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4-13 お荷物対策

 高級万年筆に機械式時計、宝飾品に高級食器、寝具に寝巻き、ボードゲームにヌイグルミにっと。それから食い物関係に、また酒と。


 ありとあらゆる高級品を金にあかせて買い漁った。こういうものが、また大金に化けるんだ。上限無しのクレカが、ここぞとばかりに唸りをあげた。


 ビールも樽で大量注文しておいたので、倉庫レベルでガツンと仕入れた。ビールはまだ複製品の品質がまったく追いついていない。


 というか、作るのに厳選材料が必要なのだ。今のところは買った方が早い。金はあるのだから。外国産の缶や瓶のビールも仕入れていく。あと服類はいるよな。


 それと餓鬼ども用に特別に作らせた、向こうの言葉で作った読み書きや算数のドリルなども用意する。合田先生渾身の作だ。教えるマリエールの奴が解けるかな。色々画材なども仕入れてみた。


 夕方一杯かかって一通り買い物を済ませて帰ってきたら、また電話がかかってきた。あ、川島だ。

「もしもーし、おっす! 元気かあ」


「元気かー、じゃない。今、駐屯地司令に直接呼ばれて、明日いきなり異世界行けって」


「あー、明日じゃねえぞ。仕度があるし、俺も休みたい。何せ、あっちは怪獣やら盗賊やらがいっぱい出てくるから、やってられん。色々あって気が休まらないんだよ」


「いや、あんたらとだけだったら困らないっていうか、むしろ楽しくやれそうだけど。なんかヤバイ人が来るんでしょ? なんで断らなかったのよ!」


「知るか。文句あるなら、守山司令部で師団長に言っておけよ。知らない女なんかに来られても、他のメンバーらも持て余すだろが。頑張ってオバハンの相手しろや。そいつを連れていかないと自衛隊の予算がヤバイらしいぞ」


「あうう。うわあ、面倒だなあ」


「任務なんだから、そういう事言うな。お前ほどの猛者がそうそういるか。例え警視庁の女SPだって、30メートルの大怪獣が相手じゃな」


 川島も息を飲んだ。女刑事が32口径のピストルかなんかで、怪獣と戦っている姿でも想像したのかな。


「そんなもんと、私がどうやって戦うのよ~」


「大丈夫だ。すぐ慣れるから。合田なんか、もはや怪獣狩りを昆虫採集くらいにしか思っていないぞ」

「もう、これだから男は」


 そういや、もうサンプルは提出したのかな。あれだけでかいと置く場所の確保にも困るんだが。すぐに腐るし。アメリカにでもくれてやっておけば問題ないんだけど。


「じゃあ、明日なあ。向こうじゃたらふく飲ませてやるよ」

「はい、はーい」

 こいつは軽い奴だから助かるぜ。


「おっす」

 翌日、川島が男勝りな挨拶と共に守山に出頭してきた。


 車でこっちに移動する人がいたので、ついでに輸送されてきたらしい。さすがの川島も師団長の前では丁寧な口を利いていた。


「お早うございます。まだ例の人は来ていないのかしら」


「ああ、城戸さんなら午後一番でいらっしゃるそうだ。午前中は21ダンジョンの視察に行ってみえる」


 師団長が俺達に説明してくれた。落ち着いたもんだ。無理を言うお客様には慣れっこなのかな。

「鈴木。それまで川島に色々レクチャーしてやってくれ」


「了解です。外出させてもいいですか?」

「構わんが、どこへ行く気だ」

 いぶかしむような感じで司令が訊ねた。


「川島、もしかすると偉い人と会ったりするかもしれないが、その格好で行く?」

 広報の女性が着るようなスラックスタイプのスーツ姿をした川島に聞いた。


「え? 制服じゃマズイ?」

 川島は自分の体を捻り、あれこれチェックしながら訊き返した。


「俺達は、っていうか俺以外の連中はもう向こうじゃ迷彩服は脱いでいるんだよ。王都とかは物騒だから、そんなもの着て目立ちたくないんで。この前、俺達はそういう時に着る服を買っていたのさ。

 今回は王都には行かないから迷彩服だけどな。何があるかわからん。どの道、この前の買い物でお前が買ったような奴じゃ駄目だから買いにいくぞ。あと時間があれば、もうちょい物資の買い付けも行なう」


 こいつが行くのが今回だけとは限らないからな。そんな予感がするぜ。


「了解。うわあ、そうなんだ~」

「というわけです」

 師団長も納得したようで許可をくれた。


「わかった。行って来い。昼には必ず戻って来てくれ。今日の客は怒らせてくれるなよ」

「はっ」


 というわけで、いきなり川島と買い物デートになった。というか自衛隊の制服を着てカツカツ歩く女とだからな。気分なんて、まるっきり出んわ。


 時間がない。車を出して、栄へ直行して店に乗り付ける。


 超高級ブランドで、スカートタイプとズボンタイプのスーツを2着に、ドレスタイプの洋服を何着か購入した。


 かなり迷っているようだったが急がせた。ハンカチ・スカーフ・ベルト・アクセサリーやバッグに時計などの小物も用意させる。靴も手に入る分だけ仕入れる。


 川島も目移りするようだが時間が無いのはわかっているので、てきぱき選ぶ。いささか残念そうだ。


 ゆっくり選びたいのだろうが、そんな事は言ってはいられない。それに支払いはどうせ俺持ちだ。仕事着になる予定だし。


 その間に俺も色々選ぶ。あちこちの関係者に世話になっているので、土産用にあれこれ大人買いしてカードで支払ったら、なんと1億円を越えた。


 単品で100万円越える品も珍しくないブランドだからな。川島が呆れ返っていたが、これは仕方が無い。


 何せ、向こうで会うのは身分の高い人とかが多いんだよ。見返りは充分あるから問題は全くない。1000億円レベルで利益を上乗せしてくれるような人物もいるのだ。ケチるシーンじゃない。


別作品ですが、「おっさんのリメイク冒険日記 ~オートキャンプから始まる異世界満喫ライフ~」

http://ncode.syosetu.com/n6339do/

も書いております。

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