カプちゃん、私たちの旅がようやく始まりますね!」


短い言葉だが、入っている感情は溢れんばかりに詰まっている。


「そうだな」

「早く門へ向かうのだー!」


俺たちは老人に感謝の言葉を残し、宿を出る。

裏道からメインストリートに出ると、早朝から何人もの人が店の準備をしている。

辺境の街も昼には活気が出てメインストリートをまっすぐに歩けないぐらい人の波が襲ってくる。

今は早朝、俺たちは入ってきた門とは逆の門から出る。

門から一歩、踏み出すと草の香りと爽やかな風が俺たちの門出を祝ってくれているようだ。


俺とクラルテは並んで歩き、カプもやる気が満ちているのか尻尾の蛇が舌をチロチロ出している。


さあ、旅だ。

教会巡りの旅が今始まる。

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