魔王覚醒
俺はなぜか立っていた。
山らしき斜面のある森である。
わかることは自分が魔王であることと、五感で感じられるもの、それに。
教会をまわれ、という謎の命令。
この三つだけだ。
あたりには樹木が鬱蒼と生い茂り、かすかに隙間から光が降ってくる。
足元にはたくさんの落ち葉があり、暗くて風がなくジメジメしているためか、木の根元には毒々しいキノコが生えている。
さて、何をしよう。
決まっている。
教会を回ることだ。
俺はなんとなくだが、この斜面の上の方に教会がある気がする。
俺は落ち葉を踏みしめながら、上を目指す。
森が開けると周りが一望できた。
やはりここは山だったようだ。
そして、頂上には教会と思わしき建物があった。
なぜ思わしきなのかというと、建物が廃れ寂れていて原型がはっきりしないためだ。
そんなことは気にせず、俺は廃屋の中に入る。
中ももちろん寂れている。
外装と違うところ、それは真ん中に羽の生えた女神像があること。
俺は導かれるように、女神像を触る。
瞬間、頭がフラッとした。
その次になぜここに教会があるのか知りたくなった。
しかし、そのようなことはわからない。
俺は教会巡りの旅に出る。