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4-10 聖魔法

 俺はまず国王様にヘリに乗ってもらう事にした。しかし、ヘリが何なのかわかっていない王様は首を捻っておられたし、護衛の近衛騎士が駄目だと言い俺を睨んでいるので、王様の遊覧飛行は無しになった。


 代わりにマーリンが超乗り気で体験搭乗となった。いきなり城の中庭に出現したヘリを見て、怪物か! と剣を構える騎士団。ドンキホーテか、お前ら。


 いつか、この世界にバレエを導入し、「天空のドンキホーテ」とか題して上演させてやろう。


 お前らは物語のモデルとなった人物として、最前列で観覧な。内容はお察し。少なくとも、バジルのような名作にはならないだろう。


 国王様は笑って手で制すると興味津々といった具合で見ておられた。騎士なんかより、よっぽど肝が据わっているな。まあそうでないと、大国の王様なんて務まらないか。


 山崎がエンジンを始動する。高性能のジェットヘリの合計1600馬力以上に達するエンジンの咆哮、そして旋回を始めたローターの激しい風。


 息を飲む騎士団。そして目を輝かせる王様。もう、あれは乗せないと済まない顔だな。


 そして、やがてエンジンの温まったヘリは大空へと駆け上がっていった。


『うわおう! 最高じゃないか、こいつは。なあ、これ一つ私に譲ってくれないか?』

「駄目です!」


 俺の激しい拒絶に、マーリンは驚いたようだが、俺の目に宿る真剣さに何か納得したようだった。


『わかった。こいつは、かなり危険な乗り物なんだな?』


「その通りです。安易に操縦する事は許されないものですから。あなただって、危険な魔法をペーペーの魔術師が無闇に使おうとしたら止めるでしょう?」


『でも、国王陛下は乗せようとしていたじゃないか』

 少し悪戯っぽい顔でマーリンは聞いてきた。


「操縦しているのが山崎ですので信頼しています。私も操縦は習っていますが人を乗せて飛ぶのは無理です。ものすごい習熟が要るのです。この機械が飛ぶ理屈は知っています。操縦の仕組みも知っています。しかし、私にも無理なんですよ。これは特別なものですから」


 自分で飛ぶだけなら頑張るが、人を乗せられるような操縦ではない。万が一落ちても俺だけなら生き延びそうだし。


『そうかあ~、残念だなあ。でも乗っけてもらっているだけでも充分に楽しいよー。飛竜なんかとはえらい違いだ』


「えー、飛竜乗った事あるんだ。いいなあ。今度乗っけてくださいよ」

『そうだね、機会を作ってあげよう』


 やったぜ! 飛竜搭乗権ゲットだ。


「おーい、もう下りてもいいのかあ」

 

 山崎がヘリセットを通して確認してきたので返事した。

「オッケー、降ろしてくれ」


 地上では他のメンバーが地上誘導員の真似事をしていた。俺達が空にいる間に、持ち込みのテープで簡易なHマークを地上に用意してくれていた。


「いやあ、やっぱり仮初めでもヘリポートに着陸できるのはホッとするなあ」


「そういうものか?」

「当たり前だ、ボケー」 

 

 そういうものだったらしい。こっちは土木機械がメインの乗機だったんで、わかんねえよ。


 地上に降りて真っ先に出迎えてくれたのが国王様だ。満面の笑顔を湛えて。

『いやあ。素晴らしいな、ヘリ!』


 側近の連中が顔を伏せて、手の平で顔を覆っている。避けられない運命を悟ったようだ。


「じゃあ、今から行きます? 山崎、もう一っ飛び頼むわ!」 

 せっかくなんで、その場で俺が引導を渡してやった。


 とりあえず、帰る前に聖魔法の基本を習う事になった。


『さて、スズキ。君は聖魔法という言葉を聞いて、何をイメージする?』


 えーと。俺は目の玉を上に向けて、唇に右手の人差し指を当てながら考えて、即座に答えた。

「ゾンビ退治」


『ええっ? ゾンビってなんだい』

 あれ、いねえの?


「ほら、あれですよ。死人が蘇って生者を襲うんです。あー、うー、とか言いながら。そして、齧られるとそいつもゾンビに! 頭を潰さないと倒せないんですが、多勢に無勢で主人公はいつも逃げ回るんです!」


『君の世界には物騒な物がいるんだね。ここで出たら、頼むぞ』

「はい。お任せください。エブリン・マーリン!」


 他の奴らは呆れたような顔をして、ジト目で見てくる。いや、だってゾンビはいつだって人気じゃないか! いなかったら許されないぜ。


 お遊びはここまでにして真剣に習ってみた。とにかく聖魔法の適性を思い出すようにした。


「紫色のあれですか?」

『そうだ。あれの割合が強い方が強い聖魔法を使える』


「俺の場合は、半分近くが紫色でしたねえ。後は支援と回復が半々くらいかなあ」

 そう言うと、マーリンは驚いたような顔をした。


『今までに、そんな適性を持った聖魔法使いは聞いた事がない。それとて、文献の中でしか見た事はないがな。私は1割くらいしかないよ。まともに使えないのだから却って幸いだがね』


「そうなんです?」

 それは知らなかった。


『迷宮魔物が君の運び屋をやりたがるわけだ。期待されているよ、君』


 そうだったのか、気がつかなくて悪かったな。帰りの送還も頼んだぜ。そして聖魔法発動のイメージを教わり、発動だけはできるようになった。


 もう夕暮れだったので、明日グラヴァスへ立ち寄って報告してから帰る事にした。


 お城の夕食がもう、またなんていうかご馳走だった。眼福至福、味も極上。おまけにイタ飯以上に日本人の舌に合いそうだ。堪能させてもらった。これは、きっちりレポートに書くぜ。


別作品ですが、「おっさんのリメイク冒険日記 ~オートキャンプから始まる異世界満喫ライフ~」

http://ncode.syosetu.com/n6339do/

も書いております。

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