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1-6 狩りの時間

 懐かしい思いに浸りながら、日本の生活を思ったが、それもここまでだ。食い扶持や宿代は稼がないと、今日の夜から悲惨になる。


 そう、ここは異世界にあるダンジョンの街なのだ。ダンジョンを中心に栄え、ダンジョン探索を行なう人間が集う街、迷宮都市。


 ここは日本で言うところの第21ダンジョン。現地では、なんと呼ばれているかは知らない。日本で3番目にでかいダンジョン、未だに踏破されていない未知の世界だ。


 俺は、日本の入り口と正反対の場所にある入り口、つまり「本来あるべき正規の入り口」に今現在いるのだ。日本にあるものが、あるはずのない裏口なのだ。


 結論として、ダンジョンで魔物退治をするしかないようだ。幸い武器はそれなりにあるが、情報がわからないのは困るな。言葉だけは早急になんとかしたいもんだ。


 しかし、背に腹は変えられない。俺はダンジョンへと進んでいった。生きるための糧を得るために。ここを拠点に食い扶持を稼ぎながら、ダンジョンの中にあるだろう帰還のルートを探すのだ。


 手には5.56mmアサルトライフルを握り締めている。まだ一番馴染みは深い武器だ。腰には45口径をぶち込み、手榴弾もぶら下げている。そして、「プラスチック爆弾」


 爆発物の取り扱いもレンジャー訓練で覚えさせられたし。実際に戦闘になれば重機で排除できない場合、爆発物による処理が必要になるケースもあるだろう。自衛隊では通常やっていないが。


 収納、仮にアイテムボックスと呼ぶ事にするが、その中には、アンダーバレルの40mmグレネードを装填したアサルトライフル、7.62mmの軽機関銃、12.7mmのライフルと重機関銃が、弾丸を装填した状態でしまってある。


 もちろん、ハンヴィーも用意されている。だが、今のところ燃料は貴重だ。歩いていく。

 しばらく歩いていくと、何か不思議な感覚を覚える。体の中に何かが満ちていくような感じ、感覚だ。


 なんだろう、これは。もしかすると、これが加工に必要なエネルギー、もしかすると魔力のようなものかもしれない。原料が無いから、なんともいえないな。


 歩いていくと、その辺に岩みたいな物が転がっている。あれこれ収納してみると、成分がわかる。ああ、これは!


 ただの岩だった。だが、いろんな元素が含まれている。俺は軍用のナイフを複製してみようと思った。


 なんと、出来てしまった。ただのステンレスのナイフだったので、岩の中に材料が揃っていたらしい。魔力のようなものが、ほんの少し減った感じだ。 そしてすぐにいっぱいになった。


 ははあ、これは。このダンジョンの中には、そういうエネルギーみたいなものが、たくさんあって、それが自分の体の中で蓄えられるのか。自分がバッテリーになる感じだ。土とか岩とかがたくさんあると、原料になるな。


 水や空気や植物から、炭化水素とか出来そうだ。そのへんから弾薬の材料も取れるのではないか。食い物がどうかだ。小麦粉があると嬉しいが、米は望み薄だな。


 あと、言葉をなんとかしないといけない。そして、何より燃料が欲しい。徒歩であのでかい怪物とかにいきなり襲われたらひとたまりもない。


 あいつは音も無く忍び寄ってきた。きっと肉球持ちに違いない。特にぷにぷにしてみたくはならないが。


 一旦ダンジョンの外に出る事にした。さっきの広場から、町の泉があるのが見えたのだ。


 泉につくと、水をゆっくりと収納していった。流れるように、泉はゆったりと渦を巻いた。そして空気も。俺の周りに、軽く風が起きる。収納された分の跡地に空気が流れ込むのだ。カマイタチが起きるような事はない。


 もしかすると、そんな技ができるかもしれないと興奮した。それを食らって真っ二つになるのが俺自身という事もありうるが。ディーゼル燃料と、ハンヴィーに必要な各種オイルを複製していく。


 複雑な組成のものは、段階を経て作られていくみたいで、加工用のエネルギーも、その分余計に食う。ただ、1度作った素材は、次からはダイレクトに作っていける感じだ。


 かなりの燃料が手に入った。とりあえずは5KLほど作ってみた。米兵の話だと、ハンヴィーはダンジョンのような狭いところを走らせても舗装路なら4Km/L後半はいくようだ。


 用心深くゆっくり走ると、もっと悪いかもしれない。これで2万Kmは走れるくらいか。


 こっちの世界は未舗装だから、アクセルワークの関係上少し落ちそうだ。マップやナビもないので、スピードが出せないから燃費は落ちるはずだ。


 なんとか、車両本体を複製したいが、材料が無いことにはな。


 とりあえず、車で行ってみる。暗いな。さっきは、まだ照明のあるゾーンだった。すると、いきなり異世界に繋がったっていう事なのか?


 M2・12.7mm機関銃に換装してくるんだったかな。アイテムボックスで抜き取って、交換しても良かったんだが、40ミリグレネードのMK19の方は重量があるので、1人では再度の換装はできないだろう。


 機関銃では倒せない相手に出てこられると困る。どの道ハッチから体を出さないと、搭載武器は撃てないし、MK19は近距離には使えない武器だ。早いところ、もう1台ハンヴィーを作ってM2機関銃を搭載しよう。


 ダンジョンに入って、すぐに魔力のようなものは満タンになった。空気を分解して色々作りながら進む。空気は窒素が主成分なので、窒素酸化物を生成できる。つまり火薬関係の原料というわけだ。


 さらに、誰も見向きもしないので、ごろごろと転がっている岩や石を運転しながら回収していく。手で触らなくても、目に入った物は収納できるので楽だ。


 薬莢に詰める発射薬と雷管の導爆薬も生成できた。岩から金属素材は一通り取れていくので、進みながら弾薬が作っていけた。


 充分に金属素材も有るので、銃本体もかなり複製できた。銃と弾に爆発物がかなり手に入った。


 武器ばかりどんどん作れていくが、肝心の獲物がいない。焦ったが、多分このあたりは入り口に近いので、獲物が狩り尽くされているのだろう。日本側と同じだ。


 仕方が無いので、岩を回収して、素材作りに励んでいる。そろそろ車が出来そうな勢いだが、素材が複雑なので何段階も複製工程を経ているので、時間がかかっている。


 今日は狩りを諦めて、M2銃機関銃を装備したハンヴィーを作る事に専念するか。


 そう思った頃、前方が騒がしい。悲鳴が聞こえる。思わず脳裏に、怪物が咥えたフィリップの死に顔が浮かんだ。逃げよう。とっさにそう思ったが、アホか俺は。何をしに来たんだ。


 俺は装備を点検した。12・7mm対物ライフル、マガジンも多数用意する。装弾数は5発だ。更にチャンバーに1発放り込んである。7.62mm軽機関銃は200発入りの弾帯を装着してあり、既に発射準備は整っている。


 アサルトライフルに40ミリアンダーバレルグレネードを装填したもの。そして使いづらいが、使い捨てのロケット砲。


 米軍の、小型で砲身を引き出すタイプだ。同様のものを10セット、車内にところ狭しと並べてある。もちろん複製品だ。


 同じように収納にも、ありったけ準備してある。最悪の場合に備えて、車載のMk19、40mmグレネードも発射準備だけはしてある。


 車のライトを全開にする。迷宮仕様なので、大容量バッテリーを積み、ラリー仕様のようにライトが配置されている。ライトを破壊された時のために、自分の頭にもヘッドライト付きのヘルメットを装着済みだ。


 米軍の戦闘服とブーツ、ボディアーマーがあったのでそれも着込む。普通の人がこんなものをいきなり着たら身動きが取れないが、俺たちは一応訓練を受けている。普通科(歩兵部隊)ではないが、一応は前線組ではあったのだ。


 次は19時になります。


 初めて本になります。

「おっさんのリメイク冒険日記 ~オートキャンプから始まる異世界満喫ライフ~」

http://ncode.syosetu.com/n6339do/

7月10日 ツギクルブックス様より発売です。

http://books.tugikuru.jp/detail_ossan.html

 こちらはツギクルブックス様の専用ページです。


 お目汚しですが、しばらく宣伝ページに使わせてください。


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