辺境の街3
俺たちは部屋に戻った。
窓の外は真っ暗で、この部屋の中もクラルテが持っている燭台に灯る蝋燭の、揺らめく火がなければ何も見えないだろう。
「あー、お腹いっぱいで眠たくなってきました〜」
「俺っちは昼寝したからそこまで眠くないのだ!」
クラルテがあくびまじりに呟き、カプが応える。
普通は眠たくなるのか。
眠気というものを感じたことがない。
「俺は眠くない」
俺がそういうと、
「ベッドに横になっていれば、いつの間にか夢の中へ〜ですよ」
「そうなのだ!俺っちは昼寝したけど横になったらすぐに寝られるのだ!」
こんな答えが返ってきた。
本当にそんなものなのだろうか?
山を登ったり降りたりする時も、俺は一睡もしていない。
だがクラルテたちは横になれば眠れるといっている。
なら俺はそれを信じるしかない。
俺は両方空いているが、窓を正面に見て右側のベッドに腰掛ける。
なるほど、確かに座り心地は今まで体感してきた中で一番いい。
これなら俺も寝られるのかもしれない。
クラルテが空いている、もう片方のベッドに腰掛ける。
「カプちゃんはどっちで寝ますか?」
カプちゃん....
なぜか愛着が湧きそうだ。
「俺っちは魔王の方にいって寝るのだー!」
今現在も俺の肩にいるためか俺の方を選んだ。
さあ、とりあえず横になろう。
かけてある布団をめくり、下にひいているマットとの間に入り込む。
うむ、悪くない。
そこへカプも入ってきた。
「この宿の最大の魅力はベッドにあるのだ!羽毛を使った軽い布団に特殊素材のマット!この組み合わせに勝てるものはいないのだ!」
なるほど。
このベッドはすごいのだな。
そうとしかまだわからない。
クラルテを見ると、いつの間にか寝ており、スースーという軽い呼吸音が聞こえる。
カプを見る。
こっちは布団の奥にいるためよく見えない。
とりあえず目を閉じて寝てみようか。
...
.......
..........
寝られない。
俺は物音ひとつしない部屋で一人起きている。
目は暗闇に慣れ、外の星の明かりがやんわりと室内を照らす。
俺はクラルテに寝られないことを伝えようとベッドから出て、もう片方のベッドに歩いて行く。
ぎぃ.....ぎぃ.....
歩くたびに少しだけ床がなく。
足音を立てながらもクラルテのベッドに向かい、クラルテの顔の横にしゃがむ。
クラルテは寝ている。
目は閉じ、口はいい夢を見ているためか、軽く微笑んでいる。
なぜか俺はちょっと起こすのをためらってしまう。
そんな感情を振り切り俺はクラルテの肩を揺らす。




