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4-27 欲望のデスマーチ

 高島屋を一通り回り、名鉄百貨店を回ってから近鉄百貨店へと向かう。有名な観光スポットにもなっている某お人形さんがいるところだ。


 ここは女の子向けの可愛い派手な服とか多い。男1人だと入りにくいが気にせずに入る。欲望丸出しで。


 なかなかいい感じのが揃った。水着類も盛大に買い込んだ。プレゼントだからと店の人に選んでもらって。


 サイズが今ひとつわからないが、外国人の女の子だという事で、各種類各サイズを大量に見繕ってもらった。


 おチビ用の水着も揃えてみた。組み立てプールとかを持ち込むつもりなのだ。幼稚園でも、これを使っているところもある。


 あと、安くて色々置いてあるような有名な海外のチェーン店3店舗で、女の子向けアパレルを買い漁った。派手な色彩や、前衛的なデザインに溢れた服の山だ。


 アイテムボックスは無かったら、絶対に持ち歩けない量だ。トラック一杯分はあるだろう。あと夏に向けて、日本一の量販店で汗などの対応をした高機能夏物衣料品をかき集めた。


 もうおわかりだと思うが、次回こそプレゼント大作戦で女の子達との親睦を深めようというわけだ。


 何が悲しくて、あんなに可愛い子が溢れている世界で、ドラゴンだの翼竜だのの相手ばっかりしていないといけないのか。魔物と戦っている時間の割合が多過ぎる。

 

 そして、ブランド・アクセサリーやブランド洋服なども大量に買い込む。妹を連れてくると詳しいのだが、呆れられそうな気がしたので1人で回っている。


 現地で人を雇い、お洒落なバーを始めてもいいと思って、あれこれアイテムを集めているところだ。もちろん、俺が女の子を口説く場所として。


 とりあえずは、アンリさんとアニーさんと、ミリー。主にこの人達を想定して色々かき集めている。リーシュやラーニャは16歳だけど、将来を見越してというのもありかな。


 ラーニャは案外と俺に手厳しいいんじゃないかなと思っている。可愛いんだけどなあ。天然ピンク髪の美少女いいよね。


 お馬鹿記者のおかげで余計な手間を食ってしまったが、時間はまだ余裕がある。


 とりあえず、今日は名古屋だけで終わってしまった。帰りに忘れずに栄の九州物産展だけは寄ってきた。多分、父は今日ゆっくり晩酌するだろうから一緒に飲もうと思って。


 明日は栄に行って、丸栄・メルサ・三越・ラシック・松坂屋・パルコかな。ショッピングデスマーチとしゃれこむか。時間があったら、専門店やナディアパークまで足を伸ばしてもいい。


 家に帰ったら、玄関先で中将から電話がかかってきた。


「例の連中だが、手配は済んだ。とんでもない違法行為が多くて驚いたよ。何故、日本はあのような輩をのさばらせているのか、我々には理解不能だ。本当に法治国家なのか?」


「そういう国ですので」


「それと、お昼にやったような悪戯はやっちゃいかんよ? 某国の事は我々に任せておきなさい」

 そう言って、中将は笑いながら電話を切った。


 あら、もうバレてた~。さすがはアメリカだなあ。俺って、ずっとCIAの監視がついてない? これから風俗店は向こうの世界で行こうっと。


 父はダイニングでテーブルに座って、そろそろ晩酌に取り掛かろうかというあたりだった。


 スラックスと半袖のシャツで、落ち着いた歳相応のスタイルだった。大体、家にいる時はこんな風なリラックスできる格好でいる事が多い。


「九州物産展行ってきたんだ。はい、これ」

 父の好物の辛子蓮根を差し出した。


「おお、嬉しいな。どうだ、たまには一緒に一杯」

「うん、そのつもりだよ」


 俺はアイテムボックスから、今日買ったばかりの瓶ビールを取り出して、栓を抜いた。


「便利な能力を身に付けてきたもんだな」

 父は感心したように眺めていた。


 グラスも取り出して、ビールを注いでいる俺の手つきを見ながら感想を口に出す。2人分、並べて3度注ぎし、父と乾杯した。


「あらいいわね。お母さんにもちょうだいよ」

 今日の夕飯は特に仕度しないでもいい事を言っておいたので、お袋も混ざってきた。


 離れのホームバーは若向けなので、父は落ち着かないようだ。


 お袋にビールを注いでやり、俺は馬刺しを切る事にした。俺もこいつは好きだ。物産展の奴は特に美味いので、やっているのを聞くと必ず買いに行く。


 あと、鯖も買ってきた。寄生虫の有無というか種類のせいで、九州というか西日本日本海側の鯖は生食でもかなり安全らしい。絶対ではないのだが。


 俺は、ファクラの力で寄生虫をチェックしながら刺身を切り、家族の食卓に並べていった。オールグリーン。便利だよな、この能力!


「おお、鯖か。これが堪えられないんだよなあ」

 父は嬉しそうに鯖をほおばった。


 なんとも言えない、至福の時。こんな時間を置き去りにして、危険を冒して異世界なんか行く必要あるのかな?


 そう思った時もあったが、ダンジョンを助けてやらないと、暴走してこの家さえも飲み込んでいくだろう。おかしな儀式している奴、見つけたら絶対に〆る。


 そうだ。クヌードがここに来ているという事は、あそこで儀式をやっている連中がクヌードにもいるという事なのか? 

 

 それとも、他の地で行なわれた儀式の影響を受ける可能性もあるのか?

 その点を関係者に確認してみたいな。次回の課題の一つにしよう。


「ただいま~」

「お腹減った~」

 おや、2人揃ってご帰還か。


「あー、みんなで美味しい物食べてるー」

「兄ちゃん、俺も~」

 とりあえず、亜理紗にビールを注いでやって、さっと出せる食い物を出してやる。


「お兄ちゃんさあ、異世界に行くようになってから、ビールの注ぎ方うまくなってない?」


「あはは、そうかもしれない。向こうじゃ俺の事を生ビールの配達人だと思っているみたいだぜ」


「あはは、いいじゃん、兄ちゃん。それで食いっぱぐれないかも」


「まあなあ。ビールの注ぎ方は山崎には敵わないな。あいつは向こうじゃ、エブリン、師匠って言われてるよ」


「いやあ、さすがは真吾ちゃんだねえ。もててるでしょ、向こうで」


「うん、もてているって言えば、もてているんだけど。圧倒的に小学生以下からの支持が。なんていうか、最強お兄ちゃんキャラだからな」

 家族一同爆笑した。


「うん、真吾兄ちゃんだからね」


「あー、真吾さん最高。優しくて強くて、料理とかもねー。うん、万能お兄ちゃんかなあ」

 ちょっと腹の皮捩じらせ加減で、亜理紗が体を震わせる。


「お前はどうなんだい?」

 いきなり父の奇襲があった。あー、俺のそういう心配してくれてたわけね。


「父さん的にさ。狐耳とかエルフとか魔法少女のお嫁さんってどう?」


 想定外は許されない。念のために聞いてみただけなのだが、父がツボに嵌ったらしい。これ以上無いというくらいの笑みを浮かべて。


「済まんな。いやそれは予想外だったわ。ふはははは」


 お袋が驚いた。父がこんな風に笑うなんて、実に珍しいのだ。その後も父は上機嫌で、酒がいつもよりも進んだ。お袋もなんだか笑ってしまっていた。


 親っていうのはいいもんだ。いつも、ちゃんと子供の事を考えていてくれる。俺は、父に御代わりのビールを注ぎながら、結構嬉しそうな笑顔を浮かべていた気がする。


別作品ですが、「おっさんのリメイク冒険日記 ~オートキャンプから始まる異世界満喫ライフ~」

http://ncode.syosetu.com/n6339do/

も書いております。

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