辺境の街5
朝日が窓から部屋を照らす。
俺は結局一晩中本を読んでいたようだ。
本は面白い。
体験してもいないことを体験したように感じることができる。
不思議と頭の中にイメージが膨らみ、器が満ちてゆく。
逆に、辞書は器を広げてくれるように俺を満たす。
字の意味、言葉、熟語、比喩表現。
字の奥深くに眠る意味を辿る楽しさ。
たまらなく俺の知識欲を満たしてくれる。
教会巡りの旅がいつまで続くかわからないが、終わったら本を書くのもありなのかもしれない。
そんなことを考えているとクラルテが目覚めたようだ。
上半身を起こし、伸びをしている。
カプの方は布団の中でモゾモゾと動きよくわからないが、存在をアピールしている。
「ふぁーあ、魔王様、おはようございます」
「おはよう」
これもいただきますと同じような儀式なのだろう。
そうこうしているとカプも布団から這い出て来た。
「おはようなのだ。俺っちはいつでもOKなのだ」
何がOKなのかわからないが、準備ができたのだろう。
そう、俺たちは今から買い物に行く。
発案者はもちろんクラルテ。
今クラルテはお着替え中だ。
昨日それを見ていたら、頬を叩かれて痛かった。
俺は今着ているローブとズボンしか持っていない。
だが魔王は魔法で服か出来ているらしく、汚れないようだ。
カプは毛刈りをするしかないので夏の衣替えの時になるだろう。
「魔王様!行きましょう!」
準備ができたようだ。
では早速、買い物をしに宿を出よう。
宿の主老人と挨拶を交わし、俺たちは宿のドアを開け、外に出る。
メインストリートに行くには今いる細い道からちょっと歩かなくてはならない。
メインストリートに出ると日差しがさらに激しく俺たちを責める。
「魔王様!出店がたくさん並んでいますね。まずは携帯用の寝具など備品から買って行きましょうか!先に食べ物を買って腐らせちゃったら大変です。」
昨日本で見た。
腐ると発酵は近いものだと。
ただそこまでしか書いていなかったため、特にいうことはない。
メインストリートからちょっと外れて冒険者御用達の店に俺たちは向かった。
そこで買うものは多かった。
携帯寝具。
携帯ランプ。
麻の袋。
携帯飯。
その他諸々。
ここでご飯を買う理由はここでしか長持ちするものが買えないかららしい。
今度はメインストリートに戻って普通の買い物。
まあ買うものはさっきと違って日にちがあまり持たないが旅には必要なものを買って行く。
そしてクラルテは服も買い出した。
魔王には服の替えなど必要ないが、普通の女の子には必要なんです!とはクラルテの言葉だ。
長い。
非常に長い。
たまにこちらに着ては、
「私の服、どっちがあってますか?」
などを聞いてくる。
俺は全くわからないので、全てカプにお任せしている。
ほんにんも、
「いやなのだー!」
とても喜んでいる。
その日は、買い物だけ出発するのは明日だ。
俺たちは宿に戻り夜ご飯を食べてからまた寝る。
ただし俺は眠れないため、読書に耽る。
この体質も悪くはない。
時間を有効活用している気がする。
今のうちにクラルテたちに迷惑をかけないように知識を頭に詰め込む。




