辺境の街4
「う、うーん...あと5分〜」
軽く揺すっても起きない。
クラルテはこの最高のベッドに取り憑かれているようだ。
俺の時は何もなかったのだが....
今度は肩を揺すりながら声をかける。
「クラルテ....クラルテ....眠れない....」
「え〜、さらに追加ですか〜、もう食べられません〜」
ダメだ。
この子起きない。
ベッドの悪魔がクラルテを離してくれないようだ。
俺はなんとなく、クラルテのねじ曲がったツノを触る。
硬い。
第一印象がそれだった。
次に触り心地。
つやつやとザラザラの中間、ピトピトというのだろうか?
手に馴染むような感じ、意外といい触覚だ。
俺はそんなことをしばらく続けていたが、クラルテは起きない。
困った。
本当に起きない。
今度はかなり強引にやってみよう。
俺はクラルテの肩を強く揺すり、名前を呼ぶ。
「クラルテ!...クラルテ!...」
するとクラルテの目がパッと開いた。
「はっ!えっ?えっ?なんです?」
クラルテが虚空に向かって話す。
まだ寝ぼけているようだ。
「クラルテ」
「はぇ?魔王様...ですか?びっくりしました....一体どうしたんですか?」
「眠れない」
「そうですか〜。眠れなかったんですね。確かにお母さんからそんなことを聞いたような...まあいいです。では本を渡しますので読んで見てはどうでしょうか?」
「本?」
「はい、紙でできていて、いろいろな実話や伝説とうたわれるお話や、恋の話、あとは辞書っていう言葉の書庫みたいなものもあります。」
「ふむ」
クラルテがカバンから出した本をずらりと並べて、俺に問う。
「魔王様って字、読めましたかね?」
「見せてくれ」
俺には読めるのだろうか?
本の前にまず字が読めるのかがわからない。
俺はクラルテから手渡された本を持つ。
「「固定の勇者の建国記」であっているか?」
「ああ、そうです。なら大丈夫そうですね。私はまた寝ますので、ごゆっくり〜」
クラルテは俺にそういいながら布団に潜り、すぐに寝息を立て始めた。
さて、俺はどの本を読もうか?
さっきの「固定の勇者の建国記」もいいが、「白と黒、最後の戦争」も面白そうだ。
恋の話は「創造の純愛」か。
ふと順々に見ていると一冊の本が目にとまる。
「原初の逸話」
なぜだか興味を惹かれる。
俺はこの本から手に取り、読むことにした。
ページが開かない。
いや違う。
これは収納箱だ。
中にはペンなどが入っている。
なぜ目にとまったかわかった、この箱が大きかったからだ。
クラルテの寝ぼけにより、このような意味のないことをしてしまった。
俺は素直に「固定の勇者の建国記」を読む。




